感謝
ホスヰを助けてて間もなく時間が停止して、青髪の女の子と話をしたロウアだった。だが、ロウアは事情が飲み込めず、混乱していた。
(な、何だったんだ……)
不思議そうにロウアは周りをキョロキョロとした。
(うん?何の事だ?お前のその浄化能力のことか?)
(え?今の女の子見なかった?)
(あの彷徨ってた女の子は俺も見たって)
(違う、違う、青い髪の女子だよ)
(そんな奴いないぜ?どうしたんだよ。お前の何かの力で今度は青髪の女でも出したのか?)
(……い、いや)
(んだよ、どうしたんだよ。
本当にお前は理解できん……)
ロウア達が話していると扉がいきなり開いた。
バタンッ!!
ロウア二人とホスヰが何事かと扉を見ると、シアムとアル、そしてホスヰの母親らしき人が立っていた。
「あ゛っ?!」
アルは、ロウアが座っている小さな女の子の背中を支えていることにいきり立った。
「"あっ"、じゃないわよっ!!!やだやだやだ~~~っ!!!!何やってるの、ロウアッ!!!!」
「エ、コ、コレハ……、ソノ……、アノ……、……あれ?ナゼ、ココニ……?」
「ロウアが突然教室からいなくなったっていうから追ってきたんじゃないっ!」
「オッテキタ?ドウヤッテ?」
(あぁ、こいつらとは家族設定していたんだった……)
魂のロウアは気まずそうに話した。
(なにそれ……)
(ツナクトノで家族設定すると居場所が丸わかりなんだ)
(そうなのか……)
シアムとホスヰの母親は、棒立ちになっている。
「ワ、ワタシハ、お見舞いじゃない……、オミマイニ キタ」
思わず、一部日本語で謝罪するロウアだった。
「またロウア語で話しても誤魔化されないぞっ!!!」
アルは一歩も引かず怒っている。
「あぁ……」
哀れ、頭を抱える事しか出来ないロウアであった。
すると、ホスヰが話し始めた。
「あうんっ!今度はお姉ちゃんが二人もっ!こんにちはっ!!」
「こ、こんにちは」
「こんにちは」
つられて二人も挨拶をした。
「じゃ、な~~~いっ!!」
「ロウアお兄ちゃん、何でお姉ちゃん達は怒っているの?」
「えっと……」
ホスヰの声を聞いて驚いたのは、アルとシアムだけでは無かった。
「ホスヰッ!?どうしたの?
顔色が……、顔色がとても良くなって……。
そ、それにとても元気な声……」
ホスヰの変化はいつも一緒に暮らしている家族だったから母親には良く分かったのだ。
顔色といい、声の張りといい、いつもと全然違い、幼い頃に見た元気だった頃の我が子の姿だった。
「あうんっ!ロウアお兄ちゃんに治してもらったのっ!」
「はぁ?」
「えっ?」
アルとシアムはきょとんとした。
「えっ?そうなの……?そうなのね……?
あなた、ロウア君と言うのね……。
ありがとう……。
ありがとう……」
「イ、イエ……」
アルとシアムも母親が涙を流しながら感謝し始めてしまって、何も言えなくなってしまうのだった。
2022/10/08 文体の訂正




