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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
孤独な戦い
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女王継承について

ラ・ムー様が帰天されてから、十二使徒の間で話し合いが行われました。

この時、私たちもかなり歳を取っていましたが、ラ・ムー様の思想を絶やすわけにはいかないと再決意したのです。


当時、思想の中心人物がいなくなった事で、国がまた別れてしまいそうになっていました。

ご存じとは思いますが、ラ・ムー様の思想は、数千巻にも及ぶ膨大な思想です。


分裂を企てた者達は、自分達の理解しやすい思想だけを切り取って、これこそがラ・ムー様の真実の思想だと主張し始めたのです。

ラ・ムー様の慈悲はとても深く、お話しをされた時の時代背景や、その場に居た人へ向けたお話しなどもあります。

特定の話だけが素晴らしいという事は無いのです。

お話しの全てが人類に対する助言であり、お話しの全てが時代を変えていくための礎だったのです。


それと、ラ・ムー様は、荒波を起こして敵国からの侵略を退けたり、病気で立てない者を立たせたり、目の見えないものを見えるようにしたり等の数々の奇跡も起こしていますが、それすら信じられなくなった人々も増え始め、信仰自体が揺らぎ始めた時期でもありました。


様々な人々の血が流れ、様々な人々の涙が染み込み、様々な人々の汗で作れたこのムー国が、また分裂するのは避けなければなりませんでした。


そのために我々は、「女王制度」を設けました。

女王制度の下、思想をまとめて、さらに、秩序の取れた神官組織を確立したのです。

そのようにすれば、国が分裂の危機に及ぶ事は無いと考えたのです。


そして、女王は十二使徒が順番に生まれ変わりながら継承する事にしました。

十二使徒は、能力も様々です。

霊力の高い者は、天国にいるラ・ムー様からの指導を受け、力の強い者は組織固めや、周辺国への指導をしました。

また、科学知識の高い者は、科学力で文明を支えることもありました。


女王の継承を繰り返すために、その時代の女王は、生まれてから帰天するまでの間に霊的に精査して次の女王を見つけるのです。

霊力の弱い者は、霊力の高い神官に調べさせる事もありました。


これを繰り返し、繰り返し、我々が守った国は、二千年近く存続できました。


先代の女王は、200年近く生きましたが、最後の仕事である私の使命が出来ずに亡くなってしまいました。

それは先代の霊能力が低かった事もありますが、私自身が病弱だったために霊力の高い神官達も見つけられなかったためです。

魂が健全だっとしても、身体が病弱であれば、霊力も低下してしまうのも事実です。

神官達の発する霊波に私の霊波が同調できなかったのです。


つまり、今世の身体が病弱だったために、女王継承の仕組みが崩壊しそうになっていました。

私の生みの親は、私を病院を廻らせたり、民間療法を試したりしましたが、治る気配はありませんでした。

ところが、ロウアという青年が現れるとあっという間に身体を治してしまいました。

彼のお陰で身体も治り、健康になれたお陰で神官達も私を見つける事が出来たのです。

そう、丁度、皆さんと一緒にコンサートで歌った頃です。

私があの場で歌う事で神官達はすぐに私を見つける事が出来ました。


イケガミお兄ちゃんの魂は、高貴さが漂っていましたが、天国で調べて見ても、どこから来たのか分かるものが居ませんでした。

やがて部活の活動中に彼が未来からやって来たイケガミという人物と聞き及んで十二使徒は全員、驚愕しました。

ラ・ムー様も時空を超えた魂などは聞いた事が無いとおっしゃっていました。


お兄ちゃんが私を治すために使ったコトダマも不思議な力を持っています。


お兄ちゃんは、自らの元々持っていた力を使い、ナーカル語の隠された力を引き出しました。

この力の出所は未だに私たちも分かりません。

ただ、ナーカル語は、遙か昔からこの地で使われていた言葉です。

どこかに秘密が隠されているのかもしれません。

いにしえの彼方から引き継がれた神秘の力なのかもしれません。


継承の話から逸れてしまいましたが、これが今お話しできる全てです。


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