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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
カフテネ・ミル
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異文化交流 その3

 ロウアは21世紀の文明はこの大陸から始まったのでは無いかと思い始めていた。このムー文明で育った文化、芸術、知識が世界中に広がったのではないかと。首都ラ・ムーにあるムー女王の建物がピラミッドの形に似ているのも気になっていた。ピラミッド型の建物はよく見ると家の屋根にに一つは設置されていた。


(ぴらみっど?またロウア語か?)


 魂のロウアもアルのように21世紀の言葉をからかった。


(あれは太陽の力を集めてる"ウムル"ってもんだぜ?

これも原理は知らないけどな。

ナーカルの神官達は秘密主義が過ぎるぜ)


(太陽光発電みたいなものか。

それにしたって変換効率が良すぎるような……)


(曇りの日は大変そうなんだけど……)


(はぁ?太陽の力ってのは曇りとか光りが遮ってたって関係ないんだぜ。

お前たちの時代の太陽は今と違うのか?)


(お、同じだけどさ……。

えぇ……、つまり……、光エネルギーを使っているわけじゃないと……。謎だ……)


(さすがに夜になうと弱いけどな。

なんだ、お前たちの時代は光を使っているのか?)


(明るさをエネルギーに変換しているんだ)


(明るさねぇ。それだと確かに曇りとか雨の日は使えそうに無いな。

何か根本的に違う気がする)


(それに、あのウムルを見る限り、このムー文明はエジプト文明に影響があったように思う……。

中南米にもピラミッド型の建物があったというし……)


(それってどこだよ)


 ロウアは世界地図を表示して示した。


(今と地形が違うんだけど……。この辺りかなぁ)


(あぁ、ムーの植民地か。

植民地ならウムルはあるだろうな。

へぇー、この大陸は"沈没"するってお前が言ってたけど、ムーの文明は少し残るのか)


 魂のロウアは陥落する大陸のことを思い出しながらそう言った。いつ陥落するか分からない大陸のことは気にしていないようで、ロウアの話した内容はさらっと受け入れた。


(だけど、ウムルのようにエネルギーは供給されていないよ)


(そのうち壊れるんだろうけど、直せる奴がいなくなるからじゃないか?)


(……そうか。技術は無くなってしまって形だけが残っているのか……。

それにナーカル語……、48文字あるけど日本語とほぼ同じなんだよ。形や発音は全然違うけど)


(そうなん?んじゃあれか、お前の国じゃ魔法が全員使えるのか?)


(い、いや、あれは特殊というか何というか……)


(んだよ、お前だけが魔法を使えるのか)


(魔法なのかな……。自分でもよく分からない……)


(イミフな力を使っているってこと?

……お前だけヘンっていうのは確定だなっ!)


(何か確定された……。

それとラ・ムー様の教えってのが、宗教を勉強したことが無かったから違和感が……)


(そうかぁ、世界の法則を勉強しているだけだと思うんが)


(世界の法則ねぇ……。何だか君らしい……)


 ロウアは21世紀の頭の固い理屈屋の永原を思い出していた。


(お前の国は"にっぽん"だっけか。どんな宗教があるんだよ)


(日本の神様は神社というところにもいるけど、八百万の神といってどこにでもいるんだ。

教えとか教義が文章では存在していなくって国民の生活に根ざしている感じかなあ)


(はぁ……、んじゃ、どんな考えが根ざしているんだよ)


(僕の理解だと日本人は、"和"という考えを重んじている)


(わ?輪っかか?)


(他人とのつながりを深くするという意味だったり、他人との調和を重んじたりすることだと思う)


 そんなことを話ながら、ロウアが池上という名前だった頃、色々な人から助けてもらったことを思い出していた。


(ますます分からんわ。ラ・ムーの思想なら、愛の思想があるけど、それと同じかもしれないな)


(うん。ラ・ムー様の思想は、調和というか愛という思想があるね)


(そだな)


(あと、日本人はとても勤勉だよ。

生活するためという目的もあるけど、みんな仕事とか勉強とか頑張ってる。

それに日本の偉い神様は高天原という天国みたいなところで仕事をしているんだ)


(はぁ、だから、お前たちは神様を見習っているんだと?)


(そうだと思う)


(何だか曖昧な感じだな。

ラ・ムーの思想なら智慧を身につける事が大事ってあるから、同じ感じがしなくもないが……。

まぁ、お前が努力する理由が分かった気がするわ。

ふつーのやつなら逃げ出してるわ)


(そ、そう?)


 図書館ではこんな"異文化交流"が行われるのが常だった。


12人の神官と12ヶ月の名前 その2


ラ・ナクロ:7月

 その智慧により数々の発明をしたとされる。


ラ・ヤヒ:8月

 商人だったが多くの布施によりムーを助けたとされる。


ラ・コル:9月

 巨人族、ムーを殺害しようとする者から何度も助けた武人とされる。


ラ・トランクト:10月

 娼婦だったがムーの思想に触れて改心し、ムーの身辺の世話をしたとされる


ラ・アヒ:11月

 アムと双子、ムーの思想が広まった後、学校を創設したとされる。


ラ・アム:12月

 アヒと共に学校創設に関わる。ムーの思想をまとめたとされる。


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2022/10/11 文体の訂正


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