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第5話  『北の森へ』

20190205公開



「さて、今日は北の森に向かう。理由は分かるな?」


 寺田さんが点呼の後に訊いて来た。


「東の林はしばらく害獣が出難いからですか?」

「それも有る」


 坂口理恵リエッチちゃんがみんなを代表して答えてくれた。


「もちろん、昨日の災獣が出た場所から離れた場所に行けば害獣は居るだろうが、初心者には少し荷が重い場所になる。それなら、北の森の方がまだマシだ。まあ、それ以前に東の林の立ち入りは協会の調査待ちだ」


 なるほど。

 普段は災獣が出ないところに現れたんだから、当然調べるわな。

 でも、片道で30分も余分に歩くのは正直なところ勘弁して欲しいで。


「まあ、今日は移動する時の訓練も兼ねていると考えておけ。災獣の死骸はかなり深く埋めたし、多分2日か3日もすれば調査も終わって東の林で狩りが出来る様になるだろう」

「はい」


 ちなみに、昨日は2つの地獄を見た。

 1つめは獣珠テソロを取り出す際の胃の内容物祭りや。

 2つめは力仕事や。

 なんせ、昨日は狩りをするよりも災獣の死骸を埋めるのがメインの仕事やったと言っても過言では無かったからな。

 体長4㍍、体重も1㌧を軽く超える巨体を埋める為の穴を掘るのが楽な訳有らへん。

 まあ、救いはウチら日系人の生活魔法には、シャベル召喚が有る事や。

 元々は戦闘魔法に区分されていたそうやけどな。

 理由は、今では禁止されているコピペ召喚でよばれた自衛隊員の召喚者が装備していたから戦闘魔法に区分されたって、第2次学校の授業の脱線話しで聞いた。

 もしシャベル召喚が出来へんかったら、わざわざ村に戻らなあかんかったとこや。

 もっとも、地獄は続いたで。

 穴を掘るだけでもヘトヘトやのに、災獣の死骸を穴に入れるのがほんと大変やった。

 普通に押しても動かへん訳や。

 仕方が無いんで、ウチの奥の手の1つを使わなしゃあなかった。

 それは、ウチが召喚出来る膨大な自衛隊の装備品の1つ、『人命救助システム』に含まれる手動式ウインチや。取扱説明書を見る限り、2.5㌧の重量物まで動かせるみたいや。

 7歳の誕生日に迎える第1次成人の御宣託の儀の時に『救命』という文字を見掛けてすぐに内容を確認したんは、前世を看護師として過ごしたから当然の事や。

 そうは言っても期待してた中身とは違ったけどな。

 でも、手動式ウインチが無かったら、確実に人を呼びに行かなあかんかったんで、助かったわ。

 



 ウチらは北の森に向けて出発した。

 昨日との違いは、他のハンターの班や変な服装の人たちが草原のあちらこちらにった事や。

 理由が分からなかったんで寺田さんに訊いてみた。


「ああ、それはな、定期的に草原を巡回する事ではぐれの害獣が発生していないかを確かめているんだ。はぐれの害獣はほとんどが北の森から来るのが経験上分かっている。不意打ちで村や村人を襲われたくないからな」

「なるほど。ありがとうございます」

「いや、問題無い。むしろ、そういう疑問点をドンドン訊いてくれ。慣れて来ると当然の事と認識するから教え損なう可能性が有るからな」

「はい」


 寺田さんは村人の安全に言及したけど、あそこにるのは特殊な職業の人やろ。

 何故なら、畑はスカー村の南の草原を開墾したからや。農民の皆さんは南の平原に居る。

 元々スカー村は只の中継基地として整備されて、それからハンターが常駐する様になって村になったから、他の計画に則って作られた開拓村と違ってる。大きな違いは住民に於けるハンターの構成比が高い事や。農民の人はほとんど居らん。

 

「教官、ハンター以外の人たちは何者なんですか?」

「学者だ。なんでも、他の場所では見付かっていない植物が最近見付かったそうで、その研究の為に滞在しているそうだ」


 大山浩二君コウくんの質問に寺田さんが答えてくれたけど、ひょっとして村の特産品が増えるんか?

 ほら、地方って特産品の有り無しで経済格差が発生するからな。大事な事や。


「どんな植物なんですか?」

「聞いた話だと、ピコマシンの含有率がかなり高いそうだ。それを餌にして家畜に食わせれば、俺たちのピコマシン容量も増やせる可能性が有るって言ってたな」


 おー、それは朗報や。

 ハチキュウにしろMINIMIにしろ、召喚するにはウチらの身体の中に含有されているピコマシンを使う。

 異世界召喚モノで言う魔力とかいうモノや。

 いや、魔素の方が近いか?

 で、その体内のピコマシンが多ければ多い程、撃てる弾数が増える。

 一般的なハンターで250~300発というところや。

 まあ、転生者特典なんかしれんけど、ウチは軽くその倍以上は撃てる。でないとピコマシンの消費が激しいMINIMIなんて使えんからな。

 

 1時間後に辿り着いた北の森は、かなり鬱蒼とした森やった。

 森に入らずに、更に東に30分ほど外側を迂回したら少しは木の密度が薄い所に着いた。



 さあて、今日こそは平穏な狩りがしたいで。





5話までお読み頂き、誠に有り難うございます。


 時間が余っている方だけで結構ですので、

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