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アキノヨゾラ  作者: こねこちゃん
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武器

何としても、東京に帰らねば。


しかしながら、あのゾンビの群れを何とかしない限りはどうしようもないのだ。

別の港から迂回するという手も考えたが、同行者に操船の経験者がいなくなった今、それは自殺行為と言えるだろう。

リスクは付き物と言え、無理なことを強行することはそれに当たるまい。


ゾンビを少しずつ駆除していけばいいのではないか、と提案してみたが、皆は全く乗り気になってくれない。

道民である彼らにとって、現状では危険を冒してまで本土に渡る段取りを強行する理由が無いのだ。

食糧も生活物資も数年は生きていけるくらいある。

もしかしたらいつかは本土に渡らなければならない理由ができるかもしれないが、今はまだ情報が足りな過ぎるので、じっくり情報収集することに重点を置くべき時期だから、ということだ。


……そりゃ、そうだろうな。その通りだと思うよ。

妻と娘の件が無ければ大賛成だ。

だけどな、もう我慢の限界だ。

僕ひとりでもやってやる。



今回も、思わぬところから助けが入った。

自衛隊員の成瀬という男だ。

この男は旭川の自衛隊基地内にある生存者コミュニティから警護のために札幌コミュニティに派遣されてきていた者であり、小銃や拳銃を装備し不測の事態に備えている。


この男より「餞別だ」と渡されたのはクロスボウと暗視スコープだった。

銃器は渡せないが、これは市内のミリタリーショップで見つけて来たモノだから遠慮なく使ってくれ、とのことだった。

暗視スコープなどはひと昔前とは言え軍用品らしい。こんな感じで、日本には銃器本体は輸入できないのだが、周辺機器は意外と本物が入ってきているらしい。

また、玩具でも本物顔負けの性能のシロモノもあるぞ、と熱が籠った解説を頂いた。

成瀬さんは軍事マニアを拗らせて入隊したクチなのだろうか。


それと、独りでゾンビの大群を駆除する場合を想定して考えたという対処法も教えてくれた。クロスボウと暗視スコープはその対処法に必須の武器だった。


ありがたい、半ばヤケクソに近かった東京行きが現実味を帯びてきた。

この恩は生涯忘れないだろう。


そして翌朝の8月2日。

ここまで長かったが、僕は再び札幌を後にした。

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