父親と同じもの
來帆が生まれた変わった場所は、ムー大陸の北東部だった。
ロウア達が生まれる100年前に、北東部の一部は海に沈んだ。
その時、北東部は削り取られてしまい、長く続く巨大な崖となった。
この天災で北東部の小さな都市は海に沈み、ほとんどの人が海に消え去った。
長く続く崖の海の面した一部は砂浜になった場所もあり、來帆の身体の持ち主は海に飲まれた際に魂は天に帰った。
だが、その身体は砂浜に乗り上がり、そこに丁度、來帆の魂が宿った。
我々の時間で1時間もしないで大陸は陥没したため、ほとんどの人は亡くなってしまったと思われたが、救助活動は数日間、続けられ、その時、來帆が発見された。
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当の來帆は、丁度、自分の身体に違和感を感じたところだった。
(…ちょっと待って?!)
來帆は、誰にともなく、そう言うと、自分の股間の異物を触った。
自分の父親が付けていたものと同じものをベットの上で、改めて確認すると、思わず吹いてしまった。
「お、男…。ぷっ!あははっ!あははははっ!!
こ、今度は男っ?
わ、笑える。なんだよこれはっ!」
來帆は死亡した男性に宿ったのだと気づいた。
「あははっ!もう何が起こっても驚かないわっ!」
來帆は運命の神に切り捨てるように言った。
(しかし、どんな奴に宿ったんだろう…?)
ここには鏡もないため、自分を確認するためにトイレに行くことにした。
(あぁ…、女子トイレに入りそうになった…。
しかし、一応外国でも男子と女子は分かるような色になっているのね…。)
來帆はトイレの鏡で自分を確認した。
(これが新しい私か…。)
髪は黒い色をしていたが、瞳が黒に近い青い色をしていた。
肌は白人かと思えるような綺麗な白色をしていた。
歳は15,6に見えた。
スラッとした顔立ちだったが、二重まぶたと大きな瞳のせいで、男性だが女性のような顔立ちだった。
(こ、これはイケメンかもっ!鱗だらけの姿より、はるかに良いわっ!)
來帆が自分の顔に惚れ惚れしていると、來帆をじろじろと見つめる人がいたので恥ずかしくなり、早々に自分の病室に戻った。
そして、ベットに潜ると、
(…おしっこはどうやってやるんだ?!)
小便のやり方が、何となくしか分からない自分に気づいて、困ったなと思った。




