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第20話

20190316公開



 戦況は人類側がかなり押し込まれてた。

 いや、それで済んでるのやから幸運に助けられているとも言える。

 何が幸運やったかと言えば、北の森に狩りに行っていたハンターチームが戻って来る時間帯やったという事や。

 狩猟士会ハンターギルド会館で聞いた話では2つのチームが対応中という事やったけど、現状では7チームにまで増えていた。

 とはいえ、それで軽装甲レックスを圧倒出来てるかと言えば、全く逆や。

 理由はピコマシン切れの戦線離脱者が出てるという点や。

 機動力で負けてる人類側は最初に襲われたという馬車の周りに集まって、怪我で動けん狩猟士ハンターの火力も駆り集めて軽装甲レックスの突撃を阻止してる状況や。

 軽装甲レックスも一気に勝負を賭ける機会を窺ってるんか、距離にして100㍍以内には近付かずにぐるぐると廻ってる。

 


「さあて、どうするかのう。下手に合流を図ろうにも回り込まれて挟撃の憂き目に遭うぞ」



 ウチらは襲撃現場から300㍍程離れた丘の上で腹這いになりながら状況を確認中や。

 お爺ちゃんズチームのリーダー川崎さんの言う通りや。

 ハリウッド映画なら颯爽と騎兵隊よろしく突撃するんやろうけど、残念ながらウチらテラ族の方が軽装甲レックスよりも脚が遅い。あっさりと回り込まれてしまうやろう。

 戦線離脱者と怪我人が多い理由もそれとちゃうかな?

 合流を優先したけどその途中で接近を許したのか、それとも挟み撃ちをしようとして失敗したのかは現状では分からんけど。



「オクダ、何か奥の手は無いか? 例えばMINIMIや手榴弾みたいな凄いのは?」


 残念ながらウチは青いネコ型ロボットでは無いので、そんなに簡単に問題を解決出来る未来グッズを出せる訳では無い。

 普通の狩猟士ハンターからしたら立派なチート能力を星系間移民船プラントから貰ってるけど、それかて万能やない。どこにでも行けるドアなんて貰ってないし、軽装甲レックスを小さくする様なビーム兵器を使える訳でも無い。

 あ、どこで●ドアは星系間移民船プラントなら可能か? なんせ、日常的にハチキュウや純水を魔法ファイノムという名前で瞬間移動させてるからな。


 まあ、冗談はさておき、騒動になる事を覚悟したら、手は幾つか有る。

 例えば、84mm無反動砲ハチヨンとか、110mm個人携帯対戦車弾パンツァーファウストとか、バレットM82A1とか・・・

 なんやったら、12.7mm重機関銃M2(キャリバー50)や96式40mm自動てき弾銃を出してもいい。


 現状では軽装甲レックス側にも決め手が無い状況やから、そこまでしなくても良いやろう。

 それに、これからやる試みが成功したら、狩猟士、ひいては人類全体にメリットが有るからな。



「実は1つ、試したい事が有りますけど、協力をして貰っても良いですか?」

「お、何か手が有るのか?」

「まあ、上手く行くかどうかを試してからの話になりますけど」

「で、どんな事だ?」

「ちょっと待っていて下さいね。今から可能かどうかを試してみますから」

「よし、準備が出来たら言ってくれ」


 目の前にスマホに似たホーム画面を浮かべる。

 通話アプリを開いて、連絡先のアイコンをタップする。画面には2つしか入力されていない連絡先が出て来る。

 1つはあしながさんで、もう1つは初めて使う電話番号や。

 名前は入っていない。

 でも、考えている通りなら、この電話番号を知っている人間はごく少数に限られる筈や。

 その電話番号をタップすると発信音が頭の中に響いた。

 1コールで相手が出た。



『初めて電話を掛けてくれましたね』

『出来たら使いたくなかったんやけどな。スローライフを目指してたからな』


 相手の声を表現するとすれば、女性の声としか言い様が無い。

 年齢は幼女の様でも有り、老婆の様でも有る。


『それで、当船にどの様なご用ですか?』

『日系人の始祖が使ったという、ハチキュウの高速モード弾の使用基準を緩めて欲しいやけど?』

『貴女個人の使用に関しては最初から封印を解除しているので使えますが?』

『知ってる。規模は分からんけど、来るんやろ?』

『なるほど。貴女が陥っている状況は把握しています。その上で、その言葉と言う事は、そういう結論に達したという事ですね?』

『そう言う事や。で、お願いの答えは?』

『この通話が終わった時点を以って、貴女たちが言う狩猟士3等級以上の我が子たちの封印を解除します』

『おおきに。これで乗り切れる可能性が一気に上がったわ。ほんと、助かったで』

『いえ、お気になさらず。むしろ、貴女がそういう方であるという事が分かって良かったです』

『また電話するか分からんけど、お元気で』

『貴女もお元気で』


 通話終了のアイコンをタップした。

 その途端に、寺田さん、お爺ちゃんズチーム6人、それと本田さんの8人が驚いた声を上げた。


「うお、何か出た!? 文字か? えーと、『権限者の要請により、狩猟士3等級以上の資格者に限り、ファイノムの高速モード弾の使用が許可されました』? え? どういう事だ?」

「いや、最後まで読んでみよ。どういう事か分かるぞ」

「太陽系連邦政府教育科学文化保健事務局人類変革計画課所属星系間航宙船7番艦・・・『プラント7』だと?」



 人類に課せられている楔がほんの少しだけ緩んだ瞬間だった。




20話までお読み頂き、誠に有り難うございます。


 時間が余っている方だけで結構ですので、

 20話到達御祝儀として

 ポチッと評価して頂ければ幸いです(^^)/


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