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第10話 『治療と医療補助魔法』

20190214公開



「あ、ちょうど良かった。ミキ、この人、多分腕の骨が折れていると思う。お願いしていい?」

「うん、ええで、任しとき。あ、その前に・・・」


 ハンター3人が薙ぎ飛ばされた現場に戻ると、手当てが始まるとこやった。

 みんなが医療用の補助魔法を掛けようとしてるけど、元看護師のウチとしては見過ごす事が出来ん事が有る。

 普通、医療補助魔法ヒールを掛ける時は、生活魔法の造水魔法ウォーターで傷口を先に洗い流すのが主流や。

 まあ、それでも何もせずに医療補助魔法ヒールをいきなり掛けるよりはマシや。

 でもな、造水魔法ウォーターでは水量と流量が不足してるから、異物や黴菌が完全に洗い流されへん。

 そんな状態で医療補助魔法ヒールを掛けると、下手すれば異物や黴菌を取り込んだまま細胞再生してしもうて、後で化膿したりする場合が有る。

 そこで、ウチを陰ながら援助してくれてるあしながさんに頼んで、2種類の道具をアイデア料とバーターで作って貰って、テスターとして5セット送って貰ってたんや。

 

 香織カオリンが自分のと一緒に持って来てくれてたウチのリュックサックから、ウチがデザインした水鉄砲を4本取り出した。

 まあ、日本やったら材料なんてホームセンターで塩ビパイプとかゴムパッキンとかを気軽に買えるけど、ここでは銅板から手作りで作らなあかんから、ホンマに手間が掛かる。

 しかも、この島では採れん、ゴムパッキン代わりと浄水作用のある2種類の樹脂を贅沢に使っているから、もし自作しようとすればかなりお金が掛かる医療器具や。

 あしながさん、ほんとおおきにやで。


 大きい方の水鉄砲は1本300㏄の造水魔法ウォーターで作った純水が入っている。

 で、今日は2本持って来たから600㏄を傷口の洗浄に使える。

 小さい方の水鉄砲は1本100㏄の消毒用アルコールが入ってる。

 こっちは市販の消毒用アルコール(当然高いんやけど元看護師としては妥協はしたくなかったんや)が入ってる。その消毒用アルコールを噴霧するノズルが特長の一品や。


 2人の傷口をざっと見て、ベテランハンターの寺田さんに使い方を説明した上で4本とも使い切ってもらう事にした。

 最悪、追加で洗浄するんやったら、造水魔法ウォーターをみんなで同時に使って水鉄砲に給水すればなんとかなるやろ。

 

 

 さて、いよいよ骨折の疑いが有るオッチャンの治療に取り掛かる事にしよか。

 奇遇な事に、今朝出発前にウチを『よ、災獣殺し!』って、からかったオッチャンハンターやった。

 みんなの治療の指揮を執るウチを呆れながら見てたけど、その青白くなった顔には冷や汗が結構流れてた。

 他人よりはかなり流量の多い造水魔法ウォーターで軽く洗い流して左手上腕の傷口を確認する。橈骨とうこつ側の傷は範囲は広いけどただの擦り傷や。異物が残ってないかを確認して、一旦返してもらった消毒用アルコール噴霧器を使って消毒してから、もう1度造水魔法ウォーターで洗い流す。

 更に他人よりも放出量の多い医療補助魔法ヒールを使って力技でさっさと手当を終わらせる。薄っすらと皮膚が再生したところで本命の治療に取り掛かる。

 幸いな事に解放骨折や無い。看護師として働いていた時に見た、ちゃんと医師免許を持っている先生が行っていた診断方法を真似て診断をして行く。

 うん、尺骨側の内出血を起こしている腫れは骨折やな。

 幸いと言って良いのか微妙やけど、ウチが働いた病院には独り言が大きくて有名な年寄りの整形外科の先生がった。

 先輩看護師によると、看護師の教育を兼ねて昔から独り言を言ってたらしい。

 でも患者さんも一緒に聞くんで、微妙な空気が流れる事も多かったなあ。

 さすがに引退した筈やけど元気にしてるかな?

 で、その先生の独り言で、レントゲン撮影前の予備診断の手順も聞いた事が有る。

 それを参考にしたけど、骨幹部骨折で間違いないと思う。

 問題は骨が大きくズレていたり、骨が砕けていないかやけど、転生者特典の中にも目からX線が出る様なレントゲン機能なんて有らへん。  

 だから、完璧な診断や無いけど、9割くらいの確率で割と単純な骨折で済んでると思う。


 骨折は子供と大人とでは直りに大きな差が出る事は意外と知られてない気がするな。

 小児の場合、まず、骨折の度合いが大人よりも低めの場合が多い。柔らかいからかな? 

 で、骨癒合する能力も高いし、本来の形に戻ろうっていう力も強いんや。

 だから、大人と違ってプレートを手術で固定する必要性が低い。

 さて、テラ族と呼ばれる地球からの植民者が受けている遺伝子操作の凄い点がここで発揮される。

 大人であっても、小児並みの自己治癒能力を持ってるんや。


 と言う事で、オッチャンハンターの治療は、森の中に落ちてる真っ直ぐ目な枝を探して副木にして、それを包帯で固定した上で、ウチが骨折部分に届く様に医療補助魔法ヒールを掛けて終わりやった。



 ところで、なんで、誰も、ウチを追い掛けていた災獣がどうなったのか? を訊かんのやろ?



10話までお読み頂き、誠に有り難うございます。


 時間が余っている方だけで結構ですので、

 10話到達お祝儀として

 ポチッと評価して頂ければ幸いです(^^)/



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