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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
カフテネ・ミル
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異文化交流 その2

 この図書館では、調べたい情報は机に備え付けてある検索デバイスを使う。この検索デバイスは画面が空中に文字が表示されるタイプだったが、検索する文字はキーボードから入力するわけでは無い。検索する文字を"話し言葉として入力"するか、"頭で思い描いて入力"するかの二通りだった。


 ロウアには二つ目の"思うだけで入力"できるというのが未だに信じられなかった。どうやって考えを文字として取り出しているのか理解できないからだった。


(俺も原理は分からないけど、思考をツナクトノが認識して、目の前の検察装置に伝えているらしいぜ)


 ツナクトノはムー大陸の民が個人個人で持っている端末だった。腕時計のように腕に巻く人もいれば、体内に埋め込んでしまう人もいた。


 このツナクトノは様々な建物の入館パスとして使えるほか、買い物でも使えたり、家の鍵にもなったりもする。様々な情報を保存することが出来るので、例えば学生は学校で授業の内容をノートに取るとその情報を保存する事が出来た。そして、その情報は、ツナクというムー文明特有のネットワークを経由して集約されていた。また、サイズは小さいが空中に表示される画面に簡易に情報を表示することも可能だった。


 そのツナクトノは思考内容を仲介する機能もあるという。だが、魂のロウアも、その原理は知らないという。


(はぁ、思考をツナクトノが?何だかすごいなぁ……)


 だが、どうあろうとロウアの思考は、日本語が混ざっているためツナクトノがうまく認識できないようだった。何度か試したが、その度にエラーが発生して図書館の職員がやってくるという事態に陥るので、仕方なく思考入力は使わないようにしていた。


 だから、初めの頃は言葉すらうまく話せない事もあり、四苦八苦しながら調べたのだった。図書館はこの時代でも静かな場所だったし、ほとんどの人が思考入力だったので恥ずかしい思いをした。


 ロウアは、今日の社会の授業で習った用語を調べたかった。授業内容は、一階生の10歳クラスといっても5歳から積み上げてきた内容だったので、教科書を遡る必要があったからだ。


 こんな調子だったので、1つのことを調べ終わるのに数時間かかることもあった。


(あぁ、やっと習った用語が分かってきた……。知らない単語も出てきて、それも調べてと切りが無い……)


(そりゃ大変だなっ!)


(相変わらず人ごとだなぁ……。

でもさ、算数は驚いたことに十進数だからすぐに理解できたんだよねぇ)


(そうだったな。てか、ジュッシンスウってのは何だ?)


(そ、そっか……。

数字って1から数えて9まで数えたら一桁上がるでしょ?)


(当たり前だろ)


(でも、世の中には二進数とか八進数とか十六進数というのがあってね……)


(うん?桁の上がり方が違うってことか?何か面倒だな。

そのじゅっしんなんとかってのと一緒なら良いじゃねぇか)


(そうなんだけどさ……。

でも、ゼロはインド人が発明したと聞いたことがあるけど、違うのかなぁ……)


(じゅっしんなんとかかどうかは知らないが、数字を数える概念はラ・ムーが広めたって聞いたぜ?

それまでは10までしか数えられなかったんだとよ。

指が10本しか無いからなっ!

ん?足を使えば20本じゃないか?)


(はぁ、ラ・ムー様というのはすごいな)


(文明を進化させるのに数を数えられないんじゃ、話しにならないってことらしい)


(ごもっとも……)


12人の神官と12ヶ月の名前 その1


ラ・ムー:年始

 王国の王子だったが、ムー全体の深い闇を知り、統一方針を説く。その教えは太陽信仰であり、太陽の光のように人々や自然を愛し、慈しめと説いた。その他、人々を幸せにする智慧を身につけよと説いたとされる。


ラ・ヒトツ:1月

 ムーとは幼馴染みだったとされる。第一弟子。


ラ・フムロ:2月

 元は王国を守る武人だったとされ、ムーをヤヒと何度も守ったとされる。


ラ・ミクヨ:3月

 女性で愛の思想が強く、人々への愛が強かったとされる。


ラ・ヨミ:4月

 他宗教を信奉していたが、ムーに説き伏せられた。


ラ・イスタ:5月

 奴隷であったが、ムーを敬愛して尽力したとされる。


ラ・ムロ:6月

 猫族、ムーの愛の思想に共感したとされる。


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2022/10/11 文体の訂正

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