第7話「美術室での出会い」
放課後、廊下を歩いていると、重そうに画材を抱えた女生徒がふらふらと廊下を歩いているのが目に入った。
これはいけない。プリンスとして、彼女を助けねば。
「大丈夫?持つよ」
にっこり微笑むと、彼女は頬を一瞬で真っ赤に染めた。
「いえいえ!いいんです!八王子様にこんなことさせるわけには!」
「でも大変なんでしょ?困った時はお互い様、だよ」
ね?と小首を傾げると、彼女は頬を赤くしてピタリと固まった。
だから貸して、と画材を半ば強制的に受け取る。
「美術室だよね?」
「は、はい…」
「私が運ぶから、後は気にしないで」
「はい…」
そう呟いた彼女の瞳は、私の微笑みにうっとりとしていた。
ふふふ、と私はご満悦になりながら、颯爽と共同棟にある美術室へと歩を進めた。
◻️◻️◻️
さてと…と美術室の扉を鍵で開けようとすると、鍵は既に開いていた。
あれ?なんかこんなこと昨日もあったぞ?
デジャヴを感じながら、ガラガラと扉を開ける。
そこには、黒板と同じくらい…いやそれ以上あるんじゃないかってくらい大きなキャンバスに絵を描いている青年がいた。
描いているのは星空、だろうか。
美しい絵に思わず足を止めていると、彼はこちらを振り返った。
「あ、…」
そこまで言って彼も固まった。
頼んでいた女生徒と違うと気づいたからだろう。
もしかして、彼は美術科の生徒だろうか。