愛されてる
「……っ!!浮いてる、ういてる!!」
手をかざして動かしたい方へ、動いてほしいように念じると木剣はくるくると舞っていった
「……セオ……」
名前を呼ばれ、お父さんの方を向くと目を見開いていた
「さぁ、ここからが本番です!」
魔剣が使えるならこの人とも互角とまでは行かなくもたたかえるかもしれない……
どうせこの世界でも当然のことなんだろうし
「いっいや!六年間の修行の成果、とくと見せてもらった、しかしなぜ浮遊させるだけではなく、自由に動かせるのだ!!!!」
……
…………
え??
「ど、どういう事ですか?」
なぜこの人はこんなにも慌てているのか魔剣が使えることは普通ではないのか自由に動かせるに決まってるじゃないか戦うためなんだからえ??じゃああなたは浮かせるだけでどうやって戦うんですかなん(((
「……お前は、本当にセオ、なのか」
……汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗汗
おぉ~、よくわかったね☆俺はキミの息子じゃないぞ☆
とか言ったらぶち殺されるよな
「何言ってんですか」
コイツこの人のことなんて呼んでたのパパ?お父様?父上?は????
「あ、あぁ、あまりにも見違えていてな」
「修行の成果ですよ」
うわー
さらっと笑顔付きで言っちゃう俺すげー(棒)
「では、これで失礼します」
道場の隅に木剣を置いて一礼をする
バタン
「セオ様っ!!!!」
ガバッ
「ん……!?!?!?」
急に抱きついてきたのはリドだった
「お、お、おう、」
「何もありませんか!?お身体は!?」
すごい剣幕で聞いてくるな
「おうおうおう大丈夫だぞ!?」
「よ、よ、よかった~」
リドが気が抜けたように床に座り込んでしまう
このセオ様って人どんなけ弱かったのさ……
「さあ、アリス様やセレナ様がお待ちです」
心配してくれてたもんな……
「あぁ、」
そう言えば、メイドかな、メイドの人たちがめっちゃ俺のこと見てるんだけどバレてる?バレちゃってるのかな?
「あの方がセオ様ですか?コソッ」
「久しぶりに帰ってこられて……コソッ」
「昔はあんなに可愛らしかったのに……コソッ」
……!?!?!?!?汗汗
……お、俺の顔、変なのかな
昔は、って、成長したら可愛くなくなるってあるもんな、いやいや可愛いって女じゃないし、はぁ、どうせ転生するならかっこよく生まれたかったぜ
「あっ、セオ兄様」
アリスが大きな目に涙を浮かべて飛びついてきた
「アリス……」
「お怪我はありませんか!?」
みんな同じこと聞いてくるなぁ(笑)
それだけ愛されてるってことか
こいつは、幸せだなぁ
「怪我なんてしてないさ、心配してくれてありがとなーアリス」
お兄ちゃんということでアリスを抱っこさせてもらった
金髪碧眼の可愛らしい妹を持って俺は世界で一番幸せだ
「セオ……強くなったのですね」
あ、この綺麗な人も、俺のお母さんなんだ
「は、はい……」
なぜかセレナ様は悲しそうな顔をしていた
「あの……?」
「昔のようにお母様ーっといって飛びついてきてはくれないのですね」
お、お母様……
……いいんですか?逆に
「おかあ、様……」
なんか、恥ずかしいじゃないか……
なんか熱いな、そんなに恥ずかしい?え??それほどでも
……
異常なほど熱い
次の瞬間頭からなにか抜けたような感じがして……
暗闇に落ちた