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第8話  『2頭目』

20190209公開



 災獣の腹の傷は浅くは無いけど、動けなくなる程や無い。ハンター3人を殺す事は出来るやろ。

 殺す時間は5秒か6秒くらいしか要らんやろうからな。

 この角度からMINIMIを撃っても背中の脂肪層で弾が停まって無視される可能性が高いやろ。

 時間との競争やけど、ウチは覚悟を固めた。

 あかんかった時はあかんかった時や。人事を尽くして天命を待つ、という言葉が有るからな。


 また右手にMK3A2攻撃手榴弾を召喚した。


手榴弾てりゅうだん! 香織カオリン援護頼むで!」


 隠れてた木の陰から飛び出しながらみんなに叫ぶ。

 特に香織カオリンはここで援護して貰わんと、一緒に来かねんからな。

 ここから援護して貰った方が助かるしな。


 頭の中で1.8秒待ってから災獣の背中目掛けてサイドスローでMK3A2攻撃手榴弾を投げる。

 コントロールと速度をスナップで調整するのを忘れんとな。 

 MK3A2攻撃手榴弾はウチの狙い通りに災獣の背中から30㌢のところで爆発してくれた。

 災獣が初めて耳障りな鳴き声を上げた。重低音に金属が擦れる様な音が合わさって、なんとなくゴジ●を思い出させる鳴き声や。

 でも、手榴弾の狙いは殺す事や無い。そんな至近距離で爆発しても、殺せるほどの威力は無いやろからな。

 1番の目的は目の前のハンターから気を逸らす為や。

 衝撃波で災獣の皮膚が1㍍くらいの円形にズタズタに傷付いたけど、やはり致命傷には遠いな。

 ま、中心部の傷はかなり深いから動きが更に悪くなるやろし、良い的が出来た。


 その頃には、ウチは沼を回り込みながら災獣との距離の半分を走破してた。

 と同時に走り方を変えてる。

 腰を落として上下にぶれない様に走りつつ、召喚したダットサイト付きハチキュウで一瞬のチャンスを待ち構えてる最中や。

 

香織カオリン、傷狙ってや!」


 ウチの指示に合わせて、みんなの狙いが傷口に集中し始めた。

 ウチら日系人は伊達に7歳の頃からハチキュウを撃ってない。

 50~60㍍の距離から10㌢くらいの的に当てるのは朝飯前や。

 こう言うのを傷口に塩を塗る、って言うんやったっけ?

 よほど、追撃が効いてるんか、災獣が後ろを振り返った。

 それこそ、ウチが待ってた瞬間や。


 いやー、もうね、バッチリとウチと目が合ったで。

 左側眼でウチを発見して、そのままウチを見据えようとこっちを向いた瞬間にダットサイトの中の赤い輝点と災獣の左前眼が重なった。

 3発制限点射で放たれた弾は3発とも災獣の眼球に吸い込まれた。

 最初に眼球を破裂させ、視神経をズタズタに引き裂きながら眼球奥の薄い骨を突き破って脳まで達した弾は、柔らかい脳を完全に破壊して頭蓋骨に半ばめり込んだところで止まった。


 身体を大きく麻痺させた災獣を敢えて無視して、ウチは3人のハンターの姿を探した。

 見付けた時には、災獣がゆっくりと横倒しに崩れ落ちるとこやった。

 すぐに視線をハンターが出て来た森との境界線に向ける。

 


「早く、こっちに来てや! 次、来るで!」



 撃たれた災獣が倒れるのと、新たな災獣が姿を現したのは同時やった。



  


お読み頂き、誠に有り難うございます。



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