第42話 破天荒は止まらない
【俺は幼馴染が好きだ!!~だが変態紳士という二重人格のせいで自重します~】
今回は朝霧凪が遠慮ゼロで動き始め、
学校全体をかき乱す回です。
三角関係が完全に表面化しました。
俺は神谷恒一。
嵐というものは、予告なしに勢力を増す。
その中心にいるのが、
朝霧凪だというだけの話だ。
「おはよー恒一!」
教室に入った瞬間、
元気すぎる声が飛んできた。
「……おはよう」
反射的に返すと、
周囲の視線が一斉に集まる。
「神谷くん」
(……)
「注目度、上昇中」
(知ってる)
凪は、俺の机の前に腰掛ける勢いで近づいてきた。
「ねえねえ」
「……なに」
「今日の放課後、
一緒に校内案内してよ」
「……放課後は」
言いかけたところで、
凪はにやっと笑う。
「桜庭さんと、でしょ?」
名前を出すタイミングが、正確すぎる。
「安心して」
凪は、悪びれず続ける。
「私、三人でも全然平気だから」
教室が、ざわつく。
「神谷くん」
(……)
「混沌を恐れない性格だ」
(むしろ好んでる)
横を見ると、
美咲が静かにこちらを見ていた。
表情は、落ち着いている。
でも、目は鋭い。
「……恒一」
小さく、呼ばれる。
「放課後、
話あるんだけど」
「……分かった」
そのやり取りを、
凪は見逃さなかった。
「へー」
面白そうに笑う。
「じゃあ、
私も混ざっていい?」
遠慮という概念が、存在しない。
午前の授業中。
凪は、わざとらしいほど俺の方を向く。
「ねえ恒一、
消しゴム落としたー」
拾って渡すと、
指が絡む。
「ありがと」
笑顔が、無邪気すぎる。
「神谷くん」
(……)
「挑発、
第二段階」
(朝から全力だな)
昼休み。
「恒一!」
凪が、教室の真ん中で呼ぶ。
「お弁当、一緒に食べよ」
即座に、美咲が立ち上がった。
「恒一は、
私と食べる予定」
声は穏やか。
でも、譲らない。
「そっか」
凪は、あっさり言う。
「じゃあ私も、
一緒で!」
断言。
「神谷くん」
(……)
「破天荒、
本領発揮」
(胃が痛い)
屋上。
三人で並ぶという、
異様な光景。
「へー」
凪が言う。
「ここが、
恒一の定位置なんだ」
「……まあな」
「いいね」
そう言って、
俺の隣に座る。
即、美咲が反対側に座った。
距離、ゼロ。
「……恒一」
美咲が静かに言う。
「ちょっと、近くない?」
「え?」
凪は、首を傾げる。
「これくらい、
普通じゃない?」
価値観が違いすぎる。
「神谷くん」
(……)
「文化衝突だ」
(最悪の表現)
午後。
体育の時間。
「ペア組めー」
教師の一言。
当然のように、
声が飛ぶ。
「神谷、桜庭だろ」
その瞬間。
「はい異議あり!」
凪が手を挙げた。
「私、まだ誰とも組んでませーん」
教師が困った顔をする。
「……朝霧、
じゃあ神谷と」
決定。
美咲の視線が、刺さる。
「神谷くん」
(……)
「偶然を装った、
強制イベント」
(悪意しか感じない)
放課後。
校門。
「恒一」
美咲が言う。
「今日のこと、
どう思ってる?」
凪も、隣で腕を組む。
「私的には、
楽しかった!」
即答。
俺は、二人を見る。
「……正直」
一度、間を置く。
「凪は、
遠慮がなさすぎる」
「褒めてる?」
「……違う」
凪は、くすっと笑う。
「でもさ」
一歩、近づく。
「遠慮しないって、
本気ってことだよ?」
美咲が、静かに言う。
「本気でも、
順番はある」
空気が、張り詰める。
「神谷くん」
(……)
「三角関係、
明確化」
(ああ)
凪は、肩をすくめた。
「じゃあ」
にっと笑う。
「私、
本気で行くね」
宣言だった。
破天荒な転校生は、
もうブレーキを踏まない。
そして――
俺は、その中心に立たされている。
覚悟は決めた。
だからこそ。
次に試されるのは、
“選び続ける強さ”だった。
第42話を読んでいただき、ありがとうございました。
次回は
・美咲が“引かない宣言”をする回
・恒一が明確に線を引く行動を取る回
どちらにも進められます。
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次回もよろしくお願いします。




