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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
引きこもり少女 メメルト
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また自己紹介

 ある日、ロウアが学校に登校し教室に入ると、あのキルクモが今のクラスの担任と何かを話していた。ロウアは何故キルクモがここに居るのだろうかといぶかった。自分は経験していないが、魂のロウアの説明では昔の自分の担任だったと聞いていた。ロウアがこの時代に来て初めて出会った教師でもあった。


「やぁ、ロウア君、おはよう」


 キルクモはロウアが教室に入ってきたのに気づくと明るい笑顔と共にロウアに手を振った。


「お、おはようございます。どうされたんですか?キルクモ先生」


「すまんな。君のクラスは今日から変わる事になった」


「えぇ?そうなんですか……」


 ロウアはやっと勉強が追いついて、同レベルの年齢と同じ教室に入れた。その教室の生徒達とも丁度、慣れてきたところだったので、突然、別の教室に移るのだと聞いて戸惑った。


 更に、その事実を聞いた女生徒達は、あり得ないだの、ふざけるな、などの罵声をキルクモ浴びせた。ついこの間、ツナクを賑わしたヒーローが突然同じ教室を移動することになったからだった。


「……やれやれ、私は嫌われ者だな……。これ以上ここに居ると私はどうなるか分からないなぁ……。」


 キルクモは頭をかきながら困った顔をしていた。


「すまないね、みんな職員会議で決まったことなんだ……。」


 キルクモは肩をすくめながらそう言うと、女生徒達のブーイングを後ろにしながらロウアを連れて教室を出て行った。


「……ははは、君は人気者だなぁ……。さて、早速だが新しい教室に案内するよ。といっても私も初めてなのだが」


「は、はい(初めて……?)」


 ロウアは級友にお別れも出来ず、そのままキルクモに連れられて別の教室に向かった。


(この学校って唐突にこういう事が起こるよね)


 ロウアは夏休み中の登校日に突然、成績判定の試験を受けさせられたりしていたのでこう言った。


(お前だけだって~の。しかし、ぷぷぷっ)


(何笑っているだよ……)


 魂のロウアは、また楽しいことが起こったと笑っていた。


 案内された教室に入るとアルとシアムが教室の後ろの席で驚いた顔でこちらを見ていた。驚いたのはロウアも一緒だった。


(アルとシアムがいるよ……)


(なんだあいつらの教室かよ)


 ここでも女生徒達がロウアを見つめて黄色い歓声を上げたのだが、キルクモは冷静に生徒達のために説明を始めた。


「おはよう。みんな。突然だが、学校の方針で私がこの教室の担任に変更になったんだ。私の名前はキルクモと言う。よろしく頼むよ。

さて、ざわついている原因、期待しているとおり、ロウア君もこの教室に変更になったんだ。まずはロウア君、自己紹介してくれるかい?」


「は、はい。ロ、ロウアと言います。よ、よろしくお願いします」


 ロウアは唐突に言われて心構えも出来ずに頭を下げて挨拶をした。


(自己紹介は何回目だろう……)


(あっはっはっ!!傑作っ!)


(笑い事じゃないよ……しかし、アルとシアムの教室に移動になるとは思わなかったなぁ。こういったクラス編成はよくあるの?)


(いや、ないぜ。しっかし、お前はよくクラスが変わる奴だな。これもお前の魔法か?あははっ!)


(そんなわけ無いって……)


 女生徒達は、その紹介を聞いて、これでもかと更に騒ぎ始め、ツナクトノをロウアに向けて写真を撮る者まで居た。


「キャ~ッ!ロウア君~~っ!!!」

「ロウア君が同じクラスに来た~~~っ!!!」

「ロウア~く~んっ!!」

「こっち向いて~~っ!!」


 当のロウアは困り顔でいるしかなかった。アルとシアムもこのことは知らなかったようだった。


「シアムッ!イケガミがこの教室に来たぞっ!」


「う、うん。そうだね。ビックリだね……」


「しかもモテモテじゃないかっ!!何かちょっと笑える」


「わ、笑えるって、アルちゃん……」


「し、しかし、えへへ~、えへへへ~~」


 キルクモはロウアを紹介し終わると、席に案内した。


「それじゃ、ロウア君は、後ろの席かな」


「はい」


 ロウアは席に移動するときに、アルとシアムをチラリと見た。すると、アルは親指を立てて良くやったといった顔をしていた。


(なんだあの良くやった的な顔は……)


(キルクモが来たからじゃないか?)


 キルクモのことが好きなアルは、彼が担任になったので上機嫌だった。よく見ると、目がハート型になったアルはキルクモの方をじっと見つめていた。


(あぁ……、納得……)


 ロウアが席に着くとキルクモが話し始めた。


「担任が急に変わって申し訳なかったな。だが、どうやらこの教室は有名人を集める教室らしいぞ。みんな良かったなっ!」


 キルクモのちょっとした冗談で教室が和んだ。


「私もみんなの顔と名前を覚えないとな。私はロウア君ほど有名ではないがよろしくな」


 ロウアとアルとシアムは、結局、何故同じ教室になったのか理解できなかったが、こうしてサプライズだらけの朝礼が終わった。


2022/10/22 文体の訂正、文章の校正


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