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第35話 『東の林殲滅戦 突入』

20190419公開



『カ・イ・カ・ン・・・・ やったっけな?』


 思わずひろ子ちゃんの名セリフの1つも言いたくなるな。

 ipXS級の身体がこれほど凄いとは思わんかったで。

 例えば、精密射撃がかなり楽に出来る様になった。

 前の身体のipSEad級で精密な射撃をするには、マニュアルで補正して照準のブレを無くしてたけど、今のウチの身体はオートでブレを抑えてくれるかの様や。

 それにどういうからくりか知らんけど、集中して視ようとすれば遠くの物が今まで以上に近くに見える気がする。

 まるで、肉眼にズーム機能が付いたかの様や。

 ブレが極小になった事とズーム機能?のおかげで、200㍍近く先に居た災獣にも照準がピタっと合ったまま照準が外れることも有らへんかった。

 これがチートと言わずしてなんと言うんや?状態や。

 

 おっといかん、後ろの事を忘れてたで。どうやら足が止まっているみたいや。

 今振り返ったら、絶対に視線が集中してるな。さすがに恥ずかしいから、口に咥えたままのホイッスルを使って、もう一度指示を出しとこか?

 でも、このホイッスルが自衛隊の予算を削る為のモンやとはな。

 なんでホイッスルが自衛隊の装備品に紛れ込んでいるかを知った時には涙が出そうやったで。

 実弾を使って訓練するのはお金が掛かるから、突撃訓練とかの時にはこのホイッスルで発砲したということにするんや。

 とつげーき! ピピピピピピピィィ! ピピピピィ! 敵陣地を確保しました!

 子供の遊びか?

 

 ウチがホイッスルを吹くと、再び隊列が動き出した気配がする。

 5秒程待ってから、ウチも動き出す事にしようか。

 しかし、まさか林から飛び出して来るとはな。

 念の為というのと、練習がてら300㍍離れたところから隊列を組んだけど、無駄にならんかったな。

 しかも、みんなが見てる前でウチの戦闘力を披露出来たのも大きいで。

 ほら、やっぱり、狩猟士ハンターの世界も実力は重視されるやろからな。

 看護師の世界でも実力と実績が有る人の方がみんなから信用されたからな。

 これから誰も経験した事の無い戦いをするって時に、先頭を行く人間が頼りになると思われた方が士気も上がるやろ。 

 取敢えず、『掴みはOK』ってヤツや。




 さあて、いよいよあと20㍍で林に突入というとこまで来たで。

 ここで一旦、みんなには停止してもらおうか。

 理由は不意打ちの排除や。

 緊張で身体が堅くなっている時に、いきなり害獣や災獣と遭遇すると冷静に対処出来んやろうからな。

 1分くらい、わざと前進を止めて、精神を落ち着けて貰った方がええやろう。

 で、その間にウチは林から飛び出して来るヤツを排除すると。

 こうすれば、これから入る外縁部の害獣と災獣はちょっとは減るやろ。


 

 1分間の間に飛び出て来たのは害獣ばかりで8頭やった。

 災獣に備えて連射モードにしてたから、オーバーキル気味や。いくら指切りしてもどうやっても2発か3発は出てまう。しゃあないけどな。

 うーん、思ったより少ないかな? 最初の7頭から考えて、もっと沢山襲って来る気がしたんやけどな。

 まあ、ええか。

 それと益々この身体の基本スペックの高さが確認出来た。

 反射神経と言うか運動神経と言うか、そういう一瞬の追随性が半端無い。

 バスケマンガでゾーンという言葉を知ったけど、ずっとゾーンに入りっぱなしと言うてもええんちゃうか?

 それに1人目の転生者の戦闘時ログの経験がもの凄くありがたいと思ったで。

 大体、看護師の前世持ちがこれだけ自由自在に銃を撃てる訳有らへん。

 詳しくは星系間移民船プラントも教えてくれへんかったけど、1人目の転生者はどうやら自衛隊の人の中でもプロ中のプロやったみたいやな。本当に感謝感激雨霰かんしゃかんげきあめあられや。 


 さあて、ウォーミングアップも出来たし、それではボチボチと行く事にしよか。



△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽


 

 この少女は本当にヒヨコハンターか?

 林の手前で止まってから1分間で8頭もの森林ラプトルをあっさりと狩ってしまった。

 それも全て頭を打ち抜いてだ。

 それに、今更の様に気が付いたが、射撃の姿勢が妙にさまになっている。

 これだけ安定感を持って、次から次へと撃ち続ける事が出来るハンターを思い浮かべる事が出来ん。


 長音の後に短音1回の短笛の音が鳴り響いた。

 前進の合図だ。


 少女の斜め後ろのポジションで前進を開始する。

 いつでも撃てる様にしようとするが、どうしても肩に力が入る。

 自覚出来るという事は、まだ冷静だ。


 上体を揺らさない様に両足を交互にゆっくりと押し出して着実に前進する。

 お手本は少女だ。彼女は本当に上半身がブレない。歩いている時には多少は揺れていたポニーテールも(今から考えると揺れが少なかった気がするが)、今は全く揺れていない。

 あれだけブレないから射撃もスムーズに出来るのだろう。

 偶々、俺の進路上に射殺された害獣の死体が有った。

 乗り越える瞬間も集中力を切らさずに済ませる事が出来た。

 よし、今日は調子が良い気がする。

 きっと、妹が作ってくれた千羽鶴が効いているんだな。


 遂に林の最外縁部に到達した。

 ここからは雑草や倒木やちょっとした凹凸が存在するので足場が悪くなる。

 自分の担当の範囲の警戒と、足元への注意を同時にこなす必要が有る。



 今日の自分は調子が良いし、千羽鶴の御利益を信じて前進するのみだ。



△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽



35話までお読み頂き、誠に有り難う御座います。


 35話まで読み進めた記念に、ブックマーク・感想・評価をするのは如何でしょうか?

 まあ、反応が無いとは思いますが、これまでも書いて来たんで一応書いておきます(^^)

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