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妄想はいにしえの彼方から。  作者: 大嶋コウジ
新しい家族、小さな祈り
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未来の日本?

色々な子ども達が何らかの理由で両親がいないでここにいた。

よく見るとエメよりも大きい子もいたし、小さい子もいた。

年上と思える人達は孤児院を仕切っていた。


エメは右も左も分からない状態なので、黙って色々な人に教わりながら行動していた。


相変わらず同室のオケヨトは自分に親切にしてくれた。

エメがナーガル語を理解できないのを分かっていて、言葉を教えてくれたので、少しずつ言葉を理解していった。


(ここの子ども達って、学校に行ってないのね…。

服もいつも同じだし、見るからに貧乏だからなぁ…。

食事もパンみたいなものと薄いスープだし…。

太田町で暮らしていた頃が懐かしい…。

あの頃は、お金には困ったことが無かったなぁ。)


來帆だった頃の優雅な生活を思っていると、教室のような部屋で女性神官が子ども達を教えて何か教えていた。


(そうか、あの女性神官が色々と子ども達に教えているのね。

生徒は年齢もバラバラだから大変…。人口の少ない地方の学校みたい。)


図書館もあったが、使い古された本ばかりで今にもすり切れてしまいそうだった。

なお、ここはロウア達の時代から100年ぐらい前のため、ナーガル校にあるような電子的な図書館は存在しないため、我々と同じような紙の本が使われていた。


(ボ、ボロボロの本しか無い…。

当たり前だけど、何て書いてあるのか分からないわ…。

でも言葉をこれで覚えるしか無いか…。)


來帆は言葉を更に理解するため、オケヨトから教わった言葉をボロボロの絵本と付き合わせて、知っている単語を増やしていった。


(外国語をいちから覚えるのって大変ね…。だけど、50個の言葉がひらがなとそっくり…。

濁音は無いから、すらすら話す日本語?うーん、何て言えば良いのかしら…。フランス語もこんな感じなの?

書き言葉は、左から右に書く、助詞が付いているし、文章の最後は動詞…よね。

う~ん、そうかっ!

これは、日本語の未来版よっ!きっとそうよっ!

ここはきっと未来の日本なんだっ!)


來帆はムー文明を未来の日本だと考えるようになった。

元々、頭の良かったエメは、少しずつだが、着実にナーガル語の読み書きが出来るようになっていった。


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