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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
その発展は誰がためか
184/573

販売サイト

エメは、お粗末なやり方だったが原油を精製し、"燃える水"との触れ込みで、"オロヘネア"と名付けて売り始めた。

販売には、ムー文明の社会インフラとなっているツナクを利用した。


----------

「不思議な燃える水、"オロヘネア"売ります!」


とても不思議な水のご紹介です!

なんとこの水、燃えるんです!


嘘だとお思いでしょ?

これを見て下さい。


(燃える水の動画)


ね?嘘じゃないでしょ?


燃える水がなんで嬉しいかって?

これがとってもよく燃えるんです。


外で作業していて、服だけでは暖かくない時ってありますよね?


そんな時に役立つのがオロヘネアなんです!

薪に振りかけて火を付けるとあっという間に暖かくなるんです!


火力も十分なので、枯れ葉や、ゴミに出すのも面倒な小さなゴミくずなども簡単に燃やせます!


※ 火の扱いは十分ご注意下さい。


利用者の声です。


「初めは信じられないませんでしたが、本当に燃える水なんです。テさん」

「庭掃除の後は、枯れ葉の掃除が大変でしたがとても助かっています。ロさん」

「使ってみたら意外と安全です。ありがとうございました。カさん」

「ゴミを捨てるのにも使っています。一緒に芋を焼くと美味しい!オさん」


この不思議な水がなんと!

ヒ ∪

フトトト≡!


以下の入力欄から皆さんもご購入下さい!

(+で数字が増えて、-で数字が減ります。「支払い」お支払いとなります。)


┌──┐

│  │ ∪

└──┘

+ -


    ≡(自動的に金額が表示されます。)


┌───┐

│支払い│

└───┘


※ ツナク支払いでお願いいたします。ご住所とお名前のご入力は不要です。

※ 送料は、イ∪以上で無料となります。

※ 恐れ入りますが海外への送料は、別途ご請求させて頂きます。


-----

著者説明


ヒ:1

∪:水の量を表す記号(1∪は現在の1リットル相当)

フトトト:2000

≡:金額記号

イ:5


ツナク支払い:

この時代のインターネット支払いです。

腕時計のように装着しているツナクの端末からツナク番号を入力して支払いが可能です。

----------


「こんなんで良いかな。」


「エメ…。」


「ん?どうした、オケヨト?」


「君って商売人だね…。」


「は?そうか?普通だろ。」


「売り文句が上手すぎるよ…。」


「もっと売り文句を入れたいんだけど、思いつかないぐらいだよ?」


「だけど、この利用者の声って?」


「こんなの嘘に決まっているだろ。使った奴なんていないんだから。

ツナク上の販売サイトなんて嘘ばっかりに決まっているって。証人がいないんだからさ。」


エメはあっけらかんと言ったのでオケヨトは頭を抱えた。


「…君って奴は…。やっぱり同じ歳とは思えないなぁ…。」


「あは、あはは…。」


むろん、エメは來帆だった頃に見た通販サイトの売り文句を真似たに過ぎない。


ムー時代の商売は、民間任せとなっている。

企業からの税金は集めているが、税額は、売上の一律10%となっていた。


だが、個人で行う商取引は、ほとんど無視されている状態だったので、エメのように個人でサイトを立ち上げて商売をすることも出来る。

ツナク支払いのような現金を使わないシステムもインフラとして整っていて、個人的な商取引も盛んだった。


なお、説明は省いてしまっていたが、ムー文明では車のインフラも整っていて、自由にほぼ無料に近い金額でカーシェアリングのように車を利用でき、同じように、宅配システムも自由に利用できた。

つまり、ツナク上で支払い依頼があれば、無人の宅配の車を呼び出して配達物を入れてあげれば、勝手に配送される。

ちなみに、家に人がいようといまいと関係なく、各家庭には、宅配ボックスが設置されていて勝手に配送されるので、現在のように不在で荷物が届かないといった事は無い。


「でもさ、外だけの用途かい?」


「そこっ!そこなんだっ!これを部屋の中でも使えるように暖房機を作ろうと思っているんだ。」


「だ、暖房機かい?家にはウルムがあるから、暖かいよ?売れないような気がするんだけど」


「う、う~ん…。売れないかなぁ…。まあ、時間はあるし作ってみるさ。」


オ 固定されし

ロ 物質を取り出し

ヘ 液体になるように

ネ 変化させ

ア 燃えるものにしたもの


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