1.はじまりの書
とある水田地帯・・・。
その一画に2人の男がいる。
1人は、水の中に伏している。
気を失っているのだろうか。
もう1人は、健全(?)の模様。
どうやら、耳にある通信機器で、通信中のようだ。
「こちら、ズン。応答願いますズン。」
「こちら、本部」
「作戦終了、米の洗浄に成功。運び屋をよこしてくれズン。」
プツッ、
ツーツー・・・。
「切れたズン・・・」
どうやらこの男、本部とやらの人間には、嫌われている模様。
必要最小限の会話しか、したくないようである。
・・・と、
その男の隣に、奇妙な光が現れた。
光は段々形を変えていき、
ついに人へと変貌した。
「米は?」
運び屋から野太い声が発せられる。
「こいつズン」
男は
傍らで伏しているもう一人の男を
指差した。
すると、
運び屋はその男の首根っこを掴み
そのまま肩へと担ぎ上げた。
そして、ボールペン大の機械を取り出し
真ん中の赤い細長いスイッチを押した。
すると、再び光が現れ、
運び屋と男は光の中に入っていき
やがて、光もろとも消えた。
「さて、帰るズン」
彼は瞬間移動ではなく徒歩で帰り始めた。
どうやら余程嫌われている為か
わざわざ係の者が
『誤って』支給しなかったらしい。
彼の名前は、亜鉛潤。
亜鉛は化学式でZnである事と
潤がズンに似ている発音の為、
愛称がズンとされている。
昼は高校生、
夜は秘密諜報機関の一調査員という具合に
二つの米(業界用語で顔や目標の意味を持つ)を持っている
要するに、二毛作(業界用語で二つの顔を持っている事を指す)を行っている。
口癖は前述の通り、
語尾に「ズン」を付ける事
何故かは分からないが
彼の頭の左上部が見事に欠けている
例えるなら
精米した後のお米のような状態。
この事について尋ねると
本人は激怒する習性がある。
どうやら
コンプレックスに思っている模様。
要調査。
加えて、彼の顎もまた特異であり
常人よりも顎先が鋭く、
この顎を使って
敵を攻撃することがあるそう。
ある調査機関によると
彼の顎の角度は65.4度と
亜鉛の原子量の値と非常に酷似しており
(亜鉛はこの世界では最強の金属)
かなりの鋭さをほこるという
結果を発表した。
数時間後、
ズンは7kmの道のりを歩き
ついに自宅へとたどり着いた。
「やっと着いたズン
いつも疲れるズンね」
…と、
彼の目の前にある女性が現れた。
「あら、ズンさん
米捕獲、お疲れさまでした」
彼女の名前は
早乙女米子
ズンと会話しようとする
唯一の女性である。
彼女の出身地、経歴などは完全に不明
彼女自身もあまり話したがらない。
余談だが、ある調査機関とやらも
完全にお手上げとの事。
また、ズンに対して
丁寧な言葉を話すのも彼女のみ。
ちなみに彼女とは
ルームシェアをしている仲で
やや友達と言ったところ。
同じ高校の同級生である。
また、ズンが
秘密機関の構成員だという事は知らず
ズンが仕事している際は
パチンコをしていると言っている。
「ただいまズン、早乙女さん」
ズンはそう照れながら礼を述べると、
足早に自宅の中へと入っていった。
(今日はきっと良いことあるズン☆
何せ、帰ってきて早々
早乙女さんに会えたからズンね)
しかし、その気持ちは見事に裏切られた。
「おぉ、ズンじゃん
今日は勝ったか?」
男がズンに話しかけてきた。
チッ!
…ズンの舌打ち。
「ま、負けたズン…。
今日も大損ズン……。」
「またかよ!
じゃ、はい!」
と言うと、彼は手を差し出してきた。
条件反射の如く
ズンは、あらかじめ
自販機で買っておいた缶コーヒーを
男に手渡した。
男の名前は軒下京太
ズンとルームシェアをしている仲であり
同じ高校の同級生。
彼をいじめる事を趣味としている。
ズンがパチンコに行っているということで
もしパチンコで勝ったら、
勝った分の商品を
負けたら缶コーヒーを
のきしたに差し出すことになっている。
どちらにせよ
ズンは得しないシステムのようだ。
「ヨーッス、ズン」
「よー、雅じゃん
…ってお前何食ってんだズン!!」
「何って…、米粉ケーキだけど?」
「それは
俺が楽しみにしてたやつなのに!!」
「へ~、そうなんだ。
まぁドンマイ」
雅と呼ばれた男は
平然とした顔でケーキを食べ続けた。
「っておい!
ドンマイじゃなくて
食うのやめろズン!!!」
半泣きの顔で哀願するがそれも虚しく、
雅は全て食べ切った後だった。
「『きっと』また買ってきてやるよ」
「そのきっとが
無いと最高なんだけどなズン…」
雅はのきしたや早乙女と同じく
ズンとルームシェアをしていて
同じ高校の同級生。
基本ズンをからかうのが好き。
だが、極々まれに
ズンに対して
優しくする時が無いわけでは無い。
また、ズンが所属している部活は
野球部なのだが、
そこの次期キャプテンを努めている。
「やっほ~、騒々しいな。
ズンがついに亜鉛となったか?」
※ここからは
ドラクエの戦闘シーン風でお送りします
男三人組が現れた!
ズンはどうする?
たたかう→目標:火練
ズンの攻撃!
しかし火練は平然としている。
火練は何やら準備をしている…。
ベホズンの攻撃!
「ズンズ~ン、じゃあな!!」
彼はトランプの10を三枚広げた!
ズンに6,538,000,000のダメージ!!
しかしズンは耐え抜いた。
瀬川は、ぼーっとしている。
火練の準備が整った!
火練は「三浦としを」を呼び出した
※「三浦としを」は
全人類に精神的苦痛を与えるべく
生み出された地上最強の生物
(ゴリラに似た形状をしている)
但し今の場合は、
偽物の三浦としをなので
そこまで強くない。
三浦としをの口撃!
「うぉ~~~い!!!」
ズンは即死した。
火練は経験値を1、手に入れた!
ベホズンは経験値を1、手に入れた!
瀬川は経験値を20,000手に入れた!
火練は1レベルアップした!
ベホズンは1レベルアップした!
瀬川は変化していないようだ…。
「ってなんだズン!?
このクソゲーはッ!?」
「最高の出来栄えじゃん」
と、火練。
彼らの名前は前述のように、
神条火練
ちなみに意外かもだが、男である。
PCを自在に操り、
軽々とハッキングだってこなす
ブ〇ッディ・マン〇イの
高〇藤丸クンも真っ青だろう。
ベホズン・it
カタカナと英単語のまさかの融合。
ちなみに名字はit。男。
瀬川
名前は不明。
よく今までの登場人物と行動を共にする。性別は女性。実は軽く美人。
「あ…、そろそろ学校に行かないと
遅刻するズン!!!
やばいズン!!」
その言葉が発せられた途端、
全員が一斉に時計へと目を向け
そして慌ただしく動き始めた。
全力ダッシュで高校へと向かう一同。
彼らが通うのは私立亜鉛学園。
中高一貫校で共学である。
高校の周辺の地域には
結構名の知れた神学校で
有名大学神学者を多数排出している。
物語はここから始まるのだ・・・。