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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
カフテネ・ミル
39/573

アーカちゃん

 時間の静止、それはロウアには感覚として分かっただけで本当かどうかは分からなかった。ただ、周りの全てが凍り付いたように停止して、黒く染まっているのが分かったから、そう判断しただけだった。

 そんな静止した時間の中で、ただ自分だけが不思議と動くことが出来ていて、ふと横の椅子を見ると、以前出会った青髪の女の子が、しれっと座っていた。


= またまた登場っ!こ・ん・ば・ん・はっ!ロウアくんっ! =


「ま、また君か……。何か自然に座っているけど、何しに来たんだ……」


= え~、何しにって、冷たいなぁ~。 =

= 未来が変わったことをお知らせに来たんじゃないかぁ。 =


その子は横に居るロウアの方に身体を向けてそう言った。


「な、何だって?」


= 未来が変わった事を伝えに来た謎の美少女だよっ! =

= 美少女だって自分で言うと恥ずかしいかも?! =


「き、君は誰なんだ……?」


= ん~?僕のことを知りたい? =

= あれ、前回教えなかったっけ? =


 青い髪の女の子は、上を見上げて何かを確認した。


= おお、確かに教えていない =

= うっかり、うっかり =


 ロウアは、そういう彼女が反省しているようには見えなかった。


= え~っと、僕は君たちの時代では……、あ~、何だ? =


 また、彼女は上を見上げて頭を悩ましていた。


= そうか、アーカ・シーク……、違うな、アカシック?そうそう、アカシックレコードと呼ばれている存在だよ~ =


「ア、アカシックレコード?!」


= そうそう、知らないかなぁ~ =


「し、知っているけど……。そんな……。

君がアカシックレコード?

地球の知識を記録している場所だと聞いたけど……。

君は……、その……、人間じゃないか……」


= お、知ってるじゃないっ!そうそうっ! =

= 文明の歴史、人類の歴史、人間一人一人の知識と経験もぜ~んぶ記録しているよ =

= つま~り、僕はあらゆる知識の集大成ってわけさ~ =

= これからは、アカちゃんって呼んでねっ! =

= うん?これだと赤ん坊みたいだな =

= アーカちゃんが良いなっ! =


「文明?人間一人一人って……。

そんなたくさんの情報をどうして記録するんだ……。一体何に使うんだ」


= おお、するどいっ!良い質問だっ! =


「質問じゃ無いけど……」


= 地球の進化を確認するためってところかなぁ =


「聞いてない……って、えぇ?」


= この地球が宇宙の中でどれぐらい進化しているか調べるときに僕が役に立つのだ =

= 尺度ってもんが無いと比較できないじゃない? =


「し、進化?この地球……の……?」


= そうそう、そうなんだよ~ =

= 惑星の進化の記録ってのは、どこでもやっていてね~ =


= つま~り、今、君は宇宙の神秘と話をしているってことだ =

= 少し話過ぎちゃったかも、たはは~っ! =


 アカシックレコードと名乗る少女は、頭をかいて笑っているが、話しの内容とのギャップが激しくて、ロウアは戸惑うのだった。


「惑星の進化って……。地球以外にも生物がいて同じように文明を持っているように聞こえるけど……」


= あったり前じゃ無いか~ =

= え~っと、それは……、いの、いのなか……、いのかわ……? =

= あれ、い、いのなか?……井の中の……、井の中の蛙?うん合ってる…… =

= 井の中の蛙ってもんだよっ!やっと言葉が見つかった…… =


= 君はこの星だけに人類がいると思っているのかい? =


「そ、それは……」


= 銀河系っていくつあると思っているのさ =

= あれ、いくだ? =


「二兆個あると言われている……」


= 二兆個?何か少ないな。あぁ、この宇宙だけだからか =

= まあ、つまり二兆個もあるんだよっ!二兆個っ! =

= 銀河系だからね。銀河系だよ。太陽系じゃ無いんだよっ! =


「う、うん……」


= んで、この銀河系にだって、いくつも太陽系みたいなのが沢山あって =

= そこには、君たちみたいな人類が生活しているんだよ =

= 見たらびっくりな姿の人類もいるかもしれないけど =

= まぁ、つまり、色んな惑星で人類は生活しているってわけさ =

= この太陽系でも地球以外に人類がいるかもね~ =


「えっ?」


= いずれにしても地球の進化が進まないと他の惑星人と交流出来ないっ! =

= この地球のレベルじゃ、交流なんか出来るわけが無い =

= あぁ、勝手に交流しようとする輩もいるけどさぁ……。あれは例外っ! =


= もう戦争なんてしないで地球で統一した考え方を持って欲しいんだよね…… =

= 困ったもんだよ。地球人は =


「ど、どうして……、どうして、そんな君が僕に……」


= 君はこの星のこの時間軸のタイムトラベラー1番目だからさ。特別待遇だよ~ =


「ぼ、僕以外で君に会った人はいるの?」


= この時代では……えっと、ラ・ムーって人が僕と会ったかなぁ =

= あの時は…… =


 青い髪の女の子は、また上を見上げて何かを確認した。ロウアは同じように上を見上げると、巨大な黄金色のたまが回っている。ボールの周りを覆うような巨大な指輪が幾十にも回っていた。


「な、なんだこれは……」


= こらこら、見ちゃ駄目だよ~っ =

= というか、君にはコレが見えるのか =

= そうか、僕が見えるぐらいだもんな =

= さすがレア★8キャラだ =


「こ、これは一体……?」


= これは、そうだなぁ~ =

= 僕自身と言えばいいかな =


= つまり…… =

= 地球の知識そのものさ =


 そう話すアカシックレコード、ここからはアーカと呼ぼう、そのアーカは右手の指を上に刺して顔をロウアに迫らせた。


「(ゴクリ……)あれが地球の全ての知識……」


= ふふっ……。興味津々ってところだね =

= さ、そんなことよりも、変わった未来のアドレスは…… =


 安らぎの場所

https://ncode.syosetu.com/n7232dh/62/

 発作

https://ncode.syosetu.com/n7232dh/63/

 新しい家がもたらしたもの

https://ncode.syosetu.com/n7232dh/78/

 池上君の家で

https://ncode.syosetu.com/n7232dh/92/


= だよ =


= えっと、説明するとね =

= 君の母親は、この時代に君を失うことで絶望的になってしまう =

= 絶望して全てが否定的に見えるようになってしまって……、 =

= え~っと、この人も3000回ぐらい転生する中で =

= この絶望感を引きずってしまうことになる =

= だから、性格がひん曲がりやすくなっちゃうんだよね =


「そうだったのか……」


= だけど、君、というか、君は死んだけど、中身が変わって……、ああ、複雑っ! =

= ともかく、息子は死ななかったんだから、この人の歴史も変わるってもんです =


「良かった……」


= 今日はこんなところで良いかなぁ~ =

= 君の未来も良き方向に流れたんじゃ無いかな =

= んじゃね~っ! =

= あっ、そうそう。この後、君はビックリな展開になるよ~っ! =


 アーカがそう話すと、彼女は消え去り、凍り付いたような時間は一瞬で元のように流れ始めた。


「iないでおくれよ……」


 母親が話し途中だったので、その続きの声が急に聞こえてきて、時間が流れ始めたのが分かった。


「えっ、ビックリな展開って?……あ、あれ?」


「どうしたんだい?急にビックリだって?」


 母親は、何かを話そうとして止まったままになったロウアを見つめた。


「い、いや、何でも無いよ……」


(どうしたんだ?)


 魂のロウアも気になって話しかけてきた。


(また時間が止まっていた……)


(はぁ~、青い髪の女だっけ?)


(そう……。アカシックレコードって名前だって)


(アカ?れこーど?なんだそれ)


(地球の知識だって言ってた)


(はぁ?知識が女の子?なんだそりゃ。

大体、本当なのか?時間が止まっていたって)


(た、多分としか……。

それにしてもあの黄金の珠は……。

とても綺麗な輝きだった……)


 ロウアはその時に見た黄金の珠に魅了されていた。

 地球の知識と呼ばれる黄金の珠を見て、心が吸い込まれていくような感覚に襲われるのだった。

 そして、心の底から"あれ"に触れたいと思うようになった。


(僕はあれに触れたい……)


(何だ、キ○○マにか?)


(……ち、違~うっ!)


 ロウアは、自分の見た黄金の珠について説明した。


(信じがたいなぁ。お前の妄想じゃないのか?でも、妄想なら俺にも聞こえるか)


 ロウアは説明のしようも無く困り果てた。


(だが、あれは……、あれは……、実感がありすぎる……)


(はぁ、お前はへんなやつなんでもう知らんわ)


(……ちぇ、何だよ……)


2022/10/11 文体の訂正

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