第12話 告げられた期限
【俺は幼馴染が好きだ!!~だが変態紳士という二重人格のせいで自重します~】
今回は白石凛に“期限”を伝える回です。
二人のヒロインが、同じ条件で向き合う形になりました。
俺は神谷恒一。
一週間という言葉が、頭の中で何度も反響している。
期限を決めたのは俺だ。
逃げないと約束したのも俺だ。
だから――次にやるべきことは、分かっていた。
「神谷くん」
(……)
「本日は、もう一名の当事者に説明義務が発生している」
(分かってるよ)
昼休み。
俺は意を決して、図書室へ向かった。
静かな空間。
あの窓際の席。
白石凛は、今日も本を読んでいた。
「……来た」
俺に気づくと、ページを閉じる。
「話、あるんでしょ」
逃げない。
この人は、最初からそれを分かっている。
「少しだけ」
「うん」
椅子に腰を下ろすと、心臓の音がやけに大きく聞こえた。
「神谷くん」
(……)
「彼女は、察しがいい。前置きは不要だ」
(今日は珍しく正論だな)
俺は、正直に言った。
「美咲と……話した」
白石は、目を伏せることなく聞いている。
「そう」
「期限を、決められた」
ほんの一瞬だけ、白石の指が止まった。
「一週間」
空気が、静止したように感じた。
「……なるほど」
思ったより、落ち着いた声だった。
「それで?」
「その間に……答えを出す」
白石は、ゆっくり息を吐く。
「神谷くん」
「……」
「それ、私にも同じ?」
逃げられない質問。
「……同じだ」
白石は、少しだけ笑った。
「正直だね」
「正直でしか、いられない」
「そっか」
彼女は、窓の外に視線を向けた。
「じゃあさ」
「?」
「私は、その一週間、逃げない」
胸が、ぎゅっと締め付けられる。
「でも」
白石は、こちらを見る。
「黙って待つ気もない」
「……」
「好きって気持ちは、隠さない」
それは宣言だった。
「神谷くん」
(……)
「これは、勝負とかじゃない」
(……)
「でも、譲る気もない」
変態紳士が、静かに息を整えるのを感じた。
「神谷くん」
(……)
「彼女は、非常に健全だ」
(褒めるな)
「そして、覚悟がある」
(……分かってる)
白石は立ち上がり、本を胸に抱えた。
「一週間後」
穏やかな声。
「どんな答えでも、ちゃんと受け取る」
その言葉は、優しくて、残酷だった。
「ありがとう」
何に対しての感謝かは、自分でも分からない。
「神谷くん」
(……)
「君は、選ぶことを恐れている」
(ああ)
「だが同時に、“自分が壊れること”も恐れている」
(……)
「そのどちらも、本物だ」
白石は、微笑んだ。
「だから」
「?」
「逃げないで」
美咲と同じ言葉。
でも、意味は少し違う。
図書室を出たあと、俺はしばらく立ち尽くしていた。
一週間。
幼馴染と、もう一人の想ってくれる人。
そして――変態紳士という、最大の不確定要素。
「神谷くん」
(……)
「期限が設定された以上、我々は準備を始める必要がある」
(やめろ)
「理性を保つための計画を立案しよう」
(……お前に任せるのが一番怖い)
「安心したまえ」
低く、楽しそうな声。
「今回は、紳士的に行こう」
――その言葉ほど、信用できないものはなかった。
第12話を読んでいただき、ありがとうございました。
一週間という期限が、全員に共有されました。
ここからは「待つ」だけでは進まない時間になります。
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次回もよろしくお願いします。




