新部活?
不思議事件簿の調査が終わった翌日の放課後……
「ロウア君ッ!!!!」
アマミルは待ってましたという風体で、ロウアを捕まえに教室まで来た。教室の生徒達は何があったのかと注目していて、ロウアは少し気恥ずかしかった。
「ちょ、ちょ、ちょ、先輩……、声が大きいですって……」
「早く早くっ!!」
アマミルはロウアを部室の前に無理矢理連れてくるとその表の看板を指さした。
「な、な、な~っ!!!」
そこには、こう書いてあった。
"霊界お助けロネント部"
「はっ?!こ、これって……?というかいつ変えたんですか……?仕事早すぎですよ……」
「君の能力を十分に発揮するために、この部署は仕事の内容を変えるわっ!!!」
「は、はい?ど、どんな部活に……?」
「ふふふっ、それは中で話すわっ!」
三日も経ずに部活の内容が変化していき、ロウアは愕然としてしまっていた。
(あははっ、さすが、ご迷惑少女組っ!!!すげえぜっ!ぷぷぷっ)
魂のロウアは、爆笑していた。
(君ねぇ……)
「さっ、中に入ってっ!活動開始よっ!!」
部屋に入ると、部員全員が集まっていた。
「あ、あれ?教室に居ないと思ったらいつの間に……」
よく見ると、アルとシアムもちょこんと座っていてこちらを見つめていた。
「イケカミッ!私も入ることにしたわっ!」
「イケカミ兄さん、私も入って良い?」
「キ、キタクブアイドル部は……?」
「そっちも忙しいから、たまにって事になるけどね~。アマミル先輩の情熱に打たれたわ」
「そうよね、アルちゃん。アマミル先輩の情熱は、すごかったのよっ!」
「いやいや、この前はご迷惑少女組に絡まれて困っているよねって話していたじゃないか……」
ロウアは、そう言いつつも二人の決意に満ちた顔と、アマミルの自信満々の顔を見て、どんなスカウト活動が繰り広げられたのか想像が付いた。
「というかいつスカウトされたんだ……」
「ふふっ、学園のアイドルが入ることで、この活動に広がりが見えるわっ!」
アマミルは力強く握りこぶしを握った。
「ロウアァ……、僕はカフテネ・ミルの二人と同じ部活になれて嬉しいよぉっ!!」
マフメノは、アイドルと同じ部活になれて超絶ハイテンションだった。
「でもさぁ、ビックリしたよぉ。君は、アルちゃんとシアムちゃんからはイケカミ?って呼ばれているのかい?」
マフメノは、ロウアがイケカミと呼ばれていることに違和感を感じたのかそう言った。
「あっ……、ええっと……、あだ名、あだ名だよっ!」
「幼なじみだから独特の呼び方があるってことか~、ウラヤマ~ッ!」
マフメノは、良いように解釈してくれた。
「そ、そ、そう、そうそうっ!ウラヤマって、うらやましいってことね……」
結局何をする部活なのか、意味不明だったが、アマミルが活動方針を発表した。
「さっ!みんな、こっちも見てっ!説明するわっ!正式にこんな風に申請したわ。あっ、年齢は忘れなさいっ!」
そう言うと、アマミルは空中に新部活の申請内容を表示した。
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「霊界お助けロネント部」
【部員】
アマミル 部長 四階生 20歳
イツキナ 副部長 四階生 20歳
マフメノ 部員 三階生 16歳
ロウア 部員 三階生 15歳
アル 部員 三階生 15歳
シアム 部員 三階生 15歳
ホスヰ 部員 一階生 10歳
【活動目標】
学校に通う生徒達の悩みを聞き、解決に向けた方法を模索、提案する。
解決方法には、ナーカル学を基本とした霊界知識、部員達の知識と経験、場合によっては、ロネントを使う事とする。
【活動日】
休日を除く毎日
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「これでさっき承認されたわ」
意気揚々とアマミルは話した。
「ありがとう、アマミルッ!」
イツキナも嬉しそうだった。
「え、えぇっ!承認済みっ?!早すぎませんかっ?」
放課後はさっき始まったばかりだったので、ロウアはその仕事の速さに恐れすら抱いた。
「ロウアァ、ぼ、僕らの同意無しで進んでいるよぉ……」
マフメノは涙ながらにロウアに訴えた。
「なぁに?マフメノ君、文句でもあるの?」
「いいえ、ありませんっ!」
結局、アマミルの方針通りに部活の活動内容が決まってしまった。
ホスヰは、この光景をニコニコしながら見ていた。
「ホスヰは、アマミルお姉ちゃんに従いますっ!!」
「ホスヰちゃんは、良い子ね」
アマミルはニコニコしながら、ホスヰの頭をなでてあげた。
「えへへっ」
「私は異論ありませ~んっ!」
「私も同意します、にゃっ!」
アルは、シアムと同意見だと諸手を挙げて賛成していた。
「良い子達ねっ!」
この部活は、ロネント部 → お助けロネント部 → 霊界お助けロネント部 と二日足らずで変更された。ロウアはアマミルの動きの速さに呆れていた。だけど、喜びに溢れた笑顔を見て、しょうがないなと思い始めていた。
「頑張りますかっ!僕も協力しますよっ!!」
「お、ロウア君ッ!良いわねっ!」
「何だよぉ、ロウアァ……。気が変わったのぉ?ま、カフテネ・ミルとホスヰちゃんがいればいっかぁ。あっ、サイン下さいっ!」
マフメノは未だ少し不満そうだったが、可愛い子がいれば良いらしかった。
こうして、幸せと希望に溢れた少女達と、それに巻き込まれた少年達は部室でこれからのことを話すのだった。
(うはははっ!ゲラゲラッ!あ、ありえねぇっ!なんだこれっ!クククッ!わ、笑いが止まらねぇっ!!腹が痛ぇぇっ!身体ねぇのにっ!れ、霊界って俺のことっ?!ちげぇかっ!わはははっ!)
一人の霊体は、腹を抱えて笑っていた。
2022/11/20 文体の訂正、文章の校正




