シイリの新活動
いつもの放課後、霊界お助けロネント部の部室には、久々にアルとシアム、そして、シイリが戻ってきた。
「こんち~っ!」
アルの半分適当な挨拶の後、シアムとシイリも挨拶をした。
「こんにちは~っ!!」
「こんにちはっ!」
そんな三人に対して、部員達は笑顔で挨拶を返した。
「久しぶりねっ!」
部長のアマミルは、久々に戻ってきた三人にそう加えた。
「三人とも元気だった?」
イツキナはすっかり良くなった足で部屋を掃除しながら言った。
「はいっ!お久しぶりですっ!イツキナお姉ちゃんっ!会いたかったですっ!」
シイリはそう言うと、イツキナに抱きついた。
「イツキナ先輩、すっかり良くなったみたいですねっ!」
「うんうんっ!すごいすごいっ!」
シアムもアルも元気になったイツキナを喜んだ。
「うん、そうなの。まだ走ることは出来ないけどね~。
シアムちゃんのお世話も不要になっちゃった~。
あの時は、ありがとねっ!」
イツキナは、シアムの頭を撫でながら自分の世話をしてくれた事に感謝した。
「だけど、シアムちゃんがお家に居てくれないのは、ちょっと寂しいかなぁ~。あははっ!」
「私もですっ!」
イツキナにそう言われて、シイリは嬉しいのか更にぎゅっとハグした。
「あら、でも、部屋の周りは汚いからお掃除は必要よ?シアムちゃんに来てもらった方が良いんじゃ無い?」
アマミルが会話に加わった。
イツキナの快方に伴って、彼女はアマミルと同じ部屋になっていた。
「なっ!あなたの方が汚いじゃないっ!私がいつも掃除しているの気づいていないのっ?!」
イツキナがそう言うと、
「バカねっ!私が掃除しているのよっ!」
アマミルが反抗するように言うと、二人は一触即発状態になりかけた。
シイリは仲介するように、
「じゃ、じゃあ、今日、お掃除に行きますっ!」
と言った。
「ほら、シイリちゃんが気を利かせちゃったじゃないっ!」
「バカねっ!あなたがそう言わせたんでしょっ!」
まだ、喧嘩を続けそうだったので、ロウアは、
「や、止めて下さいって…。」
止めようとした。
「何よっ!」
「イケガミ君、うるさいわよっ!」
すると、アマミルとイツキナは息を合わせるようにロウアを睨んだので、怯んでしまった。
「…もう…。」
「じゃ、じゃあ、遊びに行きますっ!」
シイリは、ロウアに気を利かせた。
「遊びにっ!そうね、遊びにいらっしゃいっ!」
「シイリちゃん、良いわね。来て来てっ!」
アマミルとイツキナは、さっきまで喧嘩を忘れたようにシイリやみんなを寮に迎えると言った。
「みんなも来るっ?!」
そして、他の部員達も誘った。
「行きますっ!行きますっ!」
「私も行きますっ!!」
アルとシアムがそう言うと、
「あうんっ!」
「わ、私も良いですか?」
ホスヰとツクも続いた。
「もちろんよっ!」
「うん、うんっ!」
アマミルとイツキナは、もちろん喜んで受け入れた。
「こ、これは、僕らも行って良いって事かなぁ…、イケガミィ…?」
マフメノも伺いを立てるようにロウアに尋ねたが、
「だっ!」
「んっ!」
「しっ!」
「はっ!」
「ダっ!」
「メ~っ!」
「めっ!」
女性陣は打ち合わせをしていたかのように、小さな男の野望を切り捨てた。
「…ねぇ、イケガミィ…、これって前も無かった…?」
マフメノは肩を落としながらそう言うと、
「でもホスヰちゃんの"めっ!"は、良かった…。」
と、ニヤけた顔でロウアを見て、親指を立ててグッドのポーズをした。
「…マフメノ、君も前と同じ事を言ってるよ…。」
ロウアはマフメノの欲望に呆れた。
そして、改めて、
「そう言えば、キタクブアイドル部は、お休みなの?」
と聞いた。
「そうそう、しばらくはお休み出来そうだよ~っ!ね、シイリッ!」
「うん、そうなの。イケガミ兄さん。」
「そっか~。」
ロウアは、しばらくシイリも部室に現れなかったので
「もしかしてさ、シイリも一緒だった?」
と、聞いてみた。
「そうなんですっ!イケガミ兄さんっ!
アルお姉ちゃんとシアムお姉ちゃんと一緒にコンサートに回っていたんですっ!」
「あ、そうなんだ。でも、どうしてだい?」
「え、えっと、わ、私も…、ア、アイドル、か、活動する事になって…。」
シイリは、顔を赤らめながらモジモジしながらそう言った。
「…んっ?」
「!!!」
「えっ!」
「あうんっ?」
これには一同、驚嘆してしまった。
あまりにもみんなが驚いているので、シアムが驚いてしまった。
「ア、アルちゃん、説明していなかったの?」
シアムは、アルにシイリがしばらく学校に行かないから不安にならないようにと連絡を頼んでおいたのだった。
「えっ?あっ!あぁ、そうだった…。あはは…。」
「もうっ!また、忘れていたのねっ!!」
「い、いや…。ご、ごみん…。」
アルは、連絡をすっかり忘れていたので平謝りだった。
シアムは、ため息をつくと仕方なく、シイリのアイドル活動について説明した。
「えっとね、アルちゃんが、この前のチアリーダーでシイリの踊りを見ていて、私たちみたいにアイドルが出来るんじゃ無いかって。」
「スカウトしたと…。」
ロウアは確認するように聞くが、
「すかうと?ロウア語かな…?」
シアムは久々のロウア語(現代語)に首をかしげた。
「ごめん、誘った、という意味。」
「うん、そうなの。
それで、まずは、コンサートに着いてきてもらって、私たちの活動を見てもらおうってことにしたの。」
「はぁ、そうだったのか。」
シアムの説明で取りあえず、みんな納得した。
「と、取りあえず、今晩は久々のジョシカイだ~っ!
あはっ、あはっ、あははは~~っ!」
アルが自分のミスを誤魔化すようにそう言うと、他の部員達は、ため息をついて呆れるしかなかった。




