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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
黄金の少年
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対照となる者

シアム達、部員達は神殿上層部の別室でその映像を見ていた。


「ふわ~っ!ホスヰちゃん…、じゃなく、ラ・エネケルが綺麗、にゃっ!」


「おぉ~っ!あの王冠って良いじゃんっ!シアム、ライブで真似しようぜ~。」


シアムとアルがホスヰの衣装に感嘆の声を上げた。


「はい、そうですそうですっ!アル様やシアム様がおつけになったら、お似合いに違いありませんっ!」


ツクが二人の会話に加わるようにそう言った。


「ホスヰちゃん、キレカワだわ~。たまらんなぁ。あとで頬ずりしようっ!」


「なによ、キレカワって。」


アマミルがイツキナの理解不能な単語を突っ込んだ。


「"綺麗で可愛い"に決まっているじゃないか~。」


イツキナは嬉しそうにそう言ったので、アマミルはため息をしながら頭を抱えた。


「ですけど、イツキナ先輩もキレカワですよっ!」


アルが、イツキナの姿を指してそう言った。女王の言葉の後に、コトダマを結ぶ予定のコトダマ隊の一人として、イツキナも白い神官の衣装に包まれていてVR化粧もしていた。


「え~っ!ほんと~っ!!いや~、テヘニヤ~」


イツキナは褒められてデレ顔になった。


「またっ!!テヘニヤって何よっ!」


「テへ顔のニヤニヤに決まっているだろ~。」


「知らないわよっ!

そろそろ静かにしなさいっ!」


これからの行うことを考えるとふざけている場合ではなかったが、イツキナが遊び半分のようだったのでアマミルは遂に切れてしまった。


「んだよ~っ!自分だって話していたくせに~。アマミルの理不尽女っ!」


指を差しながらそう言ったイツキナにアマミルは腹を立てて睨みつけた。それを見てマフメノは、これ以上一緒に居させない方が良いと判断した。


「もう、喧嘩なんてしないでくださいよ…。ささ、イツキナ先輩は準備のため移動してください。」


「そっか、そろそろ出番か~。」


「ですよ。」


自分の出番だと促されたイツキナだったが、マフメノの顔を見て吹き出しそうになった。


「ぷっ!…マフメノ君、言葉はきっちりしてるけど、いつものあやしげな顔になっとるぞ~。可愛いホスヰちゃんを見たからだろ~っ!」


「えっ!あ、あぁ、しまった…。だ、だって、可愛いじゃ…、ち、違いました…。とてもお綺麗で…、その…。」


マフメノは、すっかりエロ顔になっていたのだった。


「い、痛てて、ツク…、つねらないで…。わ、分かったよぉ~。」


だが、ツクの強烈なつねりで顔を引き締めると、イツキナをコトダマ隊の準備室に移動するよう促した。イツキナはアマミルにあっかんべえをしつつ移動した。


(むっ!あんな顔をしてっ!!まったく…。

あんたが頼りなんだから、しっかりしなさいよ…。)


-----


立体映像では、女王の挨拶が始まろうとしていた。国民達は第一声を今か今かと待ち構えた。


"ドキドキ"

"早くお声が聞きたいぞ~"

"綺麗だなあ"

"し~、そろそろだぞ~"

"うちの子どもぐらいかしら…"

"か、可愛いかも…"


「ムー国の皆さん、初めまして。私が今世の女王となったラ・エネケルです。」


その声は可愛らしくあったが、ホスヰは、かつてラ・ムーと共に活躍した十二使徒の一人ミクヨそのものだった。その声は、威厳に満ち、ムーの国民達は声と一緒に発せされる神の光を感じてやがて畏怖を感じ始めるのだった。


「皆さんの中には、私がカフテネミルというアイドルグループの一員であったのを知っている人も居るかもしれません。子供じみた真似をしてお恥ずかしい限りですが、学校での部活動の一環でした。」


"ほらな"

"やっぱりか~。"

"生写真撮っとけば良かった。"

"俺は動画を撮ったぜ~。"

"おっ!共有してっ!"


「ああしたことも皆様のお心を理解するための行動とご理解ください。」


そう言いながら、ホスヰが照れ笑いをしたため、国民達は心が安らぐのを感じた。


"やだっ!女王様可愛いっ!"

"愛しいぞ"

"不健全だけど…可愛い"

"た、たまらん"


「今は身体も小さく、皆さんの前に姿を見せるのはどうかと思いましたが、国を脅かす者が居るのが分かり、このような機会を頂きました。」


"脅かすって誰なんだろう…"

"分かんね"

"神殿が機能不全だったことじゃない?"

"実感しないな~"

"ほんとにそんな人居るの?"


国民達は、その言葉を聞いても実感できない者達がほとんどだった。


「さて、この国を脅かす者ですが、実際のところ、また実態が掴めていません。ただ、数ヶ月前に国中が霧に包まれた事件を覚えているでしょうか。あの霧に紛れて、かの者はこの神殿の神官達を洗脳させるという暴挙に出ました。」


"洗脳?"

"わ~、怖えぇ"

"あれってやっぱり…"

"神官達おかしかったよね"

"問い合わせしても返事がなかったぞ"

"神殿に行っても誰も居なかった!"


「そのため、神殿の機能が失われ、皆様にご迷惑をおかけしました。その洗脳を防ぐことが出来なかったのは、我々神官達の落ち度でありましょう。大変申し訳ございません。」


そう言いながら、エネケルは頭を下げた。


「ですが、私が肉体を持って皆様の前に現れたことをご理解ください。つまり、私は皆様を必ずお守りするとお約束します。今日は、その宣言に来たのです。そのような脅威に対して私を含め、神官達も最善を尽くしますので皆さんもどうかご安心ください。」


ホスヰの自分達を守るリーダーの力強い言葉に国民達は、この国の安泰を信じた。


"か、かっこいい"

"女王様、可愛い姿なのに力強い"

"素敵!"

"俺は女王についていくぞ!"

"女王様~~!"


「まずは、私たちから皆様に言葉の力を差し上げたいと思います。

合掌し、黙祷してください。」


エネケルがそう言うと、映像を見ていた国民は黙祷した。

神殿では、エネケルの後ろからイツキナを含めた神官達が現れた。不貞な輩は黙祷などせず映像を見ていた。


"お?なんだなんだ?"

"神官達が出て来たぞ"

"何をするんだろう"


そして、神官達は、国民の洗脳を解くためにコトダマを一斉に結んだ。


<<コトダマッ!イケ…


だが、そのコトダマの途中で映像が途切れた。

国民達は何事も起こらないため、やがて目を開け、ノイズと共に映し出された一人の金髪の少年を見つめた。


"あ、あれ、今度は男の子?"

"言葉の力が、この子?"

"だ、誰?"

"金髪で結構可愛い顔をしているね"

"神官の一人?"

"もう一人の女王様?"

"↑男の子だろ~"


この少年を知るものは、この大陸に誰も居なかった。


2021/08/13 うっかり全体的に修正

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