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世界を二人占め 〜博士と助手くんシリーズ〜

作者: ひろ
掲載日:2026/08/19

 その瞬間、世界中の人類すべてが眠りに落ちた。

 ただ一人の例外も無く。


 ...いや、とある研究所に居る二人を残して。




 世界に静寂が訪れた。



 「博士。静かですね。

 ...その機械は一体何なんです?」


 「これはの、助手くん。

 ヒトにだけ作用し、人を眠りに誘う特殊な波を発生させる機械じゃ。

 波は音、電磁波、ニュートリノ、重力波を使って世界中隅々まで行き渡らせることが出来る。どこにいても遮ることは出来ない。

 つまり世界中の人は、誰一人欠けることなく、これから10分間、深い眠りに落ちる、というわけじゃ。」


 「なんでこんな機械を作ったんです?」


 「人は寝ている間は争うことができぬ。

 ...ワシはの。争いのない世界を作りたかったのじゃ。それが例え僅かな間だとしてもの。」


 「...なんで10分間だけなんです?」


 「世の中には、常時監視が必要な設備がたくさんあるからの。あまりに長ければ、それはそれで大惨事を引き起こそう。

 だから、10分が限界だと考えたのじゃ。」


 「ふーん...。

 この10分間は博士が夢見た、本当に争いのない、静かで平和な世界ってわけですね。」


 「本当ならこの世界を、平和の尊さを、皆で分かち合いたかったがの。

 当の皆が眠ってしまっているのが残念なところじゃの。」


 「二人、居るじゃないですか。あなたと私。」


 「おお、。僕っ娘のお主が『私』というなど珍しいのぅ。」


 「誰も聞いてないですからね。恥ずかしくても言えるんです。

 ...好きですよ。博士。」


 「こんな時に告白が聞けるとは、ぜいたくな話じゃの。独り占めじゃ。」


 「へへへ。

 返事は今でも、10分後でも構いません。」


 「じゃあ...」




おしまい

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