タ・ミミの訪問
エメ達が首都にあるムーの神殿に行ってから数ヶ月経過した時、約束通り、あの猫耳神官のミミが孤児院に現れた。
「こんにちはっ!」
子ども達は滅多にやって来ない訪問客に興奮して、一斉に集まってきて思い思いにミミに話しかけた。
「おばちゃんっ!こんにちはっ!!」
ピクッ?
「僕、おばちゃんのこと、覚えてる~っ!エメと一緒に来た人だよねっ!!」
ピクッ!
「遊ぼうよぉ~っ!おばちゃんっ!」
ピクッ!!
「それってお土産~っ?おばちゃんっ!」
ピクピクッ!!!
「おばちゃんっ、いつまでいるのぉ~?」
ピクピクピクッ!!!
ミミは"おばちゃん"の連呼で顔がピクついた。
やがてエメもやって来て、
「ほら、みんなあとにしろって。
年長者は、ちっこいのをどっか連れてってくれ。
それとお茶の準備してくれ。」
エメは、子ども達を遠ざけて、ミミを奥に案内した。
「こんにちは。エメ君、久しぶりね。」
「はい、お久しぶりですっ!」
「君って、色々仕切っているけど、もしかして、この孤児院でリーダーでもやってるの?」
「エメは、この孤児院の親分ですよ。」
ミミの質問にオケヨトが答えた。
「おやぶんっ?!あら、重要職に就いているのね。」
「オケヨトッ、余計なこと言うなってっ!
その呼び方は気に入らないって言ってるだろ…。」
とオケヨトの説明にエメは、ぼやいたが、
「おやぶ~ん。やさいが足りないです。」
「おやびんっ!壁の色はどうする~?」
「うわぁ~ん、あいつが殴ってきた~~っ!!おやぶ~、あいつを怒って~~ぇっ!!」
「親分、お客さんが来てるけど、夕食の準備は始めても良いの?」
子ども達はそんなことはお構いなしで、エメを親分と呼びながら助けを求めたり、相談をしてきたりしたので、ミミは苦笑した。
そして、さっきから気になっていたことを聞いた。
「ねぇ、えっとね、さっきから子ども達は何で私を"おばさん"と呼ぶのかしら…。
そんなに年を取っていないんだけど…。
わ、分かるわよね?
おばさんって歳じゃ無いわよね?
私をおばさんと呼ぶのは止めさせて欲しいんだけど…。
ねぇ、聞いている、親分?」
だが、最後に親分と呼ばれて、エメは少し切れ気味に、
「それは子どもが見た通りに判断したのでは?おばさんっ!」
「ど、どういう意味かしら…?お・や・ぶ・ん?」
「言ったとおりですよ、お・ば・さ・ん。」
「む~っ!!お客に失礼じゃない?ちょっとっ!
これでも神官なんだから、せめて、「タ」ぐらい付けて呼ぶものでしょ?」
「はんっ!知るかっ!そっちが先に失礼な事…」
「エメッ!止め止めっ!!!お客さんに何を言ってるんだよ…。
タ・ミミ…、失礼しました。」
オケヨトが見かねて止めに入ってきて、無駄な論争は終わった。
「ま、まぁ、良いわ…。
私も、お、大人げなかったわ…。
えっと、タ・ナレミさんにご挨拶したいんだけど…。」
「……。」
「……。」
エメとオケヨトは、この孤児院を元々仕切っていた女性神官について尋ねられると、急に押し黙ってしまった。
ミミは何かあるのかといぶかしがった。
孤児院の神官
ナ 力となった神の光が
レ 広がりつつあるのを
ミ 受けた取り、風のように伝える者
猫耳神官
ミ 愛を受け取り、風のように伝える者
ミ その強調




