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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
舞姫は姦邪の闇に舞う
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仲直り?

中央政府の建物が破壊されたとあれば、軍港から軍人達が押し寄せる可能性もあったが、カフテネ・ミルに翻弄された軍人達は気づきさえしていなかった。

いや、実際には、各地の爆破は軍港にいる一部の者が気づいていたのでサイレンを鳴らしたのだが、セウスがエメとホセイトスに合流する前にサイレンを破壊しながら移動していたので、数カ所のサイレンがなるだけでその音は小さく、カフテネ・ミルの歌と盛り上がっていた軍人達の歓声でかき消されていた。

その音を鳴らした軍人達も軍港に集まって連絡しようとしたのだが、軍人達は全く耳を貸さず、報告者達はどうもならなかった。


-----


ロウアの捕まっている牢屋まであと少しというところで霊感で状況を確認していたセウスは、


「各地で動き出したな。」


と言った。


「セウス?何ていった?」


それを聞いたホセイトスは、嫌な予感がした。


「ガハハッ!カーシャめ、よくやったぞっ!」


「ま、まさか、お前、"決行"したのか?!」


「そうだぞっ!」


「そうだぞって…、こんな時に…、アホか、お前…。」


ホセイトスは、まさかこんな時に反政府組織のクーデターを実行するとは思わず、呆れてしまった。


「"こんな時"だからだ。あの子達の力を俺は侮っていた。ここまで軍人共を集めるとは思わなかったからなっ!ガハハッ!」


「決行?決行って何なの?」


エメは、その意味が分からず二人に聞いた。


「俺達で一斉に政府を転覆する作戦の事だ…。」


ホセイトスがそう説明するとエメは驚いた。


「えっ!そうなの?

さっきの話からすると唐突に開始したみたいだったけど、予定ではもっと先だったということ?」


「そうだ。

とっきょと良子が思った以上に軍人達を引き寄せたから始めちまったみたいだ…。

こいつは脳筋だから困るぜ…。」


「何だお前たち、仲良しに戻ったのかっ!良かったなっ!」


セウスは、二人が話すのを見てニコニコしながらそう言った。


「ちっ!かんけーないだろっ!

ったく、俺達のところに来た本当の理由は、それだったのかよ…。」


ホセイトスが呆れながらそう言うと、


「それは違うぞ。お前たちが喧嘩になるのが分かっていたら止めに来たのだ。」


セウスは真顔になってそう言った。


「えっ?!喧嘩を分かっていた…?」


エメがそう言うと、


「も、もしかして、お前、俺達のことを分かっていたのか…。」


ホセイトスも続けた。


「当たり前だ、ワル共ぉぉ~っ!」


セウスは二人を茶化すようにワルと言って両手を挙げると二人をがっつりと掴んだ。


「ぬぉっ!何するんだ、馬鹿力でっ!」

「わっ!」


そして、顔を二人に近づけると、


「お前たちは、時間を超えて出会った。

神はたまに悪戯をするが、これには驚いたぞ。

時間旅行など信じられなかったわ。

未来世界って言ってもワシらと変わらんのは以外だったがな。」


と言った。


「俺達の心を読んだのか…。」


「勝手に見えてしまうのだ、許せ。ガハハッ!」


「…だったら、本部にいるときに言えば良いだろうがっ!」


ホセイトスは勝手に心を読んだ上に、何も言わなかったセウスに腹を立てた。


「喧嘩させるわけにはいかんからなっ!

だが、ここで二人で行動するとは思っていなかったわ。」


「それで、ここまで来たのか…?」


「そうだっ!」


「喧嘩を止めるために…。」


今度はエメがそう聞いた。


「そうだっ!」


「…ったく。お前は何なんだよっ!!」


ホセイトスがそう言うと、セウスは二人を離して後ろに一歩退き両手を腰に当てた。


「ワシはオリンデウスだっ!神の使命を受けた者だぞ~。」


その後ろには何かが光っているように見えた。

だが、ホセイトスとエメは、セウスが聞いてもいない事を言ったので頭を抱えた。


「…それは知っているって…、もっと自分の立場をわきまえて…」


ホセイトスがそう言いかけたとき、


「そんなことよりも、軍艦に仕掛けた爆弾も爆発するぞっ!

早くお姫様を助けないとなっ!」


と、セウスは大事なことを連絡した。


「あぁ、そうだった…。…って、おいおい。俺達もやばいじゃ無いかよっ!!

今頃、言いやがって…。

やっぱ、アホだろ、お前…。」


ホセイトスは、作戦で軍艦にも爆薬を仕掛けたのを思い出した。


「ガハハッ!この奴隷艦は平気だろ?」


「"全戦艦"に仕掛けろってお前が指示したんだろうが…。」


「ん~?そうだったか?やばいなっ!ガハハッ!」


「はぁ~。」

「はぁ~。」


ホセイトスとエメは、一緒にため息をついて思わず顔を見合わせた。


「おぉっ!やっぱり、仲直りしたようだなっ!良いことだぞっ!」


それを見たセウスがまたからかうように言ったので、二人はすぐに顔を逸らした。


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