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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
転生 -いにしえの大陸 ムー-
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初めての学校

 外に出ると空は快晴で、とても気分が良い。

 だけど、ロウアは、この身体の持ち主である魂が近くにいると分かり、申し訳ない気分だった。


(正直、申し訳ない。身体を奪ってしまったわけだし)


(そうだぜ。身体はいつか返してもらうからな)


(しかし、思っていることは筒抜けというのは、困ったもんだ……。

考えていることが分からないから、ある程度、自由に思考できるところもあるのに……)


(お前がそうだってことは、こっちもそうだってことだ。気にするな)


(気にするなと言われてもなぁ……)


<お~い、ロウア、話聞いてた?>


「えっ?」


 ロウアは、魂となったロウアに気を取られて、アルの話を全く聞いていなかった。


<もう、まだ寝ぼけているぅ!その"え"ってのは、驚いた時のロウア語かっ!>


<ロウア君は少し疲れているんだよね。アルちゃん、ロウア語って……>


「ごめ・ん」


<謝ってばかりだぞ>


<えっとね。今日は、学校を見て回って、教室を借りて、ナーガル語のお勉強をしようと思っているの。

それでも大丈夫かな?>


「うん、だい・じょぶ。あり・がとうっ!」


(ナーガル語は、下手くそだな)


(う、うるさい……)


 四人(?)は、バス停らしき場所に着く。


<わっ、ギリギリで1本だけあった。危なかったなぁ>


<うん、間に合って良かったね>


 しばらくすると、無人のバスがやって来たので、四人は搭乗する。

 やはり、バスも無人であった。

 運転手のいないバスに乗るのは違和感があった。


 アルとシアムは、ツナクトノを入り口でかざすとそのまま中まで入っていった。

 ロウアも同じようにして乗り込む。


<ロウアのもちゃんと使えるね>


<そうだね。夏休みだから席も空いてるっ!>


<だね~。後ろに座ろうっ!>


 三人は、後部座席に座るとバスは自動的に動き出した。


(う~ん、ツナクトノだっけ……、SUICAみたいな機能もあるのか。便利だなぁ)


(何だよ。ツナクトノも知らないのか。変な奴)


(僕はこの世界の人間ではないから……)


(この世界の人間じゃない?)


(そう、日本というところから来たんだ。しかも、この時代から遙か未来のね)


(にほん??遙か未来だって?)


 ロウアは、いきさつを説明した。


(はぁ?ブラックホール???それって何だよ)


(宇宙に存在する超重力を持った天体だよ。

それが、地上に現れてしまって、吸い込まれたんだ。

この時代は、ブラックホールって呼ばないのかな)


(なに?宇宙にそんなもんがあるの?すげぇっ!)


(文明は進んでいるけど、宇宙に対する解明は進んでいないのか)


(宇宙に対しては、解明してはいけないことになっているからな)


(えっ、何で?)


(さぁな。ナーガルの神官達が決めたことだから、よく分からない。

それにしても、未来からやってきたとはな。

お前すごいぜ。

興味がわいてきた。

ニホンってどのあたりにあるんだよ)


(ここからだとムー大陸の西岸をちょっと越えたところだと思う。

ただ、この前見た地図だと未だ島になっていなかったけど……)


(島?小さいのか?)


(島というか、この大陸より小さい大陸が四つと小さな島で出来ている)


(ほ~。未来では西の植民地の一部が海で隔てられるんだな)


(逆に、僕らの時代では、ムー大陸は存在していなくて、大きな海になっているよ……。

多分、この大陸が沈んだことで僕の国が出来たような感じじゃ無いかな)


(なにっ?!未来にムーは無いのか……)


(うん……)


(ムーはさ、100年ぐらい前に一部沈んでいるんだ。

酷い地震だったらしい……。

未来には全部が……。

あぁ、100年前とは比べものにもならないぐらいの天変地異が起こるということか……)


(……)


 ロウアは自分の国が将来無くっていると聞いたらどんな気持ちなのかと思った。

 自分が住んだ国だから愛着もあるだろう。

 それが何らかの理由で消滅してしまう。

 ロウアはこの話を他の人に言わないことにした。


 しばらくすると、アルが到着を教えてくれた。


<あっ、着いた>


<ロウア君、降りようっ!>


「うん」


 ロウアが降りると、巨大な門がそこにあった。

 この巨大な門の先に、ロウア達の学校があった。


(お、大きい……。話に夢中になって周りを見ていなかった)


 この学校は、首都ラ・ムーの郊外に存在していた。

 現在の日本では考えられないような広さを持っている。

 その大きさは、一つの街が入ると行っても過言では無く、実際に、学生のための商店街も存在していた。

 後で分かったことだったが、首都では屈指の進学校であり、ムー大陸から多くの学生達が集まっていたのだった。


「こ・れ、がこう?」


<うん、学校だよ。私は大きくなったら、ここの寮に入りたいなぁ>


 シアムの話から、ロウアはここに寮も存在することが分かった。


<お、イイネ。私もっ!

だけど、女子寮になるから、ロウアとは会いにくくなるかもね>


<う~ん、ちょっと寂しいけど、早く独り立ちしないとっ!>


<シアムは将来のことを考えていて偉いなぁ>


<えへへっ。アルちゃんも一緒だよっ!>


<うん、そだねっ!

さぁ、早く入ろっ!>


<うんっ!>


 ロウアは二人の後を追った。


2022/10/08 文体の訂正

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