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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
カフテネ・ミル
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キルクモ日記 その3 白右手の王子

 ロウア君がアル君とシアム君の二人を誘拐事件から救った事はツナクのニュースで知ったが、驚愕の事実に驚かざるを得なかった。自分の生徒だった少年が誘拐犯から幼馴染みを救い出し、その誘拐犯はロネントという前代未聞の事件だったからだ。


 彼は何もしていないでも誘拐犯のロネント達が壊れたと言ったそうだが、元々所属していた部から考えれば何か仕掛けを施したに違いない。それは警察に言えないようなギリギリの方法だったのだろう。


 この件に関して警察からも学校に事情聴取のようなものがあったが、我々は知るよしもないし、警察も彼をとがめる必要も無いので簡易的な内容で終わった。


 そしてこの件で学年主任ロネント達のロウア君に対する評価は大きく変わった。いつ退学になってもおかしくなかった彼は、今では最大評価となったのだ。これによって、私の杞憂は全て吹き飛んでしまった。


 良くやったぞ、ロウア君!学校の成績も元の学年にはならなかったが、年齢相応の学年に戻ったし、何も言うことはないだろう。


 唯一の問題は、いや小さな問題だが、学校が騒がしくなった事だろうか。

 元々、アル君とシアム君はアイドルとして有名だったが、その一人を救ったというロウアが加わって、三人が廊下を歩くと学校中がざわめき始めるようになった。


 元は私も彼の担任だったので生徒達からロウア君について質問を受けるようになった。彼に彼女がいるのかとか、アル君とシアム君のどちらと付き合っているのかとか、彼の写真を持っていないかとか、サインをもらえないかとか、年齢相応の質問だが正直、少し閉口している。


 いずれにしてもロウア君の右腕も完治して良かった。再生治療の弱点は再生した皮膚組織の色素を失ってしまうことだろう。つまり、彼の右手も真っ白になってしまった。そのため、「白右手の王子」という二つ名が彼についた。"王子"とは失礼ながら笑ってしまうが、さながら王女様を救った"王子様"ということなのだろう。女生徒達にはたまらなくかっこ良く映るだろうな。


 教師生活をして何年経ったのだろう。こんな目立った生徒が三名も現れるなんて今まであっただろうか。嬉しくもあり、騒がしくもあり、いずれにしても、しばらくは楽しめそうだな。


2022/10/20 文体の訂正、文章の校正


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