アリスの薬
「んっ……」
まぶたをだるさから押し上げて視界を広げる
山ほど、やることがあるんだ……
「ぁ……」
だるすぎて、この感じ、初めてだけど体の中の熱が少ないように感じる、魔力切れか?
ゲームの中だと魔力が切れても歩けたりはするからなぁ現実だとそうもいかねぇってか
手を開いたり閉じたりしながら天井を見上げた
今の現状を楽しんじゃってるなぁ(笑)
ゲームの世界ではなんともなかったことが現実に起きてる、しかも障害になることがある、体感出来るとはなぁ……!!
それにしても魔力切れってどうすんだよ……
MPポーションがあれば1発なんだけどなぁ
この世界にはそんなもんないのか
コツ……コツ……コツ
……足音が聞こえるゲーム内では聴力と偵察はモンスターの位置と正体を探るためにあげてたけど、現実ではこんな感じで活用されるのか、あげてて正解だったな
足音は一つ、子供……アリスか?
コンコン
俺を気遣ってくれているのか少し控えめなノックに胸がしまった
「アリス……か?」
「セオ兄様……起きたのですか!!」
やはりアリスだったようだ
何かを持っていたようでガシャッという音の後に小さな体が俺の上に飛び乗ってきた
「うぉっ!!」
「兄様……っ!」
家族に愛されるって、幸せなことだ
小さな手で抱きしめてくれるアリスを抱きしめ返しながら幸せをかみしめていた
「あっ、そういえば」
アリスは何かを思い出したようでベットから降りて何かを持ってきた
「お兄様に煎じ薬を」
せ、せ、煎じ薬??
満面の笑みで持ってきてくれたお椀の中には緑色の液体が揺れていた
の、飲む気にならねぇ~(汗)
いや、でも、可愛い妹が作ってくれたものだ、飲まないといけないだろう!?
小さいし……美味しくないって言ったら泣いてしまうかも……
ここがしょうねんばだ……
「兄様??」
「あ、あぁ、いただくよ」
お椀をもって息を吐く一気に飲み干してやる
……ふぅ
ゴクッゴクッゴクッ
「……!!!!!っ、?んー????っ!!」
ふくざつだ!!!!!!
「っおいしい!!??」
さいしょ苦くて、どんどん甘みが来て、苦さの中にコクが……
ブラックコーヒー的な感じだなそれのちょい微糖
結論アリスは薬作るのがうまい
「よかったですー!!」
心底嬉しそうにトレーを抱えて笑ってくる姿を見てまた心がほっこりする
「昔はアリスの煎じ薬をのんで兄様気絶しちゃったから……」
……だよな、子供がこれ飲んだら死亡だわ
俯いているアリスの頭に手を置いてぽんぽんとする
「だいじょうぶだ、とってもおいしかったぞ、腕を上げたなアリス」
冒険の方も妹との関係も、絶好調でございます