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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
見えない鉄格子
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三日目:首都アトラの大通りにて

三日目になると、ロウア達は、アトランティス国の南部に位置する首都アトラから歩いて行ける国際公園に向かった。

この公園に向かう途中の大通りは、アトラでも名物の観光地になっていて、各地からやって来る人達を待ち構えていた。


(ちょっとした都市といったところかな。東京には数回しか行ったことないけど、あそこまでは発展していないか。)


魂のロウアは、いつものように元の身体から付かず離れずの位置にいて話しかけて来た。


(なんだよ、とーきょーって。)


(僕の国…、じゃなくて、元国?…何か変な感じ…。

まあ、その僕の国、日本の首都だよ。

前に言わなかったっけ?

ムーの首都と比べると、まだまだかもしれないけど…。)


(はあん。建物が全部地面に刺さっていて、車が空中に浮いてないんだっけ?

車には車輪が付いているだよな。

エネルギー効率が悪すぎだろ。どんな原理で動いてんだよ。)


魂のロウアは、興味が無いのか関係の無い車の話をした。


(…この時代の車が、どんな原理で動いているのが僕の方が知りたいよ。)


(そんなの勉強しろって。

そのとーきょーってところも、いまいちだろうけど、ここも田舎都市って感じだな。)


(ムーが発展しているのは認めるけど、何かムカつくなぁ…。

しかし、寒い…。寒すぎる…。)


ロウアは、厚めのコートを着ていたが、その寒さのため身体を震わせた。


(身体があるって不便だな、あははっ!)


霊体となった隣人は、あざ笑ったので、ロウアは無視した。


大通りには、近代的なビルもあれば、庶民が腹を膨らませるための小さな露天形式の飲食店もあり、新古が入り交じったような街だった。

ロウア達は、露天を眺めては、食べ歩きできるようなデザートやら、フルーツやらを色々と買い食いしながらアトラの街を歩いた。


昼食時になると、レストランに入って食事を取ることにした。


「ここねっ!」


アマミルは、観光用の地図を開いて、目の前にある「ハスタ」と書いてあるレストランを指差した。

昼食をここで取る予定だった。


ウェイトレスに注文して出てきたお皿に載っていたのは、まさに小麦粉を固めた細長いパスタだった。

それにチーズと野菜から作ったソースを絡めてあって、お腹をくすぐるような良い匂いがした。


(この麺は少し太いなぁ。うどんみたい…。味は、まぁまぁか。)


ロウアはそんなことを思いながら、目の前にあるどこか懐かしい食事を取った。


「ねぇ、シアム。あの制服って、すごく可愛くない?」


「うん、色も可愛いね。アレを着てコンサートって良いかも、にゃっ!」


「おぉ、それ良いかもっ!」


アルとシアムは、ウェイトレスを見てそう話していたが、声こそ変わらなかったが、顔や髪の色も変えていて、まるで別人のようになっていた。


「しかし、二人は別人みたいだね…。」


ロウアが指摘すると、アルは、


「良いでしょっ!

本当は、大人にならないとやっちゃダメなんだけどねぇ。

私たちは有名になっちゃったから特別に許可されてるんだ~。」


と言った。


「そうだよねっ、ほら、男の人にもなれちゃうんです。」


シアムもツナクで操作しながら顔を次々に変えていった。


「なっ!すごい…。大人ってみんなこんなことやっているのかなぁ…。」


「こんなに大胆に変えないと思うよ。

唇の色とか、顔のシミを消すぐらいじゃないかなぁ。

あと、眉毛の形とか、髪の色を変えるぐらいかな。

君の時代では、こんな事出来ないの?」


アルは、大人の女性は、化粧代わりにこの技術を使っていることを説明した。


「…で、出来ないよ。お化粧をするか、整形手術ってのをやるよ。」


ロウアはそう言いながら、化粧と整形手術について説明した。


「えっ!そうなんですか、顔を手術するんですかっ?!怖いにゃ!!」


「…う、う~ん。二重にするとか軽い手術もあるから…。」


シアムが整形手術について怖く感じたようなので、ロウアはフォローするようにそう言った。


「しかし、怖いことするなぁ、君たちは。」


「君たちって…。僕らの時代の女性に謝って欲しい…。

みんなと同じで美人になろうとしているだって。

しかし、この時代の技術には驚きだよ…。」


「そうだろう、そうだろうっ!えっへんっ!」


アルは、偉そうにふんぞり返りながらそう言ったので、みんな笑ってしまった。


-----


食事を取り終えると、アマミルは水を一飲みして、


「さてっとっ!この後は国際公園ねっ!」


と今後の予定を確認するように言った。


「…みんなは動物園ですよね…。」


ロウアは、女性陣は別行動を取って、レポートの内容は自分に丸投げな事を暗に指摘した。


「なぁに?行くわよ、公園には。」


「だが、行くだけだぞ。イケガミ、あとはガンバレッ!」


アマミルに合わせるようにアルは、悪意すらなくあっけらかんと言った。


「全く…。」


ロウアが呆れていると、シアムは意を決したように、


「…イ、イケガミ兄さん、わ、わ、わ、私も手伝い…ま…しょ…う…か…?」


と最後の方は聞こえないぐらい小さな声になって手助けを提案した。


「おぉっ!それが良いぞ、シアム君っ!ゲヘッ、ゲヘッ!」


「ア、アルちゃんっ、変な笑い声…。」


顔を真っ赤にしていたシアムにアルはからかうように言った。

シアムは内心、からかってくれて助かったと思った。


「あぁ、手伝ってくれるならありがたいなぁ。」


するとロウアは、シアムの意見を受け入れたので、シアムは、猫耳をピンと立てて喜んだ。


「は、はい、にゃっ!!!」


アルは横でニヤニヤして肘で彼女を突いて冷やかした。


それを聞いていたアマミルは、


「…それじゃぁ、決まりね。別れて行動して、後でこのケーキ屋さんに集合っ!」


と仕切った。するとイツキナが、


「(あんたもイケガミ君と真面目コースが良いんじゃ無いの?)」


と、小声でアマミルに耳打ちした。


「(はぁっ?!何でよ、イヤよ。大変そうだもの。)」


「(ライバルに負けちゃうわよ?)」


「バ、バカねっ!訳が分からないわっ!!」


最後には、アマミルは立ち上がって大声で叫んだのでお店の客達の視線が一斉に集まってしまった。


「…す、すいません…。」


アマミルは、謝りながら椅子に座った。


「(はぁ…。あんたって男には奥手なのね…。)」


イツキナは、アマミルがいつもは活発なのに男性には奥手なので、ため息をついた。


こうして二手に分かれたロウアグループは、ロウアとシアムで国際公園に、アマミル、イツキナ、アルは、国際動物園へと向かった。

2019/09/23

二日目→三日目でした。。

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