ご迷惑少女組っぷり
ロウアは、霊体達と別れてから、イツキナの病室に戻った。
部屋には、イツキナのいなくなったベットとその横で放心状態のアマミルが椅子に座っていた。
「あれ、カウラさ…、兄貴は…?」
ロウアがカウラについて訪ねると、アマミルが半ば呆けたように応えた。
「自分も探すって言ってどこかに行ったわ…。」
「そうですか…。」
「ロウア君、イツキナの身体は、見つかったの?」
アマミルはイツキナの身体がないので何となく分かっていたが質問せざるを得なかった。
「すいません、見つかりませんでした…。」
「そうなのね…。君の魔法を使っても難しいの?」
「はい…。今、ロウア君達が探していますので。」
「うん?ロウア君は君でしょ?」
「あっ!あぁ、えっと…、メメルトさんとか、イツキナ先輩の知り合いという女神様、そ、それとイツキナ先輩自身も今、探して、い、いますっ!!」
「女神様って言ったの?あの子、すごい人と知り合いなのね…。」
「は、はい…。でも、多分、アマミル先輩も知っているかもしれない人です。」
「えっ?!何で???」
「私の兄とアマミル先輩とイツキナ先輩を出会わせるために、随分お手伝いされていたようです。」
「あぁ…、あの声の人なのね…。私、お礼を言わないといけないわ…。」
「あの女神様からインスピレーションを受けたようですね。」
「いんすひぃれえ…、何て言ったの?
…ふふっ、いつものロウア語ってやつね…。」
「あぁ…、ええっと、霊的な助言を受けていたという意味です…。」
「助言を受けていた…、そうね、何回か綺麗な力強い女性の声が聞こえたの…。」
そう言うと、アマミルは自然と両手を合わせて目をつぶりながら感謝を言った。
「あぁ、ありがとうございます、女神様…。ご縁を下さったラ・ムー様に感謝いたします…。」
アマミルが感謝の祈りを捧げると、天から暖かい光りが指しているのが見えて、その光りに包まれたアマミルが美しく輝いたように見えた。
ロウアはあまりにも美しかったので思わず見とれてしまった。
「あっ!」
アマミルは祈りを終えると、突然何を思ったのが叫んだ。
「えっ?!どうしたんですか?」
「病院には何て説明しよう…。」
「…そ、そうですね。」
アマミルは、突然、患者がいなくなったのでは、病院で問題になると思ったのだった。
ロウアも確かに説明が出来ないなと思った。
「…うんっ!良いことを思いついたっ!!」
しばらくすると、アマミルは何かを思いついたのか、ニコッとして指を鳴らした。
だが、ロウアは嫌な予感しかしなかった。
「私がイツキナの代わりになるわっ!」
「はい…?ど、どういう事でしょうか…。」
「私がイツキナの代わりに入院するのよっ!」
「はぁ…。」
「なぁに?文句でもあるの?」
「いや、文句というか、すぐバレるんじゃ…。」
「そうよ、だからすぐに探してきてっ!!」
「あぁ、もう…。」
ロウアはいつものアマミル節が出たなと思った。
「(さっきの祈っている姿とギャップが激しすぎる。)」
「ちょっと、心の声が漏れているんだけど。同じ黒髪だし分からないわ、きっと。」
「は、はい…。(それだけだとすぐに…。あぁ…。)」
ロウアは頭を抱えてしまった。
「なぁに?何か言った?」
「い、いえっ!!今日は一旦、帰りますが、バレないようにして下さいよ…。」
「任せて頂戴っ!」
「で、では、お願いします…。」
アマミルのご迷惑少女組っぷりが出たところで、ロウアは病室を後にした。
(先輩らしいなぁ…、さて、どうしようかな…。)




