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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
不良少女 ホスヰ
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10歳クラス

 ロウアはタツトヨに連れられて、一階のクラスに来た。一階生の教室は、いわゆる21世紀の"教室"と同じような平らな教室だった。人数は30人ぐらいしかいない。後で分かったのだが、この学校は一学年が10クラスある。つまり、10歳クラスで大体300人、この学校は 5歳から25歳までいるから、全部で 約6,300人もいることになる。


 朝礼の風習はこのナーカル学校にもあるようで、ロウアは最初に生徒達に紹介された。


<おはようぅ……ございま……す……。皆さん……、新しいお友達の紹介です……、クククッ……>


 生徒に対しても不気味なタツトヨだった。


(こんな担任で良いのか……、この学校は……)


 ロウアは夏休みに覚えた言葉を使って挨拶をした。


「オハヨウ ゴザイマス……。ロウア デス。ヨロシク オネガイシマス……」


 ロウアは顔を真っ赤にして下を向いた。


 教室に入った時は誰が来たのだろうかと静かになっていた生徒達は、ロウアの挨拶で新しい自分達の仲間だと分かった。

 その途端、思い思いに話し始めた。


「大きいお兄ちゃんだ~」

「あれ、何でこのクラスなの?」

「わ~い、おっきい人だ~っ!」

「かっこわる~っ!」

「え~、変だよ~」

「きっと、頭悪いんだよ~っ!」

「右手が変だ~っ!」

「顔も変だ~っ!」

「あははっ!」

「変なの~~~っ!」


 ロウアは引きつるしかなかった。


(顔は関係ないんだけど……。それに普通の顔だと思うんだけど……)


 そばにいる魂のロウアは、呆れた顔でこの光景を見ていた。


(何たる屈辱……。何たる汚辱……。何たる詬罵……。

子どもは率直すぎるっ!

腹が立つっ!)


(……やめて……、僕が一番恥ずかしんだから……)


 ロウアは、先生の案内で一番後ろの空いている席になった。


「ロウア君は、一番後ろの席……。前の方だと後ろの子が見えなくなっちゃうからね……。クククッ……」


 ロウアは教室全員の視線を感じながら一番後ろの席に、トボトボ歩いていった。


(あぁ、恥ずかしい……。こ、この椅子……、小さいなぁ……)


15歳の少年が、10歳の教室にいるのだから椅子のサイズが合うわけもない。


(た、たまらない……。何だこの辱めは……)


 ロウアは、密かに勉強に励むと誓った。


「ゲホッ、ゲホッ、お兄ちゃん、よろしくねっ!」


 あまりにも恥ずかしかったため、ロウアは、隣の女の子に気づかなかった。


「ハ、ハイ、ヨロシク オネガイシマ……、あっ!」


 ロウアは、自分の目を疑った。

 そこにいたのは、21世紀に出会った"やまい"だったのだ。


21世紀に会った"やまい"は、永原達にイマージュ(人間もどきな生命体)にされていて、池上と戦ったのだった。


(あの頃も、病気のようだったけど……)


 ロウアは、横の席にいるやまいがあまりにも咳き込むので気になってしまう。


「ゴホッ、ゴホッ……、お勉強がんばろ~っ!」


「ウ、ウンッ。カラダ、ダイジョブ?」


「うん、ホスヰは元気だよ~っ!」


(ほすいって名前なのか)


 さっきから頭を抱えていた魂のロウアが話しかけてきた。


(なんだ、またお前の知り合いか?

てか、昔の知り合い?って言えば良いのか?

未来の知り合いって言えば良いのか?

なんて言って良いのか分からんっ!)


(うん、知り合いの女の子の過去世……だと思う……。

すごい偶然だなぁ……。

それにしても、知り合いの過去世によく出会う……。

これは偶然なんだろうか……)


(はぁ、よく分かんね)


「ゴホッ、ゴホッ……」


 ロウアは自分のことよりも彼女の病気が心配になってしまうのだった。


ホ 様々なものを一つに合わせ、

ス 受け止めつつ周りに循環させ

ヰ(い) 流れるように広げる存在


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2018/04/25 ホスヰちゃんの名前紹介を追加

2022/10/08 文体の訂正


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