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第7話  『MK3A2攻撃手榴弾』

20190208公開



 まず最初に起こったのは、信号弾魔法が上がった付近から一斉に逃げ出して来るあらゆる動物が広場に姿を現した事や。

 まさしく奔流やった。害獣はもちろん、大きな豚に似たイベリコ、頑丈な皮が特徴のトリケラ、その他、ありとあらゆる動物がこっちに逃げて来よった。

 沼と言っても水深が浅いのか、それともそれどころじゃないんか、かなりの数が沼に向かってる。

 その進路の先にはウチらがる。あの奔流に巻き込まれるだけで大怪我必至や。


 ウチは大きな声でみんなに注意を呼び掛けた。


「みんな、伏せてや!」


 仕方ない、ほんまは使いたくないやけどな。

 ハチキュウを一旦消して、新たな召喚をする。

 右手に重みが現れた。

 左手の人差し指で安全ピンをねじりながら引き抜くと安全ピンが消えた。

 次に左手にMK3A2攻撃手榴弾を逆さに召喚して右手の人差し指で同じ様に安全ピンを抜いた。 

 頭の中でカウントしてるけど、タイミングはバッチリや。まずは右手のMK3A2攻撃手榴弾を下手投げで沼の上空に投げながら叫んだ。

 

手榴弾てりゅうだん!」


 ウチは2秒ごとにMK3A2攻撃手榴弾を両手に交互に召喚して、交互に沼の上空に向かって加減をしながら投げ込んで行く。

 放物線を描いて飛んだ手榴弾は計算通り、10㍍先の地上50㌢の位置で爆発を続けた。

 

 こっちに殺到しようとしていた奔流はきれいに左右に別れた。

 ウチがMINIMIを召喚した頃に、寺田さんが呆然と呟いた。 


「凄いな・・・」


 寺田さんがこっちを見て、昨日とは違う質問をして来た。


「オクダ、本当にハンターになって2日目か?」


 もちろん、ウチの答えは決まってる。


「ピチピチ13歳のド新人ハンターです」


 何故か残念な子を見る目になったが、危機が去っていない事を思い出したんか、寺田さんの目が真剣なものに変った。


「全員、無事か?」


 敢えて殺傷力の強いM26破片手榴弾を使わんと、殺傷範囲の狭いMK3A2攻撃手榴弾を使ったんやからこっちまで破片は飛んで来ていない筈や。

 みんなは呆然としながら返事をしたが、問題無さそうやな。

 まあ、香織カオリンだけは、何か悟りを開いたかの様な表情やったけど、気にせんとこ。


「どうします?」


 ウチの問い掛けに一瞬だけ迷いを見せたけど、寺田さんの決断は1つしかあらへん。


「ここで迎え討つ。全員、各個に連射用意。災獣が姿を現したら、各自の判断で撃て」

「はい」


 そう、ここで下手に背中を見せたら、逆に追い詰められる可能性が出て来る。

 平野で競走すれば、遺伝子操作とピコマシンの底上げの結果、100㍍9秒を余裕で切れるウチらの方がちょっと早いと思う。

 この島の災獣は身体ががっしりしてて体重が重いから、脚は速ないからな。

 問題はここが森の中って事や。普通に考えて、ウチらも災獣も森の中は真っ直ぐに走れん。

 でも災獣やったら、細い木くらいやったらへし折るくらいの突進力が有るから、気が付いたら追い詰められてた、って事も有り得るからな。

 ま、究極の選択ってヤツや。

 広場の淵に生えてる割としっかりした木の後ろに回り、それぞれのポジションで災獣が現れるのを待ち構える事にした。 


 もう少しで姿を現す頃か、と思った瞬間、右斜めの方向、俗に言う2時の方向から災獣が姿を現した。

 さすがに想定外の方向からの登場に、全員の反応が一瞬だけ遅れた。

 照準を切り替えてる最中に、今度はさっきまで狙っていた場所から3人のハンターが現れた。


 げ、この複数現れた災獣は連携を取ってる?

 その証拠に、先に現れた災獣が、ハンターの進路を妨害すべく回り込もうと動いたからな。

 横っ腹を晒してる今なら射線は取れる、と判断した時にはウチの指は引金を引いてた。

 狙いは筋肉が付いていなくて、脂肪層も薄い腹の部分や。

 5.56㍉弾でも、ここなら食い止められる事無く内臓まで到達出来る筈や。

 2秒しか射線は取れんかったけど、何とか結果は得た。

 災獣の腹部から大量の出血が発生したからな。



 けど、それだけやった・・・

 


お読み頂き、誠に有り難うございます。


 

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