表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/44

第38話 前提になった二人

【俺は幼馴染が好きだ!!~だが変態紳士という二重人格のせいで自重します~】


今回はクラス内で二人が

「公認カップル扱い」され始める回です。

宣言よりも、周囲の認識が先行しています。

 俺は神谷(かみや)恒一(こういち)

 美咲が一歩踏み込んだ、その翌日。


 何かが変わる予感はしていた。

 ただ――それが、こんな形だとは思っていなかった。


「おはよ、恒一」


 昇降口で、美咲が当たり前のように声をかけてくる。


「……おはよう」


 距離は、昨日と同じ。

 でも、周囲の視線は確実に増えていた。


「神谷くん」


(……)


「本日、

 “前提条件”が書き換えられる可能性が高い」


(嫌な言い方するな)


 教室。


「おはよー」


「おはよう」


 席に着こうとすると、

 クラスの数人が、こちらをちらちら見ている。


「なあなあ」


 前の席の男子が、振り返ってきた。


「今日も一緒に来たの?」


「……まあ」


「やっぱそうだよな」


 妙に納得した顔。


「神谷くん」


(……)


「噂は、

 既に共有フェーズに入っている」


(早すぎる)


 美咲は、何も言わない。

 ただ、俺の机の横を通るとき、

 指先で軽く机を叩いた。


 合図みたいなもの。


 午前中の授業。


 ノートを取っていると、

 消しゴムが転がってくる。


「……はい」


 拾って差し出すと、美咲が小さく笑う。


「ありがと」


 そのやり取りだけで、

 周囲がざわつく。


「神谷くん」


(……)


「第三者は、

 些細な接触を“確証”と解釈する」


(面倒くさいな)


 昼休み。


「恒一」


 美咲が、教室の中央で声をかけた。


 一瞬で、静かになる。


「一緒に、食べよ」


 隠す気は、ない。


「……うん」


 屋上へ向かう途中、

 背後から声が飛ぶ。


「もう付き合ってるんでしょ?」


 女子の声。


 俺が答える前に、美咲が振り返った。


「……まだ」


 一拍。


「でも、

 そのつもりでいるよ」


 その言葉は、

 教室中に届いた。


「神谷くん」


(……)


「公認宣言、

 準備完了」


(本人が言うな)


 屋上。


 弁当を広げながら、

 俺は小さく息を吐いた。


「……言い切ったな」


「うん」


 美咲は、平然としている。


「嫌だった?」


「……びっくりはした」


「ごめん」


 でも、と前置きして。


「隠すより、

 楽だと思った」


 それは、正論だった。


 午後の授業。


 教師が言う。


「次の体育、ペア決めるぞー」


 ざわつく教室。


 当然のように、声が飛ぶ。


「神谷、桜庭でいいだろ」


「はい決まりー」


 異論は、出ない。


「神谷くん」


(……)


「社会的合意が、

 形成された」


(そんな大層な)


 放課後。


 廊下を歩いていると、

 知らないクラスの生徒にまで見られる。


「……視線、多いな」


「うん」


 美咲は、少しだけ照れたように言う。


「でも」


 一歩、近づく。


「嫌じゃない」


 そのまま、腕に触れてくる。


 離れない。


「神谷くん」


(……)


「公認とは、

 宣言ではなく“扱い”だ」


(……)


「彼女は、

 それを受け入れた」


 家に帰って、スマホを見る。


 通知が、増えている。


『お前らいつから?』


『神谷、やるじゃん』


『桜庭と付き合ってんの?』


 どれも、同じトーン。


 美咲からも、メッセージ。


『今日は、ちょっと疲れたね』


『でも、スッキリした』


『……後悔してない?』


 少し考えてから、返す。


『してない』


 すぐに、返信。


『よかった』


 それだけで、十分だった。


 布団に入る。


 もう、曖昧には戻れない。


 でも。


 クラスでの扱いが変わっても、

 二人の距離が近づいただけだ。


 それは、

 “公認カップル”というより。


 ――当たり前に、

 一緒にいる二人になっただけだった。

第38話を読んでいただき、ありがとうございました。

次回は

・恒一が正式に腹を括る回

・もしくは変態紳士が“余計なこと”を言い始める回

に進めます。

よろしければブックマーク・評価で応援していただけると嬉しいです。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ