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第12話:ストーカー養成学院02


 鐘の音が鳴った。どうやら学院全体に響く鐘の音で生徒は時間を管理しているらしい……とフォースから聞いた。


 で、僕はというと、


「ん~……なんだかなぁ……」


 という印象。


 何がって?


 講義の質が。


 ストーカー養成学院で覚えることは大別して三つ。


「一般教養」


「魔術理論」


「ダイレクトストーカーへの理解」


 以上。


 一般教養はこっちの常識を知らないものだからちんぷんかんぷん。ただし語学と数学と物理学は僕の世界より数段遅れている。さもありなん。そもそもにして教育が国力を左右する時代ではないのだから。僕の居た世界を基準世界と呼び、こちらの世界を準拠世界と呼ぶ以上、準拠世界は基準世界に従う。ので、読み書き取りには問題なかった。


 普通に日本語を使えるってのも何だかな。


「そういうものだ」


 と思うことにしよう。突っ込んで得することは何もない。


 魔術理論は斬新だった。僕の使える魔術は剣術に通ずる四つだけ。しかしてこちらにおいて魔術はバリエーションに富んでいて、火を出したり風を操ったり力を発生させたり空を飛んだりと様々。全部講義で聞いただけなので実際がどんなモノかは知らないんだけど、嘘を教育することに意味はないだろう。


 ダイレクトストーカーへの理解はお手上げ。意味不明な理論を羅列されるだけでストーカー工学なぞ一片も理解できなかった。


 で、鐘が鳴ったため一つの講義が終了。クラスメイトたちがざわついた。


「何じゃらほい?」


 と思っていると、


「……上泉」


 フォースが弱々しく僕の名を呼んだ。


「なに?」


「……あのね?」


「うん」


「……嫌ならいいんだけど」


「まぁ嫌なら嫌っていうから安心して」


 ――それで何を安心しろというのか?


 という第三者のツッコミは無かった。当たり前だが。


「……私と上泉は」


「友達」


「……うん。……それで」


「それで?」


「……昼休みだから……一緒にご飯食べない?」


「いいよ」


「……いいの?」


「むしろその言葉を発するまでに何度か躊躇したフォースに萌える」


「……可愛い……の?」


「自覚無い?」


「……だって……私はスクールカースト最底辺だから」


「自虐的すぎるのも何だかな。安心して。一緒にご飯を食べよう」


「……私で……いいの?」


「それさっきも聞いたね。可愛いフォースと一緒にご飯が食べられて恐悦至極」


「……ふえ」


 真っ赤になるフォースだった。


 可愛い可愛い。


 僕の悪癖である状況に流されやすいことも手伝っているのだけど、それはフォースには秘密である。


 あれ?


「でも僕はこっちのお金持ってないよ?」


 フォースの友達になるために姉のパワーから給料が出る予定だけど、まだ給料日じゃない。いや……給料日なんて制度が存在するかも怪しいところだけど。


「……大丈夫。……ストーカー養成学院の……学食は無料」


 あ、そなの。


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