人界
「着きました」
周りの風が治まって森の香りがするようになった
少しずつ目を開けると、そこはサタンと修行した洞窟の真反対……アリス達がいる城を見渡せる位の森の中だった
久しぶりの木の匂いって安心するなー……
う〜んと伸びをしている俺につんつんとしてシーナは言った
「開放されたわけじゃない、あのお方はそなたを監視し続けるだろう、……展開の軍勢に入る気はないのか?」
「……あぁ、俺の事を心配してくれてるのか、でも、俺は入る気にはなれない」
シーナの震える手をとってぎゅっと握った
「これから先何が起こるかわからん、心していくのじゃ」
そういうと魔法陣を起動し、光に包まれて消えていってしまった
「……はぁ、」
腰が抜けたようにセオはぺたっと座り込む
「どうしようよぉ……」
なんて言ったってさっきまで俺がメンチ切ってたの神様。
そう、神様。
お願い断ったの、神様。
もう一度言う、神様なのだ。
「たたりいやだぁぁあまぁぁあ」
膝を抱えて叫ぶ
セオは「ううう」と泣きながら城を見つめる
「魔界だの天界だのいって帰ってきたけど何日経ったのかわかんないなぁ」
魔界真っ暗だし天界光り輝いてるし
思えばご飯の前に抜け出して2日居なくなり、風呂入るって言って戻ってきたかと思えばまた居なくなる、残してきたもの達への後悔が半端ない。
心配かけたかなぁ、
「っ、心配かけたかな、なんて、思ったの初めてかも」
あっちの世界にいた頃は存在が迷惑だったって感じだし、微塵も思ったこと無かった、
「はぁっ、いくか!!」
すくっと立ちあがってセオは体を浮かせる
「ブースト」
途中でモンスターに出会あったら目を開けて手に入るようになったレーヴァテインで一掃してやろうと思っていた、
のに、
「森にモンスターが一体もいなかった……、まさか!モンスター魔界にしかいないとか言わないよな!?俺の異世界無双計画がぁぁぁぁあ」
城に着く前にモンスター探ししてもいいよな、な?
風の魔素を消してサタンと別れた洞窟へ入る
「サターン?おーい、いるのか?」
呼びかけてみるが聞こえるのは自分の響いた声と水音がするだけ。
あの日から見ていないし、デュラハン……、ちがった、サタナキア、だったか、あいつも気になること言ってたしな、
ぐぅ〜
そしてもうひとつ響いたのは
「やっぱ早く帰ろ」
俺の腹の虫だった
そそくさと洞窟のきた道を戻り、城の方角の森の端まで飛んでいく
あ、そういえば、
「神様から貰った耳飾り、」
まさかなぁ、『神の祝福を』ってなぁ……
鑑賞に浸りながらセオはストレージから耳飾りを探す
「あ、あったあった、」
見つけたアイテムアイコンを2つの指でタップした
鈴のような音と少しのライトエフェクトと共にウィンドウが飛び出す
「え〜っと、効果、は」
数秒後森にセオの叫び声が響き渡った




