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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
見えない鉄格子
279/573

三日目:宿にて

ファッション通りの店が閉まり始める頃、一同は宿に戻った。


「さっ!お風呂に行こっか。」


アマミルは部屋に到着するなり、そう言ったが、ロウアはくたくただったので眠ろうと思っていた。


「ぼ、僕は眠ります…。」


だが、アマミルは、


「ダメよ、お風呂で身体を温めて疲れを取らないと。それにいくらここが寒いと言っても汗を掻いたでしょ?」


と風呂を勧めた。


「は、はぁ。それなら部屋のお風呂に…。」


とロウアが言いかけた時、イツキナが


「そうだっ!カミ君も一緒に入ろ~よっ!この宿って混浴があるでしょっ?」


と、とんでもないことを言い出した。


「…ん?イツキナ先輩…、ごめんなさい…。

疲れているので何を言っているのか分かりませんでした…。」


「みんなでお風呂に入ろうって言ったのっ!

みんなも良いでしょ?

おっきなタオルで隠しながら入るみたいだしっ!」


イツキナはあっけらかんと言ったが、


「…う、うん。えっと、そ、そうね。ま、まぁ、い、良いと…思うわ…。」


さすがのアマミルも躊躇した。

ロウアに風呂を勧めてしまった事もあり、嫌とも言えなかった。


「えぇ、カミィとぉ?まぁ、いっかぁ。だけど、絶対こっちみるなよぉっ!!!」


「…カミィに、兄さんと…、にい…さんとぉ…。にゃにゃにゃ…。(ボボボッ!)」


「シアムが倒れそうだぁ…、しっかりしろっ!」


アルとシアムも何とか同意した。


(また、とんでもないことになってきた…。)


眠そうな目になったロウアは、そんなことを思った。


-----


混浴風呂に行く道中、アマミルとイツキナはツナクでメッセージをやり取りしていた。


    ┌───────────────────┐

    │イツキナ、これってどういうことよ!  │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│どうって。              │

│カミ君を元気づけるために決まってる  │

│じゃない。              │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │どこを元気にするつもりよ…。     │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│ぷっ!そんな意味じゃ無いってっ!   │

│エロいなぁ、アマミルはっ!      │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │む!                 │

    │あんた、恥ずかしくないわけ?     │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│なにが?               │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │裸を見られるかもしれないでしょ?   │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│大丈夫よ、タオルがあるから。     │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │もしかしたらってこともあるでしょ!  │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│あはは!気にしすぎだって~。     │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │あんた身体に無頓着すぎよ。      │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│そうかな~。             │

│この身体だって、所詮、お人形だもの。 │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │はあ?ロネントと一緒にしないでよ!  │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│そうかな~。             │

│死んだから身体を置いてあの世に帰る  │

│んだよ?               │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │そうだけど…。            │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│カミ君のコトダマで魂に戻るのを    │

│実感しちゃったから気にしなくなっ   │

│ちゃったのかも。           │

│あはは~!              │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │そうかもしれないけど、生きてる    │

    │間は身体を大事にしなさいよ!     │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│もう分かったわよ。          │

│だけど、アマミルも本当は嬉しいんで  │

│しょ?                │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │何がよ?               │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│カミ君と一緒のお風呂に入れるじゃない?│

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │バ、バ、バカね!!          │

    │そんな分けないじゃ無いっ!      │

    │あ、あり得な◆○※●□わ       │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│混線してるし!            │

│怒っているところ見ると図星ね!笑笑!!│

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │あんたやっぱり、身体と魂を切り離した │

    │方が良いわ!             │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│死ねって~?あはは!!        │

│私、何回か死んでるし~!       │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │ムカつくわね…。           │

    └───────────────────┘


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