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第17話

20190311公開



 寺田さんの指示に合わせて、ウチらは配置転換を行った。


 ここで重要なのは、予定通りの待ち伏せが可能かどうかや。

 下手に動いて音を立ててしまうと、お昼寝中のイベリコがウチらに気付いて逃げ出すかもしれんからな。そんな事になったら、逃げ出したイベリコたちを追い掛ける害獣の進路と行動が読めん様になる。

 そうなると、遭遇戦ってヤツになって狩りが難しくなるし、危険度が跳ね上がる。 

 まあ、確実に誘い込む手としては、自分達を生餌にするという高等テクニックも有るんやろうけど、新人ハンターにそこまでのリスクを負わすのは避けるべきやろな。


 坂口理恵リエッチちゃんたち5人は、一旦後ろにゆっくりと下がってから北東から来るラプトルに合わせて方向転換した。寺田さんが細かく5人の配置をハンドサインで指示して行く。1分ほどで全員が新しい配置に付いた。

 北から南東までの範囲の視界を確保出来る様に配置してるな。

 きっと、ラプトルの群れの一部が回り込む事を織り込んでるって事やな。

 2人でハンター稼業をする予定のウチと香織カオリンにはこれからも活かす事の無い知識かもしれんけど、こういったベテランハンターのちょっとした配慮やノウハウは参考になるな。


 で、ウチとカオリンは元からの位置を維持や。

 たまたまイベリコたちがお昼寝中の場所が西の方向なので動かんでも北西方向が開けてるしな。

 背後の気配が待ち伏せモードになる頃に、何故かイベリコの子供がこっちにチョコチョコと走って来た。

 その仕草は可愛いんやけど、今はそんな場合やないんや。

 仔イベリコはウチらの3㍍ほど前に開いていた穴に鼻を突っ込んだと思ったら、思いっ切り鼻先を上に振り上げた。

 根っこごと放り上げられた雑草が舞い上がる。

 それらの雑草が落ちるのを見届けた後、その仔イベリコは大人たちが寝そべっている場所までチョコチョコと走って帰った。


 おい、なんやったや、今の?

 遊びか? 遊びなんか?

 楽しそうやったけど、今は止めて欲しかったで。

 意味不明な行動で、ウチと香織カオリンがどれだけ精神的なショックを受けたか分かってるか? 

 香織カオリンなんて、笑いを堪える為に俯いた状態で肩震わせてるやんか。

 ほんとに、もう、適わんなぁ。

 ウチらを弄んだ仔イベリコやけど、今のは可愛いかったんで、許したろか。



 2種類の害獣の群れとの接触は意外な形になった。


 林から5頭の害獣が絡み合いながら飛び出して来た。

 犬程度の大きさのラプトルの背中に噛み付いた、体格で勝るアロの右足に別のラプトルが噛み付いて、更にそのラプトルにもう1頭のアロが噛み付こうとしてる。

 それで、そのアロの尻尾には3頭目のラプトルが噛み付いてるけど、体格差で引きずられている。

 冷静に考えたら、開けた場所にあと少しで出るというタイミングで鉢合わせしたんやと思う。

 でも、ついさっき、仔イベリコに理不尽にも弄ばれたせいで怒りが湧いてしまったんは仕方が無い事や。

 気が付いたら、ハチキュウの切換えレバーを連射にして引き金を引いてた。

 日系人のソウルアームとも言えるハチキュウやけど、さすがにMINIMIに比べると連射速度が遅いのと長時間の連射には向かんから火力としては劣るけど、それでも短時間やったら毎分600発以上は撃てるだけあって、害獣相手には十分な火力を持ってる。

 着弾と同時にラプトルとアロの身体の向こう側に血しぶきが続けさまに飛んだ。

 カオリンも射撃に加わった1秒後には5頭の害獣は全て動かなくなってた。


 動かなくなっているという点ではイベリコの群れも一緒や。

 いきなりの急展開に付いて行けんかったかもしれんな。

 お昼寝の姿勢のまま硬直してる。

 そんな中、さっきの仔イベリコがチョコチョコと走りだして、5頭の害獣の死体に近付いた。

 何する気や? とじっと見てると、何を考えたか、アロの死体を鼻先で持ち上げようとした。


 節子、それ雑草ちゃう。アロの死体や。

 

 2秒程チャレンジした仔イベリコだったが、飽きたのか、硬直して動けない大人たちの許に戻って行った。

 

 

 噴き出して笑い転げ始めたカオリンやったけど、さすがにラプトルの群れの別動隊が東の方向からやって来た時には迎撃にちゃんと参加した。

 

 まあ、口元がムニュムニュしてたんは内緒やけどな。





お読み頂き、誠に有り難う御座いました。



 前回のあとがきにお応え頂き、5:5の評価を付けて頂いた読者様が1名様、及びブックマークをして頂いた読者様が2名様居られます。

 おかげさまで、短めですが何とか17話を書けました。

 この場をお借りして、御礼申し上げます m(_ _)m

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