マフメノの嫁復活!
マフメノが寂しく帰った後、夜も更けてきて、ロウアは自分の部屋で視線調査をどうするか考えていた。
(昼間も調べたけど、何も無かったし、大丈夫かも?)
実はロウアとマフメノは、女子達がわいわいと騒いでいる時にアルの部屋を調査していた。
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「はぁ~、この会話を聞いているのも良いけどさ……。マフメノ、お嫁さんで少しこの部屋を調べられない?」
「えっ?何をだい?」
「何か隠されているとか?」
「何かってぇ……?」
「盗撮用カメラとか、盗聴器とか……。う~ん、この時代のそういったものってどう言えば良いの……?」
「また、この時代かい?調べてるけど、何も無いよぉ」
「えっ!」
ロウアは意外にもしっかりと色々調べているマフメノに驚いてしまった。
「驚くことないだろぉ。元々、調べるために嫁を入れたんだから……あれ、君ってそれを見越して嫁を女子に同行させたんじゃ?」
「……い、いや。そこまでは……」
「ななな?そこまで考えていなかったと……。まあ、いいか……。ともかく、周囲を調べたけど、それらしい機械は無いよ」
「そうか……。ありがとうね」
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(あの時は何も見つからなかったけど、昼だったからかもしれない……。アルは夜になると視線を感じるって話していたし……。この時間なら、もしかしたら何か見つかるかも。しっかし、首が痛い……)
ロウアは、魂となったロウアなら何か感づいているかもしれないと思った。だから、無駄かもしれないと思いつつ魂となったロウアに話しかけみた。
(ロウア君、こっちの声は聞こえるだろう?アルの部屋に何かないかい?)
すると、パチッと音がした。魂のロウアからのメッセージがラップ音として物理的な音として聞こえた。
(おっ、この音は……。こっちの声は聞こえるみたいだね。ん?それよりもあの部屋にやっぱり何かいるってこと?)
するともう一度、パチッと音がした。
(ロウア君は何かを見つけているようだなぁ……。これは急がないと……。だけど、アルの家に侵入するわけにもいかないし……。う、う~ん、マフメノの嫁さん……、使えるかなぁ)
ロウアは、マフメノの嫁を思い出したが、首を曲げられて動けなくなってしまっていた。
(マフメノは帰っちゃったし……。僕が試してみるか……)
ロウアはマフメノからリモートアクセスの方法を聞いていた。ダメ元で試してみることにした。
(さっき、切断されてしまったけど上手くいくかなぁ。えっと、こうしてっと)
ロウアは、机に備え付けてあった入力デバイスと表示デバイスを使ってマフメノの嫁への接続を試みた。
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# せつぞく e3839e.e38395.e383a1.e3838e
...
# せつぞく完了
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(おぉ、接続出来たっ!さすがマフメノッ!バックアップ装置があったのかも。えっと、OSは起動しているけどコマンドラインベースか……。取りあえず状態を確認しよう)
ロウアはロネントの状態を確認するコマンドを打った。
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# じょうたい
じゅうでん ■■■■□
つうしん じょうたい
つうしん1 × はそん
つうしん2 ○
つうしん3 ○
しこうじゅしん ○
かんかくそうしん ○
かんかく そうち じょうたい
しかく1 ○
しかく2 ○
ちょうかく1 ○
ちょうかく2 ○
きゅうかく1 ○
きゅうかく2 ○
みかく1 ○
みかく2 ○
しょっかく1 ○
しょっかく2 ○
ろくが1 × はそん
ろくが2 ○
ろくが3 ○
からだ じょうたい
あたま △ すいてい ぎゃくほうこう
うで ○
あし ○
からだ △ がいかくにきず
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すると画面には状態を表す結果が一覧表示された。
(英語じゃないから違和感ありまくり……。まあ、それは置いといて……。感覚機器は二重構造で通信機器と録画装置は三重構造か、さすがマフメノ……。てか、操作できそうなのに何で帰ったんだろう……。理想の女性像が壊されたのがよっぽど堪えたのかな?)
すると、またパチッと音がした。
(ロウア君、笑ってるな……。えっと、取りあえず再起動させてヘッドセットで動かせないか確認しよう)
ロウアは続けて再起動のコマンドを入力した。
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# さいきどう
さいきどう しょりかいし
...
さいきどうします
...
ろうあ きどう
つうしん かいし
かんかく かいし
ろくが1 ×
からだ じょうたいかくにん
...
からだ かいし
あたま △ すいてい ぎゃくほうこう
からだ △ がいかくにきず
ろうあ きどうかんりょう
#
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再起動のシーケンスが走り、状態を確認する処理で問題となっている箇所が表示されたものの、マフメノの嫁は正常に再起動された。
(再起動したっ!しかし、何だよ、"ロウア"起動って……。もしかして、ロウア君が作ったOSなのか?はぁ、彼はOSまで作ってしまうのか?すごいな)
……バチッ!
すると今までと違う大きなラップ音が聞こえて、ロウアが、だろ?っというメッセージが聞こえたような気がした。
(わ、分かったって……)
再起動を確認したロウアは、マフメノの残していったヘッドセットを装着した。するとヘッドセットの前にアルの部屋が映し出され、手足を動かすとそれに合わせてマフメノの嫁も動いた。
(おっ!やったっ!何とか動いてる。し、視界が何か変……、そうだ首が180度回転してるんだった……。えいっ!)
……ゴキッ!
ロウアはロネントの手を使って首を元に戻したが、ロネントとの感覚がつながったままだったので、また自分の首を痛めることになった。
(ぐっ……!や、やってしまった……。い、痛い……。うん……?だけど、さっきと逆方向だったから、首の痛みが治ったかも……?)
しかし、さっきと逆方向にねじったためか幸いにも痛みが治った。
(と、とにかく調べてみないと)
ロウアがアルの部屋を見回してみると、そこには散らかったままの部屋が映し出された。
(し、下着もあるが見なかったことにしよう……。しかし、何でちゃんとしまわないかなぁ……。だらしない……)
ロウアは部活のメンバーが誰もいない事に気づいた。
(あれっ?みんながいない……。下の部屋で寝ている?こんな部屋で寝ることは出来ないってわけね)
ロウアが思ったとおり、食事が終わって戻ってくる予定だったのだが、アルが部屋の汚さをみんなに見られたくなくて急遽一階の部屋で寝ることにしたのだった。
(さて……、例の視線ってやつか……。嫁さんの調査機能を使って調べてみるか)
ロウアが思考入力で調査を依頼すると、ヘッドセットが目の前に調査結果を表示した。
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# ちょうさ しゅうへん ロネント
ちょうさちゅう……
しゅうへんにロネントをみつけました
だいすう:いち
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昼間は見つからなかったロネントだったが、再度調べてみるとマフメノの嫁はロネントを1台見つけた。ロウアはその事実に驚愕した。
(あっ……、い、いた……、本当にいた……。昼は見つからなかったからさっきここに来たばかりということ……?えぇぇ……、本当に犯人がいるなんて……。ロウア君、君が知らせてくれた通りだね)
……バチッ!
またも大きなラップ音が聞こえた。
(わ、分かった、分かった。ありがとう)
……バチッ、バチッ!
今度は二回鳴ったから、どうよっ!って魂のロウアが話したように聞こえた。
(はいはい……。いやしかし、実際に調べてみて良かった。見過ごしていたらどうなっていたか……。よ、よし、この物体を調べるため調査モードに切り替えてみよう)
ロウアは更にロネントに命令すると、ヘッドセットの映す画面が調査モードになった。
(えっと……。方向は……)
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# ちょうさ しゅうへん ロネント ほうこう
ちょうさちゅう……
↖↑○
← →
↙↓↘
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(右上か……)
ロウアが画面上に移された矢印を追っていくと、天井の角を指しているのが分かった。
(あ、あそこだな……。えっと、ベットの上ぐらいか)
幸い、アルの部屋に置いてあるベットも空中浮遊するタイプだったため、嫁ロネントはベッドに乗ってると上昇させるスイッチを押した。ベッドの上昇が止まると、嫁ロネントはどっかのゲームのようにジャンプして天井にパンチを食らわせた。
(おりゃっ!)
……ドンッ!!
すると、"それ"は天井のブロックと共に落ちてきた。
(なっ!小さいっ!)
それは手の平サイズのとても小さなロネントで四足歩行型だった。その胴体の両端にはドローンのような2つのプロペラが付いていた。
(プ、プロペラとは……。空中を飛び回るおもちゃだってあるのに……)
ムー大陸では空中に何かを飛ばすような仕組みが一般化していて、例えばベッドでさえ空中に浮いた。その仕組みはおもちゃにも搭載される事もあり、公園などで子どもらがスポーツカーをラジコンのように飛ばして遊んでいることもあった。
しかしながらロウアはこのプロペラを見てちょっとだけ懐かしい気持ちになった。
(はははっ!この時代にしては古めかしいかもしれないけど、僕には懐かしいや。まあ、これで移動してきたって事ね)
ロウアは、この四足歩行ロネントは制御を失っているのか動かなかったので、どうしたのだろうかと思った。
(動かしている人が気づいていないのかな……。今のうちに拘束しなければ……。えっと、だけど困ったな……。そんなもの見つからないぞ……)
ロウアは周りを見渡したが、拘束するようなそれらしい物が無かったのだが、あれこれ考えているとその四足歩行ロネントが動き始めた。
(あっ!しまったっ!逃げられてしまう……。し、仕方ないっ!!!)
ロウアはとっさにそこら辺に転がっていたものを使って縛り上げた。四足歩行ロネントは、縛り上げられて身動きが出来ずもがいていた。すると、その小さなロネントは、マフメノの嫁を見つけて叫ぶように話しかけてきた。
"……き、貴様っ!何者だっ!アル様の部屋で何をしているっ!"
"それはこっちの台詞だっ!お前こそ何をしていたっ!アルが感じた視線の正体はお前だなっ!"
"う、動けない……?お茶を入れている間にぃぃっ!くっ……。お、お前、そのロネントを動かしているお前は……!!そ、そうか、お前はイケカミかっ!!"
"何で僕の名前を?"
"お前みたいな変な奴はアル様につきまとうなっ!アル様の部屋に上がるなんてっ!キ~~ッ!ゆ、許さないっ!"
"のぞき魔が何を言うっ!許さないぞっ!"
ロネント同士で会話しているので端から見ると何とも滑稽だったが、その様子を怒りの目で見ていた女子がいた。
「だ~れが~許さないってぇ~~~っ!!」
"あっ?!;\^「」-@\0p;・9おl。いk、7うjm6yhん5tgb4rfv3えdc2wsx1qz"
マフメノの嫁となったロウアのそばに、またもアルが腕組みしてさっきの二倍の恨み目でこっちを見ていたので、ロネントからは意味不明な声が漏れた。
「んが~~~っ!やだやだやだ~~~っ!!二階が騒がしいと思って来てみたら~っ!イ~ケ~ガ~ミ~~~~~~ッ!!!わ、わ、私の……、し、下着で何しているのよっ!!!」
"ちがっ、違う、違うってっ!!えっ?し、下着ぃ~っ?!"
ロウアがとっさに拾ってロープ代わりにしたものを確認すると、それはアルの下着だった。
"こ、これは……。ち、違う、違う……、これは誤解だってっ!"
「んが~~~っ!!!!ゆっるさ~~~んっ!!!!バカッ!!アホッ!!ダメガミッ!!右腕と一緒にまたどっか飛んでちゃえ~~~っ!!」
……ボキッ!!
アルは頭にきて、マフメノ嫁の首をまた180度曲げてしまった。その勢いでロネントは、また機能を停止した。
2018/07/22
起動プロセスのところちょっと修正
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2023/08/27 文体の訂正、文章の校正




