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アキノヨゾラ  作者: こねこちゃん
8/15

函館港

9月10日の午前9時15分。

函館港内のあらかたのゾンビを駆除できたと判断し、僕は以前ひどい目にあった船着き場にいた。


以前来たときに分かったことは、小型漁船の何割かはエンジンキーが着けっぱなしになっていたことだ。

理由はよくわからないが、この辺りは田舎の家みたいに鍵をしなくても泥棒が入らない文化だったりしたのだろうか。

もしかしたら、”あの日”に夜間操業とかしていた船かもしれないな。


ラッキーではあったが、数か月間動かしていないエンジンである。

バッテリーがあがっているのか、4台ほどエンジン始動を試したのだが結局動く船は見つからなかった。

まあ、ここでゾンビ軍団に見つかってしまったのでそれ以上は試せなかったのもあるが。


エンジンの始動方法はおっさんの手際を見て覚えている。

バッテリーの位置もだいたい把握しているから、もし始動しなければバッテリー液を入れ替えて挑戦してみようと考えている。

それでもダメならバッテリー交換しかないが、船舶用のバッテリーは結構な重量がありそうなので、最後の手段だ。


それでも駄目なら青函トンネルしかないが……徒歩で50㎞を暗闇の中進むのはできれば御免被りたい。おそらくはゾンビも多数いるであろうし、自殺行為に等しいと思うしな。



1台目。

やっぱり駄目だ。

キュルキュルと始動音は鳴るのだが、どうしてもエンジンはかからない。

バッテリー補充液と強化液を足してみたが、それでも駄目だった。


2台目も同様。

エンジンはキュルキュルと空しい音を響かせる。


こうして5台ほど試してみたのだが、どれも結果は同じだった。


そして、半ば絶望の中で試した6台目。

なんと、エンジンは元気よく回り始めたのだ。


「よっしゃあぁぁぁぁぁ!!!」


ははっ、僕の声ってこんなんだったっけ?

僕は久しぶりに腹の底から叫び声をあげた。


さて、後は必要な物資を積み込んで出向だ、と意気揚々と道を引き返し始めようと振り向いたとき、日陰から数体のゾンビどもがフラフラと現れたことに気付いたのだった。


まだ生き残りがいたのか。

しかしながら距離もまちまちであり、一体ずつ始末していけば問題ないだろう。

僕はゾンビにあえて数メートルの距離まで接近して、頭目掛けてクロスボウの引き鉄を引いていく。

一撃で死ななかったゾンビは、転がして工事用のハンマーで頭を叩き潰す。

本土行きが現実的になったこともあり、心は高揚していた。

それもあってか、まるでハンティング気分で次々と駆除していった。


しかしながら、そんな僕の気分を再び暗くする出来事が起こった。



「……おっさん?」


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