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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
孤独な戦い
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情報連結1

学習旅行は、10日間(ムーでは一週間)を使って活動する。

ほとんどの学生は、3~4日で終わらせてしまい、残りは休暇にしてしまうことが多かった。

よって、六日目の「た」曜日は、授業などの無い休日扱いであり、学校に生徒はほとんどいない。

ただ、学習旅行のレポートをまとめるなどのために、学校自体は解放されている。


アマミルは前日に学習旅行を終えていたマフメノチームのマフメノ、ツク、ホスヰを"緊急"と称して呼び出した。


その緊急招集の日は、すでに昼食の時間は過ぎていて、集合時間の午後一時近くになっていた。


マフメノとツクは、ほとんど学生のいない静まりきった学生食堂で、ロネントの作った昼食をとった後、何が緊急なのかと思いつつ、部室に向かった。

二人は、手をつないで部室の扉を開けたが、その姿が部員達に見つかると、さっと手を離して顔を真っ赤にしてそれぞれの定位置に座った。


「(あ、あれ、マフメノ先輩、誰からも突っ込まれませんでしたね…。)」


ツクは、マフメノの手を握って甘えたままだった自分を反省しながら、小声でマフメノに話しかけた。


「(そ、そうだねぇ…。アルちゃんあたりが、からかってくると思ったのにぃ…。)」


マフメノも小声で答えた。

二人は、部屋の雰囲気がピーンと張り詰めているのを感じて、そのせいではないかと思った。


マフメノチームの一員だったホスヰは、すでに到着していて、やはり、同じ空気を感じているのか大人しく椅子にちょこんと座って静かにしていた。


「揃ったわね…。」


アマミルが揃ったことを確認すると、


「あうん…。あれれ…?あれれ…?

あれれ…、もう一人居たような…、気がしますです…、あれれ…?」


ホスヰの言葉にアマミル達は驚きの顔をしたが、


「ええ~、ホスヰちゃん、変な事を言うなぁ。これで全員だろぉ~。」


「あうん…?

…そ、そうでしたっ!そうでしたっ!」


マフメノの指摘でホスヰは、落ち着いてしまった。


「やだやだやだ~っ!マフメノ君達もなのぉ~~~っ!」


アルは黙っていられず、立ち上がると腰に手を当てて、マフメノ達を責めるようにそう言った。


「えっ?僕たちもぉ…?どういうことぉ~?」


「ど、どうしたんですか?アル様…。」


「あうん?」


マフメノ、ツクとホスヰは、何を指摘されたのか分からず、キョトンとした。


「み、皆さん、すごく真剣な顔をされていますが…。

アトランティス国への学習旅行で何かあったのでしょうか…。」


ツクは、勇気を出しながら何があったのかアマミルに聞いた。


「う~ん…、参ったわね…。」


しかし、アマミルは腕を組んで考え事を始めてしまった。


「あぁ…。何てこと…。何てことなんでしょう…。うぅぅ…。」


そして、シアムは下を向いて泣き始めてしまった。


「シ、シアム様っ!ど、どうされたんですかっ!!」


「あ、あうん、あうんっ!シアムお姉ちゃん…?どうしたのぉ~~?」


突然のシアムの涙でツクとホスヰは、どうしてしまったのかと慌てて駆け寄ったが、彼女はシクシクと泣き続けるだけだった。


「…う~んとね…。だ、だけど、説明…?それって、難しいなぁ…。」


イツキナは、他のアトランティス組が言葉を失っているので、本題を切り出すことにしたのだが、どう話して良いのか分からなくなってしまった。


「そ、そうだなぁ~。ロ・ウ・アって覚えている?」


イツキナは、仕方なくロウアの名前を出すことにした。


「えっ!ロ、ロウアッ?!どうしてあいつのことを聞くんですかぁ?」


マフメノは、昔の友達の名前を切り出されて理解出来なかった。


「あ、あはは~…。か、彼ってどうしたのかな~って…。」


「以前、イツキナ先輩は、アルちゃんとシアムちゃんから詳しく聞いたと話してましたよ…?」


マフメノは、イツキナこそ知っているはずだと言わんばかりだった。


「…う~ん。そんときの私ってば、どういう風に聞いたと言ってたかな~…。」


「へ、変な事を言いますねぇ…。

も、もちろん、海で溺れてしまって命を落としたと聞いたって…。」


マフメノがそう言うと、アマミル達は絶句した。

その姿を見てマフメノはどうして良いのか分からなくなってしまった。


「…ど、どうしてロウアの事を聞くんですかぁ?

し、失礼かもですが、今更というか…。

アトランティス国への学習旅行と何か関係しているんですかぁ…?」


「先輩達、どうされたんですか…?何か変ですよ…。」


マフメノとツクは、何故、今年の夏に亡くなった友達のことを聞いたのかと首をかしげた。


「はぁ~…。

マフメノ君達も、アルちゃん、シアムちゃんのお母さんと同じ…。

昨日の夜、保安部に聞いたのと同じかぁ…。」


「???」

「???」

「???」


マフメノ、ツク、ホスヰは頭にはてなマークが付いていた。


「保安部の人なんて、

ロウアって人は、調べたら死人だぞっ!!

何を言ってるのか~~っ!

ふざけてるなら帰れ~~っ!!

って、怒るしさ~…。」


イツキナは、くるりと回りながら、まさにお手上げだと両手を上げた。


昨晩、アマミルとイツキナは、寮に戻る途中、保安部の派出所にロウアがアトランティス国に捕まったことを伝えようとした。

だが、派出所にいた人は、ロウアの居場所を確認しようとしたら、すでにムーの中央神殿のデータでは彼は亡くなっていることが分かって、二人がいたずらに来たのだと思い、怒って門前払いをしたのだった。


「し、死人扱いって…。まるで生きていたみたいな事を言いますねぇ…。」


無論、マフメノは理解出来なかった。


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