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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
大騒ぎのランナー集団
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ノリノリの新活動

イツキナが、陸上部員達とのわだかまりが消えてからは、陸上部にも少し顔を出すようにもなった。

都合が合えば食事をすることもあったし、すれ違えば笑顔で手を振り合うようにもなった。


そんな日々が続いた後、キミルは、アマミルとイツキナに会うため霊界お助けロネント部を訪れた。


「こんにちはっ!アマミル、イツキナ。」


「こんにちはっ!部長。」

「こんにちはっ!」


アマミルに部長と呼ばれるのが気になったのか、キミルは、


「部長って呼ばれるのも変ね、キミルで良いわよ。」


と、元部員に気さくに呼んで欲しいと言った。


「あはは、そうですね、キミル先輩。」


「キミル先輩、どうされたんですか?」


イツキナも、キミルと呼びながら、用件を聞いた。


「えっとね、今度、陸上部の試合があるから、お誘いに来たの。二人に応援して欲しいなって。」


「おぉ、キミル先輩っ!良いですね、行きますよっ!ね?アマミルッ!」


イツキナはすぐに返事をした。


「そうねっ!是非、行かせてもらいますっ!」


とアマミルも返事したが、少し考えて、


「でも、せっかくだから、何か貢献できないかしら…、みんなに心配をかけたしね。」


と言った。


「そうね、みんなに相談してみる?」


「うん、そうしようっ!」


キミルは、二人が応援に来てくれればそれだけで良かったが、何かしてくれると言ったので思いもよらず、


「ありがとうっ!でも何もしなくても良いからねっ!来るだけで良いんだからねっ!!

それじゃあ、またっ!」


と気遣いながら、部室を出て行った。。


「陸上部の応援ですか、良いですね。」


一部始終を聞いていたロウアはアマミル達に声をかけた。


「そうなのよね。イケガミ君、何か良い考えないかしら?」


イケガミと呼ばれるのがすっかり定着していたのを聞いて、ロウアは21世紀の高校で見たある出来事を思い出した。


「応援ですよね…。僕の時代ならチアリーダーというのがありましたよ。この時代ではありませんが。」


「ほうっ!」

「なぁに?それ。」


興味津々となった二人に、ロウアはチアリーダーについて詳しく説明したが、


(ん~…、しまった…。これは絶対に失敗した…。)


とすぐに後悔した。


「よしっ!それよっ!"ちありーたー"だっけ?それをやりましょうっ!!」


アマミルは、すでのノリノリになっていた。


「良いわねっ!!」


イツキナも乗り気で、


「あぁ…。やっぱりだ…。」


とロウアだけは頭を抱えた。


「なぁに?その、しまったみたいな顔はっ!」


「い、いや、そのまんま…ですが…。」


ロウアは、チアリーダーは女性がやるものだと追加で説明した。

それは自分は参加できないと伝えたつもりだったが、


「バカねっ!男子もやるのよっ!」


といつもの調子でアマミルはロウアを巻き込むつもりだった。


「い、いやいや…。だって、ス、スカートを履くんですよっ?!」


ロウアは男子チアについては全く知らなかったので、自分もスカートを履くのかとツッコまざるを得なかった。


「バカねっ!当たり前じゃ無いっ!」


「無い無いっ!嫌ですってっ!」


「駄目よ、部長命令だからっ!」


「ぜ~ったいに嫌ですってっ!!」


無論、そんなロウアの願いは叶わず、話はトントン拍子に進み、アマミルの説明を聞いたアルとシアムも乗り気となり、服を作らせて欲しいと願い出た。


数日後…


「あうんっ!可愛いっ!これ可愛いねっ!!」


丁度、出来上がったチアユニフォームをホスヰが着たところだった。

可愛い服に着替えたホスヰは、はしゃぎ回っていた。


「ホ、ホスヰちゃん、良いよぉ~っ!良いよぉ~っ!」


マフメノも大はしゃぎだった。


「わ、私も着ているんですよっ!!」


ツクは、ホスヰばかり写真を撮るマフメノに怒っていた。


女性陣がチアユニフォームを着て、わいわいと楽しそうにしているところ、


「イケガミお兄ちゃんも可愛いっ!」


もう一人、チアユニフォームを着た"男子"がいた。


「……。」


ロウアは目をつむったまま何も聞きたくないといった顔をしていた。


「やだやだやだ~っ!イケガミィ~、ぷっ、ぷぷぷっ!!か、可愛いじゃ~んっ!!ぷぷぷっ!!ゲラゲラゲラッ!!!」

「イケガミ兄さん…。嫌なら止めた方が…。で、でも…、クス、クスクスッ!」


アルは大笑いし、シアムは笑いを抑えてロウアをフォローしていた。


ロウアは、棒立ち状態で恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。


「は、恥ずかしくて動けません…。」


「ぷっ、か、可愛いわよ、イケガミ…君…、ぷぷぷっ!!あ~っはっはっはっは~っ!!」


イツキナも笑いを堪えていたが、最後には耐えきれなくなった。


「可愛いわよ、大丈夫。勇気を出してっ!」


アマミルは、そう言ったが、ロウアは、


「…む、無理ですって…。股がすぅすぅしますって…。」


とスカートに触りながら言った。

これには女性陣は大爆笑だった。


「ぷっ、あはははははははっ!!!」

「クスクスッ!イケガミ兄さん…、ごめん…な…ぷぷぷっ!!」

「イ、イケガミ兄さん…、クスクスッ…、ご、ごめんなさい…。クククッ…。」


アルとシアムとシイリ、そして、


「あうんっ!可愛いのにぃ…。」

「クスクスッ!か、可愛い…で、ですよ、先輩…、クスクスッ!!」


ホスヰ、それからツクは、遂に耐えきれなくなった。

もちろん、魂のロウアは、はじめから大笑いだった。


(あはははははははっ!!!は、腹いてぇ、身体無いのに腹いてぇぇっ!!駄目だ、これっ!!

ハヒッ、ハヒッ、ククククククッ!!!)


(…ホスヰと同じクラスになった時以来の屈辱だ…。)


ということで、さすがにこれは可哀想だということになって普通の短パン姿になった。


「こ、これだって足丸出しで恥ずかしいんですが…。

な、なんでマフメノはやらないんだよっ!」


「僕は動けるほど柔軟じゃ無いからねっ!僕の嫁が参加するから良いのだっ!」


マフメノの嫁と呼ばれるロネントもチアユニフォームを着ていた。


「はぁ~…、ず、ずるいよ…。」


「まぁ、私たちは制服着ているから、あんまり変化無いけど、これ良いわっ!

気分が上がるわねっ!!

でも、足を動かすから短パンは履いた方が良いわね。」


アマミルがそう言うように、女性陣は制服のスカートもそれなりに短かったので、あまり気にしていないようだった。

するとイツキナが


「ねぇ、お腹を出した方が良くない?」


と提案した。


「おぉ、イツキナッ!それ色気あって良いかもっ!」


「で、でも、ホスヰちゃんは、まだ小さいからやり過ぎでは?」


シイリは、ホスヰについて心配した。


「う~ん、それもそうね…。」


だが、それを聞いていたホスヰは、


「私は大丈夫ですっ!お腹出しますっ!」


と主張したので、最終的なチアユニフォームはお腹のところをカットすることになった。


「ねぇ、シアムゥ、このフォンフォン(ボンボン)ってどうやって作る?」


アルがボンボンはどうするのかとシアムに聞くと、


「それも裁縫ロネントに作らせているから大丈夫、にゃっ!」


シイリは、カフテネ・ミルの服を作っている裁縫ロネントに任せていると伝えた。


こうして霊界お助けロネント部の新たな活動、チアリーダーが生まれた。


「はぁ~…。か、身体の動かし方は分かりませんからね…。」


「バカね、そこは適当よっ!」


「…ですか…。」


ロウアの不安はアマミルの一言で片付けられた。


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