話し合い
「失礼します」
俺は一言声をかけて中に入った
中はいかにも王様ぁ…って感じで、装飾が多いものばかりだった
王様は茶色のデスクに向かって国税調査?…まぁ国のことがかいているだろう書類を積み上げ、一枚一枚丁寧に読んでいた
そのとき読んでいた書類に目を通し終わったのか書類に印を押し、幾分多く重なっている書類の束のほうへと重ねた
「…なんだ」
眉間を手でムニムニして目を閉じながらそう言った
「実は、フェレブロウの剣魔育成学校に行きたいんです。」
「…貴族院ではなく?」
「貴族院?」
まーた知らない単語が出てきた…
もーやだよーリードーー
「まぁ、あれ程の剣と魔法の才に恵まれておればあそこに行くのも必然、か…」
王様は眉間のしわをより深くしながらううんとうなっていた
そしてしばらくたつとはぁ、と大きくため息をつき、大量の書類の中から一枚の紙を引き抜いた
「これがお前の申請書だ、短刀直入に言うとお前は王族に、貴族に必要な期間の大半を逃している。」
トントンと指で机をたたく
「お前は冒険者になるつもりか?」
「それは……どうなんでしょう」
自分自身そこがどうもわからない。
「……はぁ、あくまでも”第一王子”だということを忘れるなよ、そこでだ、お前が剣魔育成学校に入るのには条件がある。」
「王族の身であることを隠して、リドを連れていけ。」
リドは俺の監視役兼守り役。だそうだ。
くそぅ……本当にどこまでもついてくるな……裏で手でも回してるんじゃないのか……
「まぁ、学校には入れるってことだな。」
先刻もらった申し込み用紙をひらひらさせながら言う
「そうですね、セオ様のことは私がお守りします。」
「はは、それはありがと」
部屋に戻った俺はリドにわからないところを聞きながら申込用紙をうめた
「っし、かーけた、リド、これどうすればいいの?」
椅子に座ったままグーッと伸びをしてリドに視線を投げかける
「お任せください、今から出してきますね」
……
「ええええ!?いっ、今から出してくるの!?さ、さすがにもう暗いよ!?今から外行くって……しかも遠いし……!!」
俺が王子として今いるこの国、ルイドルグ王国とフェレブロウ王国はちょうど大陸の端から端に位置していて、最も遠いのだ。
「大丈夫ですよ、ちょっと行ってすぐ帰ってきますので、外は肌寒いでしょうから私一人で行ってきますね。」
そんな……とドアに消えていったリドの背中を呆然と見つめていた
たっぷり一分くらい固まったセオははっとして色々と考え始めた
「何日くらいかなぁ、どれくらいで……って、でも用意とかしずに行かなかったか!?なに!?なんで!?」
どうしようリドが死んじゃう!
と思わず立ち上がると
ドアがこんこんとされて開けられる
「おや、セオ様、どうかなされましたか?」
「えっ!?あ、リド……?あ、そっか、よかったまだ行ってなかったのか、びっくりしt」
「いえ、もういってきましたよ?」
この子はひょっとしてものすごい脚力を持つ逸材なのでは!?!?!?!?
「ぅえ、え??やば、え?だって大陸の端から端までどうやって、」
「そんなの空間魔法になんの障害もきたさないじゃないですか、セオ様ったら」
セオ様ったら―と口に手を当てて控えめに笑ってるリドをみて俺もははは……と乾いた笑いを返しながら心の中は絶叫だった
異世界はファックスが魔法だと!?!?!?!?!?!?




