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1夜
ここで座り込んでいたって何も始まらない。
そんなことは分かっているんだが、下手に歩いて体力消耗するのもやだし
セオは冷たくなった砂の上に腰を下ろした
近くに枯れて葉は少ないものの、燃やせる程度になっている小さな木があった、
「今日はこいつの下で寝るかなぁ……」
立ち上がってよろよろと近づき、細い幹にもたれかかる
「はぁ……つかれた……」
幹に背中を預けたまズルズルと下に下がる
「葉っぱ……、はっぱよこい……みたいな……はは」
口から出るのは
力の入らない声
そういっただけでも、上になっていた数枚の葉はセオの前に落ちてきた
散らばっている葉を掻き集めて手をかざす
「……ファイア」
手の平から出る炎の玉は葉っぱについてぱちぱちと赤い炎をあげた
「あったかー……」
両手をかざして暖を取る
「あ〜、今なら、寝れるわ……」
眠気に抗うことなく横になりそう呟く
「ワープとか、つかえないの、かなぁ……」
便利なのに、
その独り言は誰の耳にも届かないまま闇に消えていった
光と言ったら月明かりしかない砂漠の中、セオのつけた炎だけがチラチラと光っていた




