落第生の初登校
哀れ、ロウアは、その学力不足から一階生の10歳クラスに落第することになった。
「おはようっ!!ロウアっ!」
「おはよう、ロウア君。学校までは一緒にいこうね」
「アリガトウ」
ロウアは、夏休みで集中してナーカル語を勉強したが、まだ片言の発音でしか話すことしか出来なかった。
アルとシアムはそんなロウアを心配して一緒に登校してくれるという。
「大丈夫だって~。昨日まで一生懸命勉強したんだからさっ!」
「そうだよっ!ロウア君っ!私たちの特性教科書でナーカル語を勉強したんだからっ!」
「ソウダネッ!」
二人は、ロウアが10歳クラスになってしまい、今日初めて登校するので不安になっているを分かっていた。
だから、一緒に登校してくれるのだとロウアも分かっていた。
しかも、落ち込まないように励ましてくれている。
(良い子達だなぁ。
それにしても不安だらけだなんだけど……)
(10歳クラスなんて余裕だって。気にするな)
魂となったロウアも慰めている。
「それじゃぁ、行こうっ!」
三人は朝のバスに乗って登校する。
学校を見学したときや登校日は人が少なかったが、さすがに今日は人が多く乗っている。
(相変わらず多様な人種だなぁ)
学生服を着た人達が同じバスに乗っているが、尻尾の生えた人や、猫耳の人、黒人や、白人がいりじまっている。
「今日はいきなり10歳クラスに行くの?」
アルがロウアに聞いてきた。
「チガウ。ハジメハ センセイノ トコロニイク」
「それじゃあ、最初は職員室かな」
「そだね~。場所分かる?」
ロウアは知らなかったので首をふった。
「そか、それじゃ、職員室までは案内するからねっ!」
「アリガトウッ!」
バスが学校に着くと、アルとシアムの二人が職員室を案内してくれた。
「ここだよっ!」
「アリガトウッ!」
「ロウア君、担任の先生は分かる?」
「タツトヨ センセイ」
「えっ?そ、そうなの……?」
ロウアはシアムが嫌な顔をしたのが何故かこの時理解できなかった。
「タツトヨ先生は、あそこにいらっしゃるね」
アルとシアムはそこまで案内すると自分の教室に向かうのだった。
「んじゃ、頑張ってねっ!」
「ロ、ロウア君……」
「うん?」
「ううん、何でも無い……。頑張ってね」
シアムはまた何か言いたげだったようだったが口をつぐんでそのまま職員室を出て行ってしまった。
(何だろう……?)
(さあな)
魂のロウアも分からないようだった。
取りあえずロウアはタツトヨという名前の先生を訪ねた。
ロウアは自分の担任を一目見てシアムが不安な顔をした理由が分かった。
「君が……、ロウア……。クククッ……」
「ハ、ハイ」
タツトヨと名乗る先生は、27, 28歳ぐらいの女性の先生だったが、とても不気味な様相だった。
ムーの人類らしく黒髪だったが、腰ぐらいまで伸びていてその長さは異常に感じた。
そして、前髪も頬を覆うぐらいまで伸びていて、顔がほとんど見えない。
声も何だが不気味な感じだったが、どこかで聞いた事があるような気もした。
「四階生だったらしいねぇ……。怪我もしてるし……。何があったのか分からないけど、クククッ、大変だねぇ……」
「……」
ロウアは、その不気味な話し方に引きつった顔をするしかなかった。
タ 様々な方面から集まった神の光を、
ツ 循環させて
ト 自分の知識とする存在。
ヨ 女性の名前の末尾に付ける語。
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2022/10/08 文体の訂正




