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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
大騒ぎのランナー集団
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奇跡の少女イツキナのぼやき

翌日、車椅子の生徒が突然、歩けるようになった大きな奇跡は、ツナク上で大きな話題になっていた。

無論、ナーカル校でも大騒ぎで、生徒はおろか、先生達までイツキナのところにヒアリングに来る始末だった。

イツキナは授業どころではなくなっていて、ヘトヘトになっていた。


そんな状態だったので、イツキナは、放課後になると逃げるように霊界お助けロネント部に現れた。


「は、はぁ…、つ、疲れたわ…。」


「こんにちは…、お、お疲れ様です…。」


あまりにもイツキナが疲れた顔をしていたので、ロウアはねぎらった。

すると、


「こ、ここは落ち着くわ…。鍵をかけたいっ!もう誰も私のところに来ないで~~っ!!」


完全に歩ける状態では無かったので、イツキナは車椅子のままだった。

イツキナは誰とも話したくないのか部屋の奥に移動してしまった。

部屋の奥では、マフメノとツクが、ロネントいじりに集中していて、車椅子のままイツキナが突っ込んできたので困り果ててしまった。


「た、大変でしたね。お茶でもどうぞ。」


ロウアは、イツキナが色んな人からとっかえひっかえ話しかけられたのだと想像した。


「あ、ありがと。」


イツキナはお茶を飲み干すと、話を続けた。


「…何が困るって、立てるようになった理由が分からないから、説明できないってところっ!

清掃用のロネントから何か飛んできたら立てるようになりましたって、説明できるわけ無いじゃない?」


「そうですね…。」


「ロウア君の魔法で直りました~って言えば良いかな~っ!」


これにはロウアも困ってしまった。


「い、いや…、それはこちらが困りますから…。それに今回は僕は何もやっていないですよ。」


「…そう言っていたわね。」


「どうして立てるようになったのか…。多分、あのロネントに宿っていた何かが原因なんでしょうけど…。」


「飛んできたのって私の顔していたわよね?」


「そうですね…。妖精はアマミル先輩の顔でしたし…。」


「あたしらの分身があそこにいたって事かなぁ。不思議ね。」


「は、はい…。」


ロウアもあの時何が起こったのか理解しかねていた。


(アーカちゃんに聞いてみるかなぁ…。)


心の中でつぶやくと、魂のロウアが声をかけてきた。


("あかしっくれこーと"なる、よく分からん奴だっけ?)


(彼女なら何か分かるかも。)


(そうかもな。俺は会ったことないから分からんが。)


(神出鬼没だから、すぐに聞けないんだよなぁ…。)


ロウアが、そんな会話を魂のロウアとしていると、


「まっ!説明できないから、どうでもいっか~~っ!」


とイツキナはあっけらかんと言った。


(こいつがそう言うなら良いんじゃね?)


(そ、そうだね…。)


ロウア達は苦笑いするしかなかった。


やがて、イツキナは何かを思い出したのか、顔色を変えて嬉しそうに、


「聞いて、聞いてっ!明日はカウラさんと病院の先生も来るのよっ!!」


と言った。


「えっ!カウラさん、じゃない、兄貴が…?」


「ぷっ!もう、あにき~なんて言わなくても良いのにっ!私たちは君の正体を知っているのだぞっ!」


「そ、そうでしたね…。」


「どうしても私を調べたいだって~~っ!困ったなぁ~っ!」


「困ったって顔をしていませんが…。」


イツキナがニヤニヤしているのでロウアは突っ込まざるを得なかった。


「だって、久々にカウラさんに会えるんだもんっ!」


「…で、ですか。あはは…。」


一通り言い切ったのか、イツキナは部屋を見渡した。


「ん~~、にしても、今日は人少ないね。アルちゃんとシアムちゃんはお仕事か。シイリちゃんは?」


「はい、アルとシアムは仕事みたいです。チアリーダーの練習でアイドル活動が厳かになったとかで。」


「あら、悪い事をしたわね。」


「でも楽しそうでしたから…。

それと、シイリは何故か、二人に一緒について行ったようです。」


「あら、寂しいわね。

ホスヰちゃんも未だ来ていないのね。」


「そうですね。」


「アマミルも来てないのか。部長のくせに遅れるとはどういうことだ~っ!」


そんなことを話していると、部室の扉が突然開いた。


「おっ?!噂したら来たかな?」


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