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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
その発展は誰がためか
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経営会議にて

時は遡って、またエメの時代…


今までエメとオケヨトだけで行われていた孤児院の会計会議はすっかり様相を変えて、エメ商会の経営会議となっていた。

エメ商会は、業務に合わせて"部署"を作って、部長を任命していた。

これらの部長には、年長組の者達の他、孤児院部は、ミミが部長に就任していた。


経営会議には、これら部署毎の部長、そして、エメ、オケヨトが参加していた。


オケヨトは、会議が始まると新しい仕事を始めたいと提案した。


「エメ、昔見たいの植物を育てたいんだけど…。」


「いや、そんな儲からない仕事要らない。子ども達と勝手にやれば良いだろ。」


「そうだけど…、食べ物を育てるのも大事だよ…。」


「お前、しつこいなっ!んなもん会社でやることじゃないってっ!」


「……。」


だが、エメは儲けにならならい仕事をやるのを拒んだ。

オケヨトの横に座るミミは、


「オケヨト君…、孤児院部の子ども達と一緒に栽培しよ?ね?」


と慰めた。


「う、うん…。」


オケヨトは、仕事として栽培した植物を売りたかったので納得がいかなかったが、ミミの慰めで取りあえず気持ちを収めた。


やがて、少し間を置いて、かつての孤児院の卒業生で、今は孤児院に戻っているタキンが不安事項を報告した。


「オケヨト、割り込んですまん。俺から報告があるんだ。」


「うん、大丈夫だよ…。」


「エメ、東部でもうち(エメ商会)と同じ事をやる会社が現れたようなんだ。」


「なにっ?!またかよ…。」


エメは、同業者によって自分達の仕事のシェアが奪われるのを恐れていた。

同時に、真似をした者は許せないと思っていて、


「制裁が必要だなっ!」


エメは空中をキッと睨むとそう言った。

その目は、女悪魔だった頃の目立ったが、それに気づく者はいなかった。


「あぁ、そうだな。制裁っ!制裁っ!」


タキンもニヤリとして不気味な空気が会議室を覆ったが、オケヨトは、この怪しげな空気が嫌いだった。


「エメ…、駄目だよ。また他の会社を暴力で潰すのは…。」


オケヨトは、エメ達が何をしようとしているのか分かっていた。


「オケヨト、何言っているんだって。俺達は何もしないって。」


エメは不気味に笑いながらそう言うが、


「だ、だけど、悪い人達にお金を渡して…。」


エメは、自分の会社とは別にロネントによって仕事を奪われた者達を集めた組織を、もう一つ作っていた。

その集団は、我々の時代で言うところの暴力団のような役割を担っていて、エメがその集団を使って同業者を潰したり、脅したりしているのをオケヨトは知っていた。


「オケヨトッ!!!」


「!!!」


オケヨトは、エメの唐突に発した大きな声でビクッとした。


「我が社は、そんなことはやっていないっ!そうだろ?」


「エ、エメッ!」


オケヨトは、立ち上がって更に訴えようとしたが、


「ミミ、オケヨトを連れて子ども達の面倒を見に行ってくれ。」


エメはミミを使ってオケヨトを会議から外そうとした。


「えっ?!えぇ、えぇ、しゃ、社長の仰せのままに…。オケヨト君、外に出よう?」


「エメッ、僕は賛成しないよっ!!こんなやり方…」


「オケヨト君、ね?ほら…。」


ミミは、エメに逆らえるわけもなく、身体を張りながら、未だ何か言いたそうだったオケヨトを会議室の外に連れ出してしまった。


「エメ、良いのかよ。仲良かっただろ?昔は。」


タキンは、エメとオケヨトとの関係を心配していた。


「あいつは弱すぎるんだ。あんな軟弱じゃ会社は運営できないっ!

そんなことより、タキン、いつもの奴らに金を握らせて、同業者に"話し合い"をさせてくれ。」


「分かったよ。」


"話し合い"とは、つまり、相手の会社を潰すことだった。

エメから指示が与えられると、タキンは別の報告をした。


「エメ、それと、"う"区画のケンユが少なくなっているんだ。」


「そうか、丁度良いじゃ無いか。さっきの"同業者"から分けてもらおう。」


「あははっ!!そうだな、それが良いっ!!」


エメは枯渇しかけた原油を、潰す予定の同業者から奪う気だった。


「タキン、頼んだぜ。」


「りょ~かいっ!」


「クウチ、売上はどうなんだよ?」


エメは、総務・経理部で経理を管理しているクウチに業績を聞いた。

彼女は、ミミと同僚だった黒い肌の元神官だった。


「社長、今月の売上は、先月の倍となっていますよ。」


「…クククッ…。あはははははははっ!!!

笑いが止まらないっ!!最高じゃないかっ!

オケヨト、見たかっ!俺達は金持ちだっ!地道に暮らすなんて馬鹿げているんだっ!!」


ワンマン社長を取り巻く社員達はすでイエスマンだらけになっていて、不気味に自分を誇る社長に逆らう者はオケヨトを除いていなくなっていた。


経営会議は、順調な会社の発展の業績報告で幕を閉じた。


[エメ商会組織図]

社長:エメ、副社長:オケヨト

├原油掘削部:タキン

├オロヘネアの精製部:トアミ

├ストウフの製作部:ソウチ

├孤児院部:ミミ

└総務・経理部:クウチ


:の後は部長、もしくは担当者


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