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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
カフテネ・ミル
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異文化交流 その1

 ロウアは、元同級生達にバカにされた事もあり、放課後の勉強に一層力が入った。毎日、授業が終わっては、ナーカル校の図書館に行って勉強するのが習慣になっていた。


 この学校の図書館は三階建てだったが、不思議なことに本が全く置いていない。どちらかというと、大きな自習室のある建物といった感じだった。そのため、一階と二階は長机に椅子が並んでいて、三階は個室が並んでいるような構造だった。


 ロウアは夏休みに三階の個室でアルとシアムにナーカル語を教えてもらったことを思い出していた。


(ちょっと前のことだったけど、懐かしいなぁ……)


(んだよ、じじいっぽいな)


(目まぐるしく生活が変わったからかも……)


(まぁな、だけど、お前だけじゃないんだぜ?)


(そうか、君もだよね……)


(あはははっ!)


 魂となったロウアは、身体を失ったのにさっぱりとした性格のためかあまり気にしていないようだった。


(それにしても、ここは図書館なのに本が無いんだよね……。

情報だけが集まっている場所って感じだなぁ。

この図書館の情報は、外で読めないんだよね?)


(ここは特殊な空間で外からは中の情報は調べられない。

だけど、外で読みたかったら借りれば良いんだぜ?)


(あぁ、借りることは出来るのか)


(まぁな。ツナクトノを使って借りるんだ)


(でも家だとアルとシアムが騒がしいからここで良いか)


(うははっ!正解だなっ!)


 今日もロウアは適当な椅子を見つけて座った。


(う~ん、それにしても、この表示して本を読むというのは苦手だなぁ……)


(そうかぁ?てかさ、お前が時々言う"ホン"っていうのは何なんだ?)


(僕の時代では、色んな知識を紙に書いてひとまとめにしてあるんだ。

この時代のような形態も増えてきているけど……)


 ムー文明では紙媒体の情報はほとんど無く、21世紀でいう電子書籍のような形式で共有されていた。ただし、情報は本のようにひとまとめに"区切られて"いない。情報は、無造作にちりばめられているのが一般的だった。


 つまり、インターネットで情報を検索するような感覚に近い。


 そのため、ちりばめられた情報を自分で構成してまとめる力が必要だった。ムー文明の人類は、それを普通の生活の中で身につけているので情報統括力に優れていた。21世紀の情報の扱い方とは違うのでロウアは慣れるまで時間が掛かった。


(ホンっていうのはそういうものなのか。

情報をあんな燃えちゃうようなもんにまとめるのかよ、無駄だなぁ)


(う、うん。でも、その方が読みやすかったよ)


(一枚一枚をめくって読むんだろ?読みにくそうだけどなぁ)


(この時代の何でもかんでも画面に表示させるやり方の方が読みにくいんだけど……)


(そんなもんかね)


2022/10/11 文体の訂正

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