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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
その発展は誰がためか
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イツキナ捜索隊

ここは、エメの時代から100年後…


霊界お助けロネント部の部員達は、部室に集まり、イツキナの行方について話し合っていた。

部室の壁には「イツキナ捜索会議」と表示されていた。


カフテネ・ミルのアイドル活動が久々に休みだったので、アルとシアムも部室に来ていた。


「やだやだやだ~っ!私たちのお話なのになんでこんなに忘れられているのっ?!」


「ア、アルちゃん…、何を言っているの…にゃ?」


シアムはアルが何を言っているのか分からなかった。

(作者はちょっとドキドキした。)


「あうっ!アルお姉ちゃん、久々に来たから忘れちゃったの?

ここは、霊界お助けロネント部ですっ!」


ホスヰもアルの錯乱ぶりに思わず突っ込みを入れた。


「ホスヰちゃん、そこじゃな~いのっ!」


「ふふっ、アルお姉ちゃん、混乱しているんですね。」


シアムの妹であるシイリも部室にいて、アルを慰めた。


「やだやだやだ~っ!混乱じゃな~いっ!」


そして、かいがいしくお茶をみんなに入れてくれた。


「さぁ、さぁ、みなさんお茶ですよ~。ホスヰちゃん、手伝ってくれる?」


「あうっ!」


ホスヰは、マフメノにお茶を持っていって上げた。


「はい、マフメノお兄ちゃんっ!」


「あぁ~、ホスヰちゃん、可愛いよぉ~~っ!」


とこのロネントマニアは、変態ぶりを隠しもせず萌えた。


「しかも今日は、カフテネ・ミルの二人もいるし、シイリちゃんもいるし、幸せだぁ…。」


「ぶ~っ!マフメノ先輩っ!ホスヰちゃん達は、確かに可愛いですけど、わ、私もいるんです…よ…。」


マフメノは自分に声をかけたツクに顔を向けた。


「えっ?ツクちゃん、最後の方が聞こえなかったよ?」


「な、何でも…あ…ありま…せん…。」


ツクは顔を真っ赤にすると下を向いた。やっぱり最後の方は聞こえなかった。


そんなみんなの話を聞いていた部長のアマミルは、みんなを制するように話を始めた。


「騒がしいわね…。部員が増えたことは嬉しいけど、勝手に話されては話が進まないわ。

ね?ロウア君。」


「えっ!あっ、はい。そうですね。」


「もう、ぼ~っとして、何だか頼りないわね…。」


「そ、そうですか…?あはは。」


「そうよ、イツキナがいないんだからあなたが副部長なのよっ!」


「えぇ、僕が副部長?

というか、イツキナ先輩は、副部長だったんですか?!

いつからそんな役職が…。」


ロウアは勝手に副部長にされて困った顔をしたが、アマミルは、さも当たり前のような顔をしていた。


(はいっ!は~いっ!私はここにいますよ~~っ!)


そんな会話を聞いていた、当の霊体となったイツキナが楽しそうに自己主張した。

もちろん、部員達は霊体の声が聞こえるわけも無く、霊能力のあるロウアとシイリだけが聞いていた。


(そうですよね、副部長は、ここにいるんですが…。)


とロウアが心でつぶやくと、


(ふふっ!みんなには聞こえませんからね。)


シイリも同調した。

そして、同じ霊体の魂のロウアも突っ込まざるを得なかった。


(そうだぜ?聞こえてないって~の。いい加減慣れろって。)


(はぁ?ロウア君の本体はうるさいなぁ。)


(本体って言い方、何か気に障るなぁ。

イケガミが俺の身体を奪っちまったんだって。まぁ、俺が死んだからだけどな。)


(まぁまぁ、二人とも。)


アマミルとイツキナの旧友だったメメルトも幽霊部員チームとなってここにいた。


(メメルトさん、ありがとう。)


ロウアは二人のいがみ合いを止めてくれたのでメメルトにお礼を言った。


(いえいえ、イケガミ様。滅相も無い。)


("様"は、つけ無くても…。)


(イケガミ様は、イケガミ様ですっ!)


(は、はぁ…、あはは…。

しかし、さっきも話したけど、イツキナ先輩、あまり肉体と離れていると戻れなくなってしまうかもしれないですよ。)


(ん?う~ん、そうね。あはははっ!でも、楽しいから大丈夫よっ!

あの身体は不自由だから、このままでも良いかもっ!)


(いやいや、死んでしまうって事ですよ…。みんな悲しみますって…。)


(いざそうなったら、君のコトダマってやつで説明するからっ!)


イツキナは部室の上空をクルクルと回りながら話した。


(全く…。)


ロウアは、イツキナがあまりにも呑気なので頭を抱えた。


「って、ロウア君聞いているの?」


「えっ!あぁ、すいません。アマミル先輩。」


「もう、君がそんなんだとイツキナが見つからないじゃないっ!

正確には、イツキナの身体だけどっ!」


「す、すいません…。(そのイツキナ先輩と話をしていたんだけど…。)」


「君がだらしないから、私がツナクにイツキナの捜索依頼を出して情報を集めたわ。」


「(い、いや…、僕が捜索依頼を作ったんだけど…。)」


マフメノは、小声で申し訳なさそうに主張した。

それをツクは慰めるように見ていた。


「…ゴホンッ!

こ、これによって、うちの部のツナクにも沢山、情報が届いているんだから。」


「そ、それは知っていますが、大陸全土から情報が集まっていますよね…。

イツキナ先輩がこんなに移動しているとは思えないのですが…。

情報が不確かすぎますよ…。」


「ふふっ!ロウア君、甘いわ。」


「はぁ。」


「これを見てっ!」


とアマミルは言いながら、ムー大陸全土の地図を部室に表示した。

この時代らしく、地図は部室の中央にある机の空中に表示されていて、そのいくつかの場所に赤丸が何個か付いていた。


「この赤丸は…。」


とロウアが言いながら赤丸をタッチすると目撃者の名前と、女性の映った写真が表示された。

その写真は、遠くから撮影されたのかボケているのがほとんどだが、イツキナらしい女性が映っている。


「あぁ、目撃者の情報と写真ですか。

この写真は…確かにイツキナ先輩らしいですね。ほら、患者衣を着ています。

でも、こっちのは違うかなぁ。眼鏡をかけているし。

こっちのは、背丈が小さすぎるような…。」


「ふふっ!確かに色々あるけど、正確にイツキナと分かるものを選定すると、これよっ!!!」


さらにアマミルはドヤ顔で手を振ると、先ほどのムー大陸の地図に青丸も現れて、それは直線的につながっているのが分かった。


「おぉっ!イツキナ先輩の通った道が分かりますねっ!」


「そうよ、ロウア君。すごいでしょ?私っ!」


アマミルはドヤ顔で鼻息を荒くして、腕組みをした。


「い、いや…、僕とツクちゃんで、この画像検索システムを作ったんだけど…。」

「そうです、そうですっ!ここは引けませんっ!間違っていますっ!マフメノ先輩との合作ですっ!」


マフメノとツクは、手柄を全部自分のものにしようとするアマミルを咎めた。


「ど、どうりで…。アマミル先輩、手柄を取ったらいけませんよ…。」


ロウアも突っ込まざるを得なかった。


「ふ、ふん…。部員の手柄は私の手柄だわ…。」


アマミルは腕を組んだまま顔を真っ赤にしていた。


「全く…。

でも、これで的が絞り込めましたね。」


ロウアは、イツキナ捜索に希望が見えてきたと思った。


「そうよ、学校があるから週末に捜索開始っ!みんな準備しておいてねっ!」


霊界お助けロネント部の部員達は、週末のイツキナ捜索のために一致団結した。


(ロウア君。)


ロウアは、心の声で元の身体の持ち主に声をかけた。


(んだよ…。あぁ、分かったよ。先行して調べておく。)


(よろしくね。)


(霊体使いが荒いぜ。)


(イケガミ様、かしこまりましたっ!)


(メメルトさんもよろしくね。)


(え~っ!このままでも良いのにっ!)


相変わらずイツキナはのんびりしていた。


(ったく、お前のためにみんな頑張っているんだってのに。)


(それは嬉しいけど…。あんな身体…。)


イツキナは全身麻痺になってしまった身体を呪っているようだった。


(イツキナお姉ちゃんっ!怒りますよっ!!

治療してちゃんと動くようになったじゃないですかっ!)


それに怒ったのは、生まれ損なってしまい今はロネントに宿っているシイリだった。


(シイリちゃん…、そうね。ごめんなさい…。あなたにとって肉体は憧れだものね…。)


(怒りますから…。グスッ…。)


(ごめんね…。)


イツキナはシイリに寄り添うようにして慰めた。


(まあ、とにかく先行して調べるって。)


魂のロウアと霊体達もも決意を新たにした。


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