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4章

「うっ……。あつい……」

あーくんは熱さに耐えきれず目を覚ましました。寝ぼけた目で周りを見渡すととても明るいです。まるで太陽を直接見ているような光でした。何が起こっているのか全くわかりません。家全体が赤くなっています。あーくんは気になって触ってみました。あーくんはすぐに手を引きました。赤いものは実態はありませんでしたがとても痛いです。あーくんはこれは緊急事態だと気づきました。すぐさまちーちゃんとたっくんを起こします。

「2人とも起きて。はやく! 」

2人はびっくりして目を覚ましました。そしてその熱さにびっくりしました。とにかく家を出ます。外にでて周りを見てみるとあたり一面真っ赤に染まっていました。外に出るときちーちゃんの服に真っ赤な火がうつってしまっていました。

「熱い、熱いよー」

ちーちゃんはパニックになっていました。熱ければ冷やせばいいのです。あーくんはそう考えてちーちゃんを連れて川まで走りました。そして川の中へとダイブします。そうするとちーちゃんの服の火は消えて、黒くなった焦げあとだけが残りました。もう一度家のほうへと戻りました。家はバタンとすごい音をたてて崩れていきました。たっくんは呆然と立ち尽くしていました。かなりショックを受けたに違いありません。ちーちゃんも泣きだしてしまいました。あーくんも家が崩れたことが信じられませんでしたが、こういうときはみんなを引っ張ってあげなくてはいけません。

「ちーちゃん、たっくん。こっちだ」

だんだんと迫ってくる炎から逃れるため、あーくんは2人を引っ張りました。熱風が3人の背中に吹きつけます。あーくんはとりあえず島に着いたときに見つけた穴へと行きました。そこで一旦落ち着きます。

「たっくん。家はまたみんなで作ろう。みんなで作ったほうが早くできるし、きっと楽しいよ」

あーくんのおかげでちーちゃんもたっくんも今起こった夢みたいなできごとを冷静に受け止められるようになってきました。そうなると今度頭の中に浮かぶのはあれがなにだったかということです。3人とも火は見たことがありません。火には大きな恐怖を覚えましたが、あーくんとたっくんは興味も持ちました。あれをうまく操ることができれば夜でも明るくなる。さらに寒いときに暖かくできる。もしそれが実現可能なのであればとても便利な道具となります。でも今は心を休めましょう。驚いて、慌てて、恐怖して、心身ともに3人は疲れていました。あーくん、ちーちゃん、たっくんは穴の中で体をくっつけて再び眠りにつきました。

さあ、朝になりました。あーくんもたっくんも絶望を見ることはほぼ確信していましたがそれ以上に大きな何かが得られるのではないかと考えました。焼けたであろう家へ向かいます。

「ちーちゃん。僕たち家に行くけどどうする? 」

ちーちゃんは少し困った顔をしました。きっとボロボロになった家を見たくないのでしょう。しかしちーちゃんはあーくんとたっくんを信じていました。2人はいつでも間違ったことを言いません。2人ならきっとなんとかしてくれる、心のどこかでそう思っていました。

「私も行く」

そう言ってちーちゃんもあーくんの横に並びます。家のあった場所にたどり着きました。わかってはいたことですが実際崩れて真っ黒になった家を見ると言葉も出ませんでした。それはあーくんもたっくんも同じようでしたが、2人は焼けてしまった家を調べ始めました。ちーちゃんはそこにあったちょうどいい石に腰をかけます。2人は何かわかったのでしょうか。難しい顔で話しています。たぶんあの顔は何もわかっていないです。結局2人は肩を落として戻ってきました。

「何もかもなくなっちゃったみたいだね」

頑張ってちーちゃんとたっくんを元気づけていたあーくんでしたが、何もつかめず落ち込んでいました。そんな様子を見てちーちゃんは今度は自分が声をかけてあげなきゃと思いました。

「えーっと……あの……。こ、この石とかはなくなってないよ」

ちーちゃんは自分の座ってる石を指差し言いました。ちーちゃんはとっさに思いついたことを言いましたが、自分でも何を言っているかわかりませんでした。地面も空もなくなってなどいません。石がなくならなかったことなんてほんの小さなことです。もっとあーくんを元気づけることを言おう、そう思いましたがいい言葉がでてきません。

「えっ? 」

ようやくあーくんが口を開きました。

「いや、今のは……」

ちーちゃんは「なんでもない」と言おうとしましたが顔を上げたあーくんの顔を見て、逆に

「えっ? 」

と聞き返してしまいました。あーくんが笑っています。

「そうだよ。石はなくならないんだよ。地面を挟んで向こうにある森もなくなってない。火は木しか燃やさないんだよ」

あーくんはたっくんを見ました。そして少したってから

「あっ! そういうことか」

たっくんも何かわかったようです。

「まわりに木がないところで木に火をつければ火を小さいまま使える」

「そうだよ。さっそく実験しよう」

3人は木を集めました。しかし火のつけ方は誰もわかりません。あの火が現れた瞬間を見ていればよかったのですが、それは考えても仕方のないことです。叩いてみたり、投げてみたり、思いつくことは全てためしてみましたが火のつく気配はちっともしませんでした。

「火は熱かったよね。だから温泉に入れてみるとかどうかな? 」

そう言ってたっくんは温泉に木を持って行きました。温泉の中に木を入れます。そして取り出しました。確かに熱いのは熱いですが、何か違う気がします。

「火はきっと水に弱いんだよ。ちーちゃんが燃えていたとき川にはいるとすぐ火が消えたじゃん」

あーくんは言いました。言われてみればその通りです。

「ちょっと待ってね」

あーくんはそう言ったきり黙って真剣な顔つきで考えて始めました。静寂の時が流れます。ちーちゃんは思いました。あれは何かひらめきそうなときの顔です。

「寒いときって手をこすり合わせるよね」

あーくんは唐突にそう言いました。

「う、うん」

ちーちゃんはあーくんが何を言いたいのかわかりませんでしたが返事をします。

「木をこすればいいんだよ。そうすれば熱くなってきっと火がつく」

あーくんは自信ありげでした。木と木をこすり合わせます。そしてこすった部分を触ってみると熱くなっていました。あーくんは力いっぱいこすりました。しかし、熱くはなるものの火はつきません。

「あれっ、おかしいな。いい考えだと思ったんだけどな」

あーくんは自分の考えに自信がなくなってきたようです。

「でもいい線いってると思うよ」

たっくんはあーくんの考え方で間違っていないと思っているようです。あーくんはまた考え始めました。木を見て、手でなでて、じっくり考えます。独り言を言いながら現象を整理します。

「木は熱くない。少しこすってやると熱くなる。さらに力いっぱいこするともっと熱くなる。でも火はでない。でもこのやり方であってるとすればもっとはやくこすればいいということだ。しかしそれは人間に可能なんだろうか。僕は全力でこすった。ちーちゃんがやっても結果はそれほど変わらないだろう。もっとはやく。はやく……」

あーくんは考えに詰まっているようでした。しかしたっくんもちーちゃんもどうすることもできません。あーくんがお手上げとなるとどうしようもありません。2人ができるのは邪魔をしないで静かにしていることだけでした。じっとしていると余計に風が冷たく感じます。首すじを風がなぜブルっと震えました。あーくんはそんな感情はおかまいなしです。きっとあーくんの頭の中には火しかありません。

「……はやく。んっ! そうか! こすり合わせる面積が小さくてもよければ」

あーくんは突然木の枝を細く切って表面を綺麗に削り始めました。できあがったのは円柱型の細い棒。それでいったいどうするのでしょうか。あーくんは丸太に小さな穴を開け、そこに細い棒の先端をたてました。そして丸い棒を両手で挟んで回し始めます。

「これならはやくこすれるはず」

あーくんが棒を回してから少し経つと、穴からシューっと煙がでてきました。あーくんはその変化に喜び、棒を回す手をいっそうはやめます。そしてついに火がでてきました。作戦は大成功です。ついに火を作ることに成功しました。まわりになにもないところで小さめの枝を燃料にし、3人は火を囲みました。

「さすがあーくん。やったね」

ちーちゃんはいつも心から喜んでくれるので、あーくんはその笑顔が大好きです。3人は夜まで話続けました。家が焼けたことなんて忘れてしまうくらいいっぱい笑いました。そして何より真っ暗になった夜を明るく照らしてくれた火は3人にとって大きな発見になりました。

それからあーくんは火の使い方をいろいろ考えました。例えば洗濯した時に火をそばにおくと乾くのが早くなりました。また火で焼けるのは木だけじゃなく魚も焼けるということがわかりました。生で食べる魚は最高に美味しいけれど、焼いた魚もまたそれはそれでいい味でした。しかし黒焦げにしてしまった魚は苦くて食べられませんでした。他にも果物を焼いてみたりしましたがそれはぐにゃぐにゃしてあんまり美味しくはありませんでした。

またそんな生活が続いたある日のことです。

「ちーちゃん。今日は何かやりたいことある? 」

「うーん、そうだね。鳥さんみたいに空が飛びたい」

もちろん冗談でした。人間はどんなにがんばっても空を飛べないことくらいちーちゃんにもわかっていました。あーくんは真剣な顔をしています。

「あーくん。冗談だよ。そうだ。あそこに行ってみようよ。あの洞窟に」

ちーちゃんはそう言いました。初めて行ったときは真っ暗で中に進むのを諦めましたが、今は明かりがあります。

「そうだね。そろそろ新しいものと出会いたい気分だったんだ」

あーくんもたっくんも乗り気でした。3人は火を持って洞窟にを目指しました。

「初めてってわくわくするね」

ちーちゃんはいつも楽しそうです。みんなの前を進み、ときどきくるっと後ろを振り返ります。そして嬉しそうに笑います。光に照らされたちーちゃんの影は洞窟の奥のほうへと大きく伸びていました。あーくんは壁を触っていろいろ調べているようでした。もうだいぶ進んだのでのでしょう。入口の光はほとんど見えなくなっていました。突然あーくんが立ち止まりました。

「たっくん、ちょっと」

「どうしたの? 」

たっくんはあーくんが触っていた壁に触れてみます。

「あっ」

たっくんは今までと材質が変わっていることに気づきました。あーくんは落ちていた石を拾い上げ壁を叩いてみました。するとカーンと高い音が洞窟内に響きました。今までとは明らかに違います。しかもかたいです。あーくんはそれを持って帰ることにしました。奥まで進むと今度は黒いよくわからないものがありました。でもそこで行き止まりだったので、それも少し持って入口へと引き返しました。

今日はおもしろい発見がたくさんありました。ちーちゃんが洞窟に行こうと言ってくれたおかげです。あーくんとたっくんはさっそく持ち帰ったものを調べました。持ち帰った塊はとても硬いです。これは何か新しい材料になる予感がします。それは鉄でした。そして持ち帰ったもう一つのものは石炭でした。

あーくんとたっくんは紛れもない天才でした。すでにこの頃からそれは顕著に現れていましたが、これからどんどんその頭角を現していくことになりした。

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